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第61回理学療法士国家試験 午後61−65の解説

(61) 平滑筋で正しいのはどれか。(61回午後61)
1.随意的な運動が可能である
2.代謝は解糖系に依存している
3.骨格筋に比べて収縮速度が速い
4.筋フィラメントが規則的に並んでいる
5.骨格筋に比べて単位断面積あたりの収縮張力が小さい


【答え】5(厚労省発表では2となっていますが、間違いだと思います。解答速報でもリハアカデミー・ワニベゼミ・三輪書店のすべてが5を正解としています)
【解説】
1.随意的な運動が可能である:×
→平滑筋は不随意筋です。

2.代謝は解糖系に依存している:×
→平滑筋は骨格筋に比べミトコンドリアの分布が少ないという特徴がありますが、エネルギー代謝を解糖系に依存しているというわけではありません。

平滑筋では骨格筋に比べてATPの分解速度が遅いのが特徴的です。なぜATPの分解速度が遅いのかというと、平滑筋ではミオシンの頭部からリン酸が外れた後も、アクチンと結合したままの状態を維持できます(ラッチ機構=掛け金機構といいます)。これにより、わずかなエネルギー消費で長時間、収縮(張力)を維持できるのです。このような仕組みから、平滑筋は疲労しにくく消化管や血管壁で持続的な収縮運動ができるようになっています。

3.骨格筋に比べて収縮速度が速い:×
→骨格筋に比べて筋繊維が短いので収縮速度は遅いです。平滑筋は骨格筋に比べて収縮速度が非常に遅いため、単位時間あたりのATP消費量は骨格筋の 1/100〜1/1000 程度と極めて効率的であるのがわかっています。

4.筋フィラメントが規則的に並んでいる:×
→平滑筋では筋フィラメントは不規則にならんでおり、サルコメア構造がなく、横紋はみられません。

ほんだ整骨院:筋肉の種類って?どうやって分類されている?より引用
honda.s358.com/blog/muscle/1106/

5.骨格筋に比べて単位断面積あたりの収縮張力が小さい:○ 
骨格筋:の収縮張力は約 15〜30 N/cm²、平滑筋の張力は 約 2〜5 N/cm²と骨格筋に比べると張力は小さいですが、エネルギー消費が非常に少なく、長時間その張力を維持することに長けています。



(62) 疼痛を伝達する神経線維はどれか。2つ選べ。(61回午後62)
1.Aα
2.Aβ
3.Aδ
4.B
5.C


【答え】3と5
【解説】
下表は神経線維の分類です。Aδ線維は温痛覚を、C線維は鈍痛を伝達します。


(63) 刺激と反応の組合せで正しいのはどれか。(61回午後63)
1.交感神経  ― 縮瞳
2.交感神経  ― 気管支の収縮
3.交感神経  ― 心拍数の減少
4.副交感神経 ― 立毛筋の収縮
5.副交感神経 ― 直腸平滑筋の収縮


【答え】5
【解説】
1.交感神経  ― 縮瞳:×
→交感神経亢進(戦いモード)では瞳孔は散瞳します。

2.交感神経  ― 気管支の収縮:×
→交感神経亢進(戦いモード)では気管支は拡張します。

3.交感神経  ― 心拍数の減少:×
→交感神経亢進(戦いモード)では心拍数は増加します。

4.副交感神経 ― 立毛筋の収縮:×
→立毛筋の収縮により「鳥肌がたつ」状態となります。交感神経亢進で見られます。

5.副交感神経 ― 直腸平滑筋の収縮:○
→副交感神経亢進は排便に働きます。直腸平滑筋は収縮します。

(64) 呼吸生理で正しいのはどれか。(61回午後64)
1.シャント時の換気血流比は増加している
2.肺伸展受容器の興奮は吸気促進に作用する
3.肺胞の酸素拡散能は二酸化炭素よりも高い
4.pHが増加すると酸素解離曲線は右方に移動する
5.動脈血二酸化炭素分圧が増加するとpHは低下する


【答え】5
【解説】
1.シャント時の換気血流比は増加している:×
→換気血流比が国試の選択肢に出てきたというのは少し驚きですが、選択肢に出たという事は今後出題される可能性があるので、この際勉強しておきましょう。
下図に色々な状態の肺胞を図示しました。

中央 (A)は正常の肺胞です。肺胞に青色の静脈血が流れてきて、肺胞でガス交換が行われ酸素をとりこんで赤い動脈血となって心臓に返っていきます。

それに対して肺胞 (B)は肺血栓塞栓症などを思い浮かべてください。肺胞に至る血管が血栓で詰まって遮断されています。そのため、肺胞には空気が充満しているにもかかわらず、肺胞でガス交換が行われません。このような状態は、肺胞がまったく利用されていないので死腔と呼ばれます。

