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第58回理学療法士国家試験 午後86-90の解説

86.遠城寺式乳幼児分析的発達検査において、生後12ヶ月以前に観察されるのはどれか。2つ選べ。
 
1.走る
2.3語言える
3.人見知りをする
4.積み木を2つ重ねる
5.コップを自分でもって飲む


【答え】3、5
【解説】
 小児の発達過程の問題ですね。遠城寺式はときどき出題されますが、項目が非常に多い割に数年に1回しか出題されず、勉強量に対する効果(ほぼ1点問題)すなわちコストパフォーマンスが非常に悪い領域です。
 どこまで勉強するか非常に悩ましいですね。発達過程は遠城寺の他にデンバー式というのもあるし…。いろいろ苦労して覚え方を考えました。ネット上では覚え方はほとんど出ていませんね…。気に入ったものがあれば使ってみてください_m( )m_。

 医師や看護師が基本的に覚えている古典的発達過程に「あやおとくねがいとおすはつかまったひと」というのがあります。遠城寺式とは一部違っていますが、以下に示します。

 左枠が古典的発達過程です。中央と右が遠城寺(?)です。「あや・おと・く」から続いて5ヶ月から寝返りの「ねが・ねが・ばい・ばい・ばい・ばい」とつながって、9・10ヶ月は「ばい・ばい」に重ねて「つか・つか」と覚えました。

 なお左枠の古典的発達過程では「人見知り」が6ヶ月になっていますが、遠城寺では11ヶ月になっています。これは下のイラストのように、セブンイレブンで店員さんに人見知りして赤ちゃんが泣くのをイメージして覚えるようにしました。

セブンイレブン(11)で赤ちゃんが人見知り

 コップ関連は、以下の握り方と合わせて覚えました(下表の緑の部分です)。「コップから飲む」はしっかりと握らず手掌にぎりで両手ではさんで飲むとしました。「コップで両手で飲む」は橈側にぎりでコップの取手をつまんで飲むとして8ヶ月、「コップで自分で飲む」はさらに進んでコップを手の平で丸く包んで10ヶ月(コップの形が0」で覚えるようにしました。

その他「スプーンを使える」のはスプーンにイチゴをのせて1.5歳です。
「片手でコップを持って飲む」は、コに○のイラストから柄付きのコップを連想して、下図の赤線から10をひねり出してください。

あと、よくある選択肢では「バイバイ」が10ヶ月です。これは両手の10本の指でバイバイで10ヶ月と覚えました。ついでに積み木を二つ持って打ち鳴らすのも10ヶ月と覚えました。

書く能力は以下の3つです。

 積み木関連は3つです。積み木を2個積むのは、上側の積み木を半分の大きさでイメージして1.5歳と覚えました。

 運動に関しては、一人立ちは1歳、走るのは「イチロー」で1.6歳階段は2歳で登っていって、3歳で降りてくると覚えました。「ボールを蹴る」はとーキック (Toe kick)で2歳(Toe→Two)で覚えました。

2歳で階段登って、3歳で階段降りてくる(1年かかるんかい〜?)

 言葉は以下の表で覚えました。1語1歳、2語2歳、3語3歳です。
ただし1語文(単語ですね)のパパは1歳、だけど「まんま{ママ)」は8ヶ月で言えます。「はいはい」が8ヶ月なので、「まんままんま」と言いながらハイハイして近づいてくるイメージを持つと覚えやすいかもしれません。

 まだまだたくさんあって、きりがないです。ある程度割り切って、覚えていなくても1点問題ですし、覚えたものがでればラッキーぐらいの気構えで勉強するのが良いかと思います。完璧に覚えて対策するには、覚える項目が多いですし、労力に対して得点(1点)が見合いません。でも1点に泣く場合もありますからね…。悩ましいです。

