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第61回理学療法士国家試験直前予想問題:半月板損傷/離断性骨軟骨炎によるロッキング

今回は骨関節障害の3点問題について予想していきます。ずばり、テーマは膝ロッキングです。

膝のロッキングとは、膝関節内の半月板や軟骨の破片が隙間に挟まり、突然膝がロックされたように曲げ伸ばし不能になる現象をいいます。激痛を伴い歩行困難になることも多いです。原因としては半月板損傷や離断性骨軟骨炎が多いです。

膝の外傷のうち、前・後十字靱帯損傷などでは、膝が不安定にはなりますが、ロッキングは稀であることに注意してください

さて、国試では症例問題として未出題なので過去問はありません。なので、逆に出題される可能性があると見ています。資料が乏しいですが、私自身が最近経験した症例を紹介しましょう。

(1)41歳の女性。夜ベットに寝ようと右膝をついたときに「ばきっ」という音とともに右膝痛を自覚した。そのまま様子をみていたが、徐々に痛みが強くなり、右膝を屈曲したまま伸展できなくなったため、救急搬送された。救急外来受診時、右膝は屈曲したまま、動かそうとすると激痛で動かせなかった。MRI像(矢状断と冠状断)を示す。考えられる疾患は?

1.前十字靱帯損傷
2.後十字靱帯損傷
3.膝蓋骨骨折
4.半月板損傷
5.離断性骨軟骨炎

(2)(1)の症例で陽性となる検査は次のうちどれか?
1.前方引き出しテスト
2.後方引き出しテスト
3.ラックマンテスト
4.McMurrayテスト
5.Patrickテスト

【答え】(1)4 (2)5

このように3点問題で連続2問で出題されると、正解するか間違うかで得点が大きく異なります。2連続問題では1問目を正解しないと2問目が自動的にアウトになるので、ぜひ得点したいものです。そういう意味で予想問題として提示いたします。

【解説】
まず、病歴を読んで、膝関節のロッキングが起こっている事を読み解いてください。靱帯損傷の場合、膝がぐらぐらになり不安定になる事はあっても、ロッキングする事はほぼありません。膝関節のロッキングを起こす病気は半月板損傷と離断性骨軟骨炎が多いです。そこでMRIを見てみましょう。

これは、膝関節の矢状断の写真です。真ん中と右の写真で前十字靱帯と後十字靱帯がそれぞれ描出されます。前十字靱帯と後十字靱帯については、それぞれきれいに描出される断面が異なるので注意してください。通常、左側に前十字靱帯が見える断面、右側に後十字靱帯が見える断面が提示されます。中央の写真のように前十字靱帯が見える断面では、後十字靱帯は途切れて見えるので、後十字靱帯損傷と間違わないようにしてください。この症例では前十字靱帯も後十字靱帯も切れていないのがわかります。

一番左の写真を見ましょう。膝関節内前方になにやら塊が浮いているように見えます。周囲の白い(MRIでは高信号といいます)部分は液体を表し、急性発症だと出血が考えられます(慢性発症では膝関節液貯留が疑われます)。膝関節前方にある塊が異物をなって、膝をロッキングさせていると考えられます。

さらに2セット目のMRIを見てみましょう。

左と真ん中は矢状断で、向かって左が前方、右が後方になります。後方の半月板はくさび形となっており正常ですが、前方の半月板は途中でちぎれているように見えます。また前方関節内に通常みられない構造物が見られます。水分とも違いますのでちぎれた半月板から出血した血液が凝固したものと思われます。右の写真の冠状断でも、左側の半月板が消失しており、その上方は凝血塊?によって占拠された状態です。

これらから、病態は半月版損傷と考えられました。ロッキングは関節内に局所麻酔薬を注射した後、ゆっくり伸ばす事ができました。ニーブレースを装着し、後日高次医療機関を紹介し、手術予定となりました。

問題(2)は半月板損傷とわかれば、それを検出するテストはApleyテストとMcMurrayテストの2つという事になります。


半月板損傷の例として、医師国家試験問題を提示します。
(3)44歳の男性。右膝の疼痛と腫脹とを主訴に来院した。2日前にテニスの試合で右膝をひねってから疼痛と腫脹とが出現した。初診時は30°屈曲位で自動伸展不能であったが,診察で膝を動かしているうちに伸展できるようになった。膝関節単純MRIのTl強調矢状断像とT2強調矢状断像(A)(B)とを別に示す。考えられるのはどれか。(医師国家試験102回I53)

1. 半月板損傷
2. 骨軟骨骨折
3. 後十字靱帯損傷
4. 前十字靱帯損傷
5. 離断性骨軟骨炎

【答え】1
【解説】左の写真で前十字靱帯に異常ありません。半月板ははっきりしません。関節液が多い事から出血しているようにも見えます。もろもろしているのは凝血塊かもしれません。右の写真で右側の半月版の真ん中に白い層が見えます。水平に半月板が割れている所見です。という事で正解は1の半月版損傷です。私の経験した患者の方が鮮明のような気がしますね…。ははは。


さてロッキングを起こす膝疾患として、もう一つ、離断性骨軟骨炎を知っておきましょう。

膝の離断性骨軟骨炎は、成長期(10〜15歳)のスポーツ選手に好発する、大腿骨内顆の軟骨下骨が壊死し骨軟骨片が分離・遊離する疾患。初期はレントゲンで不明瞭なためMRIが有用で、膝のロッキングや疼痛を呈する。保存療法が原則だが、進行例では手術が必要となる。

ユビー病気のQ&A「離断性骨軟骨炎」とはどのような病気ですか?より引用
https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/3glhm_ccs5h

剥がれた骨軟骨の破片が関節の中を動き回るようになると「関節ねずみ」と呼ばれることもあり、痛みの経過によっては手術で取り除く必要が生じることもあります。

診断はCTやMRIが主体となります。

成尾整形外科病院
中高生アスリート必見!膝の離断性骨軟骨炎治療とスポーツ復帰の最新情報より引用
https://naruoseikei.com/blog/2025/01/OCD.html
しし整骨院:膝関節部の軟部組織損傷より引用
https://shishi-bone-fit.jp/chiro_clinic6/20210829175344/

離断性骨軟骨炎についてイメージがついたでしょうか?目に焼き付けておいてくださいね。

最後におまけの問題です。

50歳の女性。2日前に階段を下りた際に膝を捻った。その直後から左膝の痛みが続いているため受診した。左膝内側および膝窩部に痛みがあり、McMurrayテストが陽性であった。エックス線写真では明らかな異常所見を認めない。次に確認すべき検査はどれか。(59回午前4)
1.関節造影
2.CT
3.MRI
4.PET (positron emission tomography)
5.SPECT (single-photon emission computed tomography)

【答え】3(疾患はもちろん半月版損傷です)


膝関節のロッキング現象の原因となりやすいのはどれか。2つ選べ。
(42回午後76)
1. 離断性骨軟骨炎
2. 半月板損傷
3. 前十字靱帯損傷
4. 膝蓋大腿関節障害
5. 内側側副靱帯損傷

【答え】1,2

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