次に図右の肺胞 (C)は肺炎などが原因で痰により末梢気道が閉塞してしまって、肺胞に空気が到達していません。肺胞には静脈血が循環していますが、肺胞から酸素を得る事ができずに、静脈血のまま心臓に返っていきます、このような状態をシャント(肺内シャント)といいます。

肺の中に死腔やシャントが増えると、肺でのガス交換の効率が悪くなります。肺でのガス交換を理解するために換気血流比という指標が用いられます。

肺胞で換気される換気量 を肺胞換気量 (VA: VはVolume、Aは肺胞 [alveoli])といいます。また肺胞を循環する血液量はQで表されます。肺胞で換気される換気量 (VA)と肺胞を循環する血液量 (Q)の比を換気血流比 (VA/Q)といいます。

正常では肺胞換気量は4L/分、心拍出量が5L/分であることから、正常時の換気血流比は4÷5=0.8とされています。

上図左のような完全な死腔では、分母の血流 (Q)が0になるため、換気血流比は∞になります。一方、上図右のような完全なシャントでは肺胞換気量 (VA)が0となるため、換気血流比 (VA/Q)は0となります

肺でのガス交換は死腔が増えても、シャントが増えても効率が低下します。死腔やシャントが増えて、ガス交換の効率が低下する事を換気血流比の不均等といいます。

選択肢についてですが、シャント時の換気血流比は低下しています(完全なシャントでは換気血流比は0となります)。

2.肺伸展受容器の興奮は吸気促進に作用する:×
→肺が伸展→迷走神経→延髄の呼息中枢が刺激→呼気促進をへーリング・ブロイエル反射といいます。

3.肺胞の酸素拡散能は二酸化炭素よりも高い:×
→肺胞においてCO2はO2より約20倍拡散しやすいです。このため、軽度から中等度の肺胞拡散障害ではO2の拡散だけ阻害されてPaO2だけ低下する、I型呼吸障害となりあす。重度の呼吸不全ではCO2の拡散も障害され、PaO2の低下とPaCO2の上昇がみられるII型呼吸不全となります。

看護Roo! 呼吸不全の状態|呼吸より引用
https://www.kango-roo.com/learning/2335/



4.pHが増加すると酸素解離曲線は右方に移動する:×
→酸素解離曲線が右に移動すると、組織で赤血球が酸素を離しやすくなります。逆に酸素解離曲線が左に移動すると組織で赤血球が酸素を離しにくくなります。色々な状況で組織が酸素を欲しい時には酸素解離曲線が右に移動します。例えばアシドーシス (pHが低下・減少)の場合、酸素解離曲線は右に移動します


5.動脈血二酸化炭素分圧が増加するとpHは低下する:○
→CO2は生体内で酸として働くため、PaCO2が増加するとpHは低下します。以下はHenderson-Hasselbachの平衡式です。PaCO2が大きくなるとLogの分母が大きくなるのでLogの値が小さくなってpHが低くなります。一方、アルカリであるHCO3-が小さくなっても、Logの分母が小さくなってpHが低くなります。PaCO2の正常値が40mmHg、HCO3-の正常値が24mmol/Lも覚えておいてください。その場合、pHは7.4となります。

(補足)Logはxが大きくなるとyが大きくなり、xが小さくなるとyも小さくなる関数です。


 
(65) アナフィラキシーショックに関与するのはどれか。(61回午後65)
1.B細胞
2.好中球
3.NK細胞
4.肥満細胞
5.マクロファージ


【答え】4
【解説】
アナフィラキシーは即時型のType Iアレルギーです。従来はType IからType IVまでの分類でした。

最近ではType IIの亜型をType Vに分類する事もあります。

【I型アレルギー】即時型アレルギー(反応時間が早い)
即時型アレルギーで代表的なのは、ハチ刺され、薬物やワクチン・食べ物などに対する強いアレルギー反応(アナフィラィシー)で、時にショック状態となります。
このアレルギーは1回目のアレルゲン感作でIgE抗体ができて、それが肥満細胞の表面に結合しスタンバイ状態となります。その後、2回目のアレルゲン感作で強い免疫反応がおこり、肥満細胞からヒスタミンなどのメディエータが出てアレルギー症状が起こります。

1.B細胞:△
→B細胞は2回目のアレルゲン感作→ショックには直接関与しませんが、2回目のアレルゲン感作からIgE抗体産生に関与します。IgE抗体ができなければ、そもそもアナフィラキシーショックは生じませんので、関与がないとは言えません。



2.好中球:×
→好中球は自然免疫に関与します・

3.NK細胞:×
→NK (Natural Killer細胞)も好中球同様自然免疫に関与します。

4.肥満細胞:○

5.マクロファージ:△
→マクロファージは液性免疫で、1回目のアレルゲン感作の際に関与します。IgE抗体ができなければ、そもそもアナフィラキシーショックは生じませんので、関与がないとは言えません。



Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。


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