 では選択肢を見て行きます。中途半端な覚え方でごめんなさい。この知識を維持するのは大変でした。

1.走る:× 
 ひとり立ちが12ヶ月(1歳)なので走るのは12ヶ月以内が常識的に無理です。「走るイチロー」で走るのは1.6歳です。

2.3語言える:×
 3語文を言えるのは3歳です。2語文は2歳です。1語文(単語ですね)のパパは1歳、だけど「まんま{ママ)」は8ヶ月で言えます。

3.人見知りをする:○
 古典的な発達過程では「人見知り」は6ヶ月ですが、遠城寺では「セブンイレブンで人見知り」ですから11ヶ月です。いずれにしても12ヶ月以内です。

4.積み木を2つ重ねる:×
 積み木を2つ重ねるのは、1.5歳です(積み木の上が半分の大きさで覚えます)。

5.コップを自分でもって飲む:○
 「コップを自分でもって飲む」は 10ヶ月でできるようになります。


87.ICFにおける「参加」の評価に最も関連する情報はどれか。(58回午後87)
 
1.教育歴
2.住環境
3.職業適性
4.認知機能
5.セルフケア能力


【答え】3
【解説】
 午前も午後もICFですね…。今年はADL関連の問題が多かったです…。
ICF の「参加」の評価項目ですが、趣味や社会活動、労働、学習活動などが上げられます。

Whillお役立ちコラム ICF(国際生活機能分類)とは? わかりやすく解説します から引用https://whill.inc/jp/column/icf

選択肢を見ていきます。
1.教育歴:× → 個人因子
2.住環境:× → 環境因子
3.職業適性:○
4.認知機能:× →心身機能
5.セルフケア能力:× →ADLは活動

88.関節リウマチで起こりにくいのはどれか。(58回午後88)
 
1.オペラグラス変形
2.尺側偏位
3.スワンネック変形
4.フォーク状変形
5.ボタン穴変形


【答え】4
【解説】
リウマチの関節変形はいろいろあるので国試頻出ですね。
リウマチの手の変形は以下の通りです。

 このうち、スワンネック変形ボタン穴変形はPIPの病変です。スワンネック変形はPIPの屈筋腱が断裂し、PIPが過伸展になります。ボタン穴変形はPIPの伸筋腱が断裂して、PIPが屈曲します。スワンネック変形とボタン穴変形に対する以下の装具も知っておきたいですね。

 さて、選択肢の中で、
2.尺側偏位、3.スワンネック変形、5.ボタン穴変形 はすぐにわかると思います。すると正解は 1.オペラグラス変形か、4.フォーク状変形になりますが…。

 オペラグラス変形って聞いたことありますか?国試では一度もでていません。

 う〜ん??

 調べてみました。すると、オペラグラス変形とはムチランス変形の別名だそうです。オペラグラスとは中世の貴婦人が使っていた伸び縮みする望遠鏡の事です。ムチランス変形は指の関節が破壊されて、短くなりますが、引っ張ると伸びることからオペラグラス変形とも呼ばれたそうです。

 う〜ん…。また出ました。別名で出題するパターン。なぜムチランス変形と出題しないのでしょうか?意地悪い出題委員です。基本的な呼び名で出題で良いではないですか?
 別名で出題して受験生を惑わしているのです。なぜ良く使われるムチランス変形を選択肢にしないのでしょうか?個人的には「出題はもっとも使用される頻度の高い呼び名を使用し、使用頻度の少ない別名は出題から避ける」というルールにしてもらいたいです。こうする事で意地の悪い出題はかなり減るような気がしますが…。

 さて、選択肢の中でリウマチと関連のないのは4のフォーク状変形です。これについては58回午前89でも解説しましたが、Colles骨折に伴う変形を指します。

花子のまとめノート 橈骨遠位端骨折 より引用・改変https://www.hanakonote.com/byoutaiseiri/toukotsufr.html


89.CRPS type Iに分類されるのはどれか。2つ選べ。(58回午後89)
 
