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第60回理学療法士国家試験 午前66−70の解説

(66) 血球と機能の組合せで正しいのはどれか。(60回午前66)

1.単 球 ー 抗体産生
2.顆粒球 ー 酸素運搬
3.血小板 ー 止血
4.赤血球 ー 細胞性免疫
5.リンパ球 ー 細菌貪食


【答え】3
【解説】
1.単 球 ー 抗体産生:×
→単球は血管内で異物の貪食作用があります。血管外に出ると、マクロファージや樹状細胞に分化します(どれも貪食作用があります)。抗体産生をするのはBリンパ球から分化した形質細胞です。


2.顆粒球 ー 酸素運搬:×
→白血球には内部につぶつぶの顆粒をもつ顆粒球と顆粒を持たないリンパ球・単球があります。すべて核(1個)があります。

顆粒が染色液で赤く染まる好酸球と、青く染まる好塩基球、染まらない好中球があります。
①好中球:顆粒球の95%を占める、異物を貪食し消化する。
②好酸球:アレルギーに関連する、寄生虫を処理する。
③好塩基球:アレルギーに関連する。
 
3.血小板 ー 止血:○

4.赤血球 ー 細胞性免疫×
→赤血球は酸素運搬を行います。細胞性免疫を担うのはリンパ球です。

5.リンパ球 ー 細菌貪食×
→Tリンパ球は細胞性免疫に関わります。Bリンパ球とBリンパ球が分化した形質細胞は抗体産生に関わります。細菌貪食と行うのは単球・マクロファージの他、好中球も貪食を行います。


(67) 胆汁で正しいのはどれか。(60回午前67)

1.アルカリ性である
2.胆嚢で産生される
3.蛋白質を分解する
4.リパーゼが含まれる
5.主に大腸で再吸収される


【答え】1
【解説】
胆汁は肝臓でコレステロールから作られ、胆嚢に蓄えられ、食事に合わせて十二指腸に分泌される消化液です。胆汁酸は膵液と共同で脂肪の吸収を助けます。

1.アルカリ性である:○
→十二指腸に分泌される事で、胃酸の酸性を中和します。

2.胆嚢で産生される:×
→肝臓で産生されます。

3.蛋白質を分解する:×
→蛋白質を分解するのは、胃(ペプシン)・膵液(トリプシン)・小腸(ジペブシン)などです。

4.リパーゼが含まれる:×
→リパーゼは膵液に含まれます。リパーゼと胆汁酸による脂肪の吸収を以下にまとめました(このYouTube動画は秀逸です)。

実況!消化吸収耐久レース 【実況のノリで学ぶ消化吸収】
https://www.youtube.com/watch?v=KJ1lGQtyjEI&t=901s より引用

5.主に大腸で再吸収される:×
→胆汁は回腸末端で再吸収されます(腸管循環といいます)。



(68) 月経で誤っているのはどれか。(60回午前68)

1.分泌期は10日間である
2.月経血は非凝固性である
3.月経期は黄体の退縮により生じる
4.エストロゲンは子宮内膜の再生に作用する
5.プロゲステロンは子宮内膜の分泌活動に作用する


【答え】1
【解説】
女性生殖器の問題は毎回マニアックな問題で難解な問題が出ますね。このような問題ははたとえ間違っても落ち込まなくても良いです。出題者は正解してくれ、点をあげようと思っていないです。このような問題は正解すればラッキーぐらいな感じしかありません。常々私は国試問題について、各問題の正解率を公表すべきだと思います。そして。正解率が一定の割合以下(たとえば40%以下)の問題を出題した出題者は警告とし、警告を繰り返す出題者は解任した方が良いと思っています。そうしないとこのような愚問が繰り返されるでしょう。はっきり言ってこのような知識は理学療法士には不要です。一応、各選択肢について調べてみました。

1.分泌期は10日間である:×
→下の図のように月経周期と子宮内膜の状態からみた期間の分類があります。ちなみに問題文では月経周期とは書いていません。
下図のように排卵後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。プロゲステロンは排卵直後から分泌量が増えますが、プロゲステロンはエストロゲンによって増殖した子宮粘膜に作用して、子宮内膜が厚くなり受精卵が着床できるよう準備をする時期でもあります。

生理のみかた 生理のしくみ
https://www.seirino-mikata.jp/knowledge/how/ より引用

上の図から、分泌期は排卵直後から月経までを指し、13〜14日間となります。一方、月経周期から見ると、黄体期は排卵の時期を除外するので、概ね10日間となります。なお、一般的には排卵した後、受精しなければ14日後に生理を迎えることから、14日というイメージとの間の相違点をついた嫌らしい問題だと思われます。

2.月経血は非凝固性である:○
→ケガをして血が止まらなかったら大変なことですが、月経血は固まらないのです。それは月経血中にプラスミンが豊富に含まれているからです。月経中に子宮内で大量に出血するので、そこで血液が凝固すると、月経血をうまく排泄できなくなります。それを防ぐために月経血は非凝固性となっているのです。人の体ってうまくできてますね。

3.月経期は黄体の退縮により生じる:○
→卵子が受精しなかった場合、黄体は退縮し、血液中のプロゲステロンは急減し、不要となった子宮内膜がはがれ、血液とともに排出されます。 これが月経です。

そのメカニズムについてはさまざまな仮説が提唱されています。
①コイル動脈の攣縮、②うっ血、③リンパ液灌流障害、④酵素融解、⑤アポトーシスなどが挙げられています(神崎秀陽:子宮内膜の周期性変化と月経。日産婦誌 50 (5): N107-110, 1998より引用、https://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/50/5/KJ00002859443.pdf


