第60回理学療法士国家試験 午前56−60の解説
(56) 下垂体後葉から分泌されるホルモンはどれか。2つ選べ。(60回午前56)
1.グレリン
2.エストロゲン
3.オキシトシン
4.バゾプレシン
5.アルドステロン
【答え】3と4
【解説】
1.グレリン:×
→胃から分泌される食欲を増進させるホルモン。一方レプチンは脂肪細胞から分泌され食欲を抑える。
2.エストロゲン:×卵巣から分泌される
3.オキシトシン:○
4.バゾプレシン:○
5.アルドステロン:×副腎皮質から分泌される
ゴロー@解剖イラスト 下垂体ホルモンの覚え方が最高に良いです。59回のホルモン問題が難解だったので、今回のホルモン問題はサービス問題でした。


https://twitter.com/rockybabyto/status/686449482272079872 より引用
(57) 視覚器で正しいのはどれか。(60回午前57)
1.杆体は色を感知する
2.網膜の黄斑には錐体が多い
3.角膜には神経は分布していない
4.網膜の中心窩は視野に盲点を生じる
5.硝子体は屈折率の変化により焦点距離を調節する
【答え】2
【解説】
視覚器か聴覚・平行感覚器はどちらかが毎年かならず出題されますので、しっかり勉強しておいてください。
1.杆体は色を感知する:×
→視覚を司る視細胞は、光を受容して色や形などの情報を把握する細胞です。網膜に存在し、光を受容することで興奮し、その興奮が脳に伝えられます。
視細胞には2種類の細胞があり、杆体(桿体細胞)と錐体細胞があります。色を感知する細胞は錐体細胞です。錐体→ピラミッドと連想し、光をピラミッド型のプリズムで色が分かれて、虹色が見えるとイメージしてください。また、錐体細胞は黄斑部に集中して存在します。

2.網膜の黄斑には錐体が多い:○
3.角膜には神経は分布していない:×
→角膜反射ってありますよね。角膜を刺激すると、眼をつぶる反射です。このように角膜には感覚神経(三叉神経V1の眼神経)が分布しています。

4.網膜の中心窩は視野に盲点を生じる:×
→網膜の中心窩とは、網膜の後方中心部にある黄斑のなかにある、やや窪んだ部分です。視力を司る錐体細胞(視細胞の一種)が特に密集しており、視覚機能において重要な役割を担っています。一方、視神経乳頭は視神経が集まるところで、中心部は網膜がないので盲点となります。

5.硝子体は屈折率の変化により焦点距離を調節する:×
→焦点距離を調節するのは、水晶体と毛様体です。

毛様体と水晶体の関係がなかなかイメージできないため、国試に良くでます。毛様体は中心にむかって縦に線維が走っているのではなくて、円形に走行しています。したがって、毛様体が収縮すると輪が小さくなり、その結果、水晶体が厚くなります。逆に毛様体が弛緩すると輪が大きくなり、水晶体は薄くなります。この事をしっかり理解してください。

(58) 動脈とその触診部位の組合せで誤っているのはどれか。(60回午前58)
1.内頚動脈 ー 鎖骨内側1/3
2.上腕動脈 ー 上腕二頭筋腱内側
3.橈骨動脈 ー 橈骨手根屈筋腱外側
4.大腿動脈 ー 上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ中点
5.足背動脈 ー 長母指伸筋腱外側
【答え】1
【解説】
厳密に言われると迷いますね…。内側とか外側とか…。まさに国試のための知識です。まあ、明らかに違うものがあります。
1.内頚動脈 ー 鎖骨内側1/3 ×
→頚の総頚動脈は下図左のように、背臥位で甲状軟骨を触れてから、指を手前にずらし、胸鎖乳突筋の前で触知する事ができます。内頚動脈は総頚動脈の頭側で内頚動脈と外頚動脈に分枝します。したがって低位の鎖骨内側で触れることはありません。

2.上腕動脈 ー 上腕二頭筋腱内側:○

https://pt-dodo.com/article/brachial-artery.html より引用
3.橈骨動脈 ー 橈骨手根屈筋腱外側:○

https://rehatora.net/橈骨手根屈筋 より引用

4.大腿動脈 ー 上前腸骨棘と恥骨結合を結ぶ中点:○

https://pt-dodo.com/article/femoral-artery.html より引用
5.足背動脈 ー 長母指伸筋腱外側:○
→長母指伸筋腱と長趾伸筋腱の間(長母指伸筋腱の外側)です。

https://physioapproach.com/sokuhaidomyaku.html より引用
(59) 脊髄で運動神経の細胞体が主に存在する部位はどれか。(60回午前59)
1.後角
2.後索
3.前角
4.前索
5.側索
【答え】3
【解説】
今年は昨年(59回午後55)みたいにひねくれた問題ではなくて、まっとうな出題でした。運動神経の細胞体と、はっきり運動神経と書いてます。運動ニューロンは大脳皮質から始まり、一次ニューロンの細胞体は大脳皮質にあります(Betz細胞ですね)。それが、錐体路として脊髄(側索)を下行してきて、脊髄の前角で二次ニューロンに中継して、末梢神経となります。したがって、脊髄での運動神経(この場合二次ニューロンです)の細胞体は脊髄前角にあります。
なお、運動神経の場合、一次にユーロンを上位ニューロン、二次ニューロンを下位ニューロンとも呼びます。

なお59回午後55では感覚神経のニューロンの細胞体がどこにあるかというすこしひねくれた問題がでましたね。
*******************************************************
一次ニューロンの細胞体が主に存在する部位はどれか。(59回午後55)
1.後角
2.後索
3.前角
4.側索
5.後根神経節
*******************************************************
答え 5
問題では感覚神経とは書いてなくて、運動神経と勘違いして3を選んで間違った人もいるかもしれません。この問題では一次ニューロンと書いてあるので、運動神経の場合、一次ニューロンの細胞体があるのは大脳皮質です。前角は二次ニューロンなのですね。なので、ここでいう一次ニューロンは感覚神経なのです。そして感覚神経の細胞体は後根神経節にあります。
今回に出題は、59回午後55がひねくれすぎていたので、反省の意味の込めて、サービス問題としたのでしょう。
(60) 被殻の支配動脈を分枝するのはどれか。(60回午前60)
1.前大脳動脈
2.中大脳動脈
3.後大脳動脈
4.脳底動脈
5.椎骨動脈
【答え】2
【解説】
下図におおまかな脳の灌流領域を示します。
赤:前大脳動脈
緑:中大脳動脈
黄:内頚動脈
青:後大脳動脈
です。
大脳基底核である、被殻・尾状核・淡蒼球は中大脳動脈から分枝するレンズ核線条体動脈で栄養されます。それに対して視床は後大脳動脈から分枝する視床穿通枝動脈から栄養されます。また内包は内頚動脈から分枝する前脈絡叢動脈から栄養されます。

・被殻・淡蒼球・尾状核→レンズ核線条体動脈→中大脳動脈
・視床 →視床穿通枝動脈→後大脳動脈
・内包 (前脚) →レンズ核線条体動脈→中大脳動脈
・内包 (後脚) →前脈絡叢動脈→内頚動脈
・眼 →内頚動脈から直接分枝

https://pt-dodo.com/article/middle-cerebral-artery.html
レンズ核線条体動脈はすごく細い(髪の毛みたい)ので、高血圧で出血したり、動脈硬化で詰まってラクナ脳梗塞になりやすいです。
また眼動脈や内包を栄養する前脈絡叢動脈は内頚動脈がから直接分枝する事も押さえておいてください。

Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。