1.幻肢痛
2.視床痛
3.肩手症候群
4.Sudeck骨萎縮
5.帯状疱疹後神経痛


【答え】3、4
【解説】
 CRPSとはcomplex regional pain syndrome (複合性局所疼痛症候群)の事で、外傷、手術、疾病など身体への侵害的事象を誘因として発症する慢性疼痛症候群です。明らかな末梢神経損傷のない CRPS I型と,末梢神経損傷のあるCRPS II型に分類されています。
 CRPSが国試で問われる場合は、明らかな末梢神経障害がないCPRS I型が問われます。そしてCPRS I型は2つの病態が重要です。それは肩手症候群とSudeck骨萎縮です。

 まず最初は肩手症候群です。肩手症候群とは脳梗塞の後、しばらく(1ヶ月くらい)すると、麻痺側の肩や手に発赤や浮腫を生じ、痛みを伴うもの。痛みのために腕や手を動かさなくなるものです。

 肩手症候群の特徴を下にまとめました。脳梗塞のリハビリでは肩を脱臼しやすいので注意するようにしてください(これは実習や臨床で安全管理の面で重要になります)。

 そして次はSudeck骨萎縮です。Sudeck骨萎縮とは四肢の外傷後に急性に現れる痛みを伴う骨萎縮です。交感神経性の反射で生じた神経循環系の異常反応による骨萎縮と考えられています。四肢の疼痛と圧痛、血管運動神経失調、発汗異常がみられます。
 初期には、皮膚温は上昇し、発赤と浮腫がみられます(肩手症候群と似ていますね)。進行すると関節拘縮を生じます。

木村浩彰 複合性局所疼痛症候群の診断と治療 より引用
Jpn J Rehabil Med 2016;53:610-614

51回には以下のような出題があります
……………………………………………………………………………
CRPS (複合性局所疼痛症候群)に関連するのはどれか。(51回午後87)
1.Dupuytren拘縮
2.Volkmann拘縮
3.Sudeck骨萎縮
4.無腐性壊死
5. 異所性骨化

          51回午後87の答え:3
……………………………………………………………………………

 では選択肢を見ていきます。

1.幻肢痛:× 切断が原因ですのでCRPS II型です。
2.視床痛:× 視床梗塞や視床出血がゲインですのでCPRS II型です。
3.肩手症候群:○ CPRS I型です。
4.Sudeck骨萎縮:○ CPRS I型です。
5.帯状疱疹後神経痛:× ヘルペスウイルが原因ですのでCRPS II型です。

90.脳梗塞で正しいのはどれか。(58回午後90)
 
1.脳動脈瘤の合併が多い
2.我が国の死因の第1位である
3.心房細動は脳塞栓の原因となる
4.くも膜下出血に比べ、発症後の死亡率は高い
5.原因に関わらず抗血小板薬の投与が行われる


【答え】3
【解説】脳梗塞の基本的な知識を問う問題です。

1.脳動脈瘤の合併が多い:×
 脳動脈瘤の合併が多いのはくも膜下出血です。

2.我が国の死因の第1位である
 我が国の死因の1位は悪性新生物(がん)です。2位は心疾患、3位は老衰で脳血管疾患は第4位となっています。

令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚労省)より引用

3.心房細動は脳塞栓の原因となる:○ 
 心房細動で左心房にできる血栓は脳塞栓症の主な原因です【国試頻出】。

4.くも膜下出血に比べ、発症後の死亡率は高い:× 
 くも膜下出血は出血が多ければ脳圧亢進により突然死する場合がありま 
 す。

5.原因に関わらず抗血小板薬の投与が行われる:×
 脳梗塞の治療については、動脈硬化などで脳の動脈が狭くなる事を脳血栓症といいますが、その場合は血小板の関与が大きいので、抗血小板薬(アスピリンなど)が用いられます。
 一方、心房細動で左心房に血栓ができるような場合は静脈系に血栓ができますが、この場合は血小板ではなく凝固因子の関与が大きいので、抗凝固薬(ワーファリンなど)を用います。
 アスピリンやワーファリンは今後薬物が国試に出題される場合のヤマになると思います。


Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。

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