4.エストロゲンは子宮内膜の再生に作用する:○
→エストロゲンは子宮に作用して子宮内膜を増殖させる働きがあります。一度剥がれた内膜を再び増殖されるので再生という事になります。ただ単に増殖と書かずに、再生と書いている事で受験生を惑わそうとする意図がみえみえです。

5.プロゲステロンは子宮内膜の分泌活動に作用する:○
→プロゲステロンは排卵後から生理までの期間に分泌量が増加し、卵胞ホルモン(エストロゲン)によって厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすくすします。プロゲステロンはエストロゲンにより肥厚増殖した子宮内膜に作用して、腺の拡張、分泌能の亢進、血管の新生拡張などのいわゆる分泌期を形成します。

(69) 運動単位で正しいのはどれか。2つ選べ。(60回午前69)

1.運動単位には求心性線維が含まれる
2.神経支配比が大きい程精密な動きができる
3.活動単位の大きな運動単位が先に活動を始める
4.同じ運動単位に属する筋線維は同期して興奮する
5.運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位という


【答え】4と5
【解説】
1.運動単位には求心性線維が含まれる:×
→運動単位とは脊髄前角の前角細胞―軸索―神経終板―筋線維の事をいいます。

2.神経支配比が大きい程精密な動きができる:×
→運動単位では線維1本から複数の筋線維を支配しており、1本の神経がどれくらいの筋繊維を支配しているかを神経支配比といいます。神経支配比が小さいと細かい動きができますが(例:虫様筋)が、神経支配比が大きいとおおざっぱな動きになります(例:上腕二頭筋)。その他、眼球を動かす筋肉は細かい動きに対応するため1本の神経に対して10本の神経線維になっていますが、腓腹筋は1000本以上となっています。
 
3.活動単位の大きな運動単位が先に活動を始める:×
→運動単位は小さい力が必要な時は小さい運動単位だけ動員されて総員された運動単位は100%力を発揮するけど、動員されていない他の運動単位は全く活動しません。そして大きい力が必要になれば、中等度の運動単位→大きい運動単位と徐々に大きい運動単位が動員されていくことになります。これをサイズの法則といいます。


4.同じ運動単位に属する筋線維は同期して興奮する:○
→筋肉は運動単位ごとに収縮します(神経が複数の筋線維に分布しているから)。電気刺激が発生すると、収縮する運動単位は全部収縮しますが、収縮しない運動単位は全く収縮しません。これを全か無の法則といいます。

5.運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位という:○


(70) 肺気量分画のうちの2つを用いて肺胞換気量を算出する場合、使用するのはどれか。2つ選べ。(60回午前70)

1.残気量
2.1回換気量
3.死腔換気量
4.予備吸気量
5.予備呼気量


【答え】2と3
【解説】
問題文に肺気量とかかれていますので、以下のような肺気量分画の話かなと思いますが、実はそうではありません。またまたひっかけ問題です。

死腔とは、初出ではない(47回午前94で「肺気腫でみられるのはどれか」という問題で、選択肢に「解剖学的死腔の減少」があり、×となっています)ですが、過去19年間でその1カ所しか出ていませんでした。なので、Noteのまとめでも記載していませんでした。

死腔とは英語ではdead spaceといわれ、用途のない空間の事をいいます。呼吸生理では用途=ガス交換なので、ガス交換をしていない空間の事をいいます。たとえば、息を吸ったときに、気管や気管支には肺胞がありませんので、その部分は死腔となります。このような死腔を解剖学的死腔といい、成人では約150mLあると言われています。なお、解剖学的死腔に対して生理的死腔というものもあります。簡単にいえば、血流のない肺胞の事をいいます。余裕があれば調べてみてください。

下図のように、たとえば吸気で息を吸ったとき、実際にガス交換のために肺胞に到達する空気は(1回換気量をたとえば450mLとすると)、死腔150mLを引いた(450-150)300mLしかありません。

したがって、問題の答えについて言うと
(肺胞換気量)=(1回換気量)ー (死腔換気量)
となります。

これを臨床的に考えると、「深くてゆっくりとした呼吸」と「浅くて速い呼吸」のどっちが良いかがあります。よく、患者さんが呼吸苦を訴え、はーはー頻呼吸となっている場合、「ゆっくりと大きな呼吸をしてください」と言いませんか?でもそれはなぜでしょうか?考えたことありますか?

これを死腔換気量と併せて考えてみましょう。
下図の上は浅くて速い呼吸です。一回換気量=300mL、呼吸数20回としましょう。そして下図の下は深くてゆっくりとした呼吸です。1回換気量は500mL、呼吸数12回とします。

口元で測った換気量をみると、以下のようになります。
浅くて速い呼吸= 300mL×20 = 6,000mL
深くて遅い呼吸= 500mL×12 = 6,000mL
このように口元で測った換気量は浅くて速い呼吸も深くて遅い呼吸も同じです。

しかし、実際に肺胞に到達してガス交換に関与する肺胞換気量はどうでしょうか?それぞれ死腔換気量を150mLとして計算すると
浅くて速い呼吸 = (350-150)×20 = 3,000mL
深くて遅い呼吸 = (500-150) ×12 = 4,200mL

いかがでしょうか?深くて遅い(ゆっくりとした)呼吸の方が、1分間に1,200mLも肺胞換気量が多いことになります。このように、浅くて速い呼吸は生体にとって不利なのです。はーはー頻呼吸の患者さんを見かけたら、「ゆっくり大きい呼吸をしてくださいね」と自信も持って言いましょう。ただし患者さんには「その方が肺胞換気量が増えるからね」とは言ってはいけません。絶対にわかりませんから。おそらく先輩PTも知らないでしょう、ははは。

Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。










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