第60回理学療法士国家試験 午前46−50の解説
(46) 錐体外路に含まれないのはどれか。(60回午前46)
1.黒質
2.視床下核
3.錐体交叉
4.線条体
5.淡蒼球
【答え】3
【解説】
錐体外路に含まれないものなので、錐体路に含まれるものを探せば良い問題です。答えは錐体交叉ですね。
線条体と淡蒼球は大脳基底核と呼ばれるものです。錐体路は大脳皮質ー放線冠ー内包をとおって中脳の大脳脚へと下りていきますが、内包の周囲の大脳基底核が取り巻いており、運動のなめらかさなどを調節する役割があります。

錐体外路とは、基本的に線条体(尾状核・被殻)、淡蒼球、視床下核、黒質を指します。線条体(尾状核・被殻)、淡蒼球、視床下核は内包を取り囲んでいますが、黒質だけ少し離れていますね。

解剖学で学習していると思いますが、中脳には黒質という部位があります。この黒質も錐体外路の一つです。実は、黒質と大脳基底核の線条体は神経線維でつながっていて、黒質線条体系と言われます。そして中脳の黒質において生成されるドパミンが線条体に運ばれて、神経伝達物質として働きます。なので黒質も重要なのです。

黒質線条体系において、ドパミンの生成がすくなくなるとパーキンソン病になります(パーキンソン病とは黒質線条体系でのドパミン不足が原因なんです)。パーキンソン病以外にも錐体外路が障害されると、パーキンソン症状の他、以下に挙げられるような症状を呈し、これらを錐体外路症状といいます(次に国試に出るかも?国試勉強とは、出された問題から知識を膨らませていくのが効果的です)。「パ・ジャ・ジャ・ア〜」から「パ・ジャ・マー(じゃーのつもり)・あかーん(アカ)」と覚える??


また、レビー小体型認知症では、レビー小体が黒質のドパミン神経細胞を変性させ、ドパミン産生を減少させる事がわかっています。したがって、レビー小体型認知症では、パーキンソン病と類似の症状を呈します(たとえば、レム睡眠行動異常症など)。
さらに、錐体外路とは直接関係しませんが、統合失調症では中脳と大脳辺縁系をつなぐ経路があるんですが、そこで、ドパミン産生が過剰となる結果、妄想や幻覚などの陽性症状をきたし、ドパミン産生が低下すると陰性症状を呈すると言われています。そして、抗精神病薬はドパミン産生を抑制する結果、統合失調症の陽性症状を抑えます。したがって、抗精神病薬が過剰となると、中脳の黒質でもドパミン産生が抑制される結果、錐体外路症状を呈するようになるので注意が必要です。

(47) 自律神経障害の症状はどれか。2つ選べ。(60回午前47)
1.振戦
2.複視
3.不整脈
4.血圧低下
5.視力低下
【答え】3と4
【解説】
自律神経とは交感神経と副交感神経の事です。

1.振戦:×
→振戦はパーキンソン病や小脳失調でみられます。パーキンソン病では安静時振戦、小脳失調では企図振戦がみられます。
2.複視:×
→複視はものが二つに見える事で、左右の目の焦点が合わずにおきます。動眼神経・滑車神経・外転神経という三つの脳神経に何らかの異常をきたした場合に怒ります。交感神経・副交感神経は瞳孔の大きさを調節しますが、目の動きの調節には関与しません。
3.不整脈:○
→交感神経・副交感神経は心臓に分布して、心拍数を速くしたり(交感神経)、遅くしたり(副交感神経)したりする他、心収縮力を強くしたり(交感神経)、弱くしたり(副交感神経)します。そして、自律神経障害では脈が乱れて不整脈を起こしたりします。
4.血圧低下:○
→交感神経・副交感神経は動脈(抵抗血管)にも分布しており、交感神経障害により血管が拡張すると血圧が下がり低血圧になります。また、心臓に対して心収縮力を低下させる事も低血圧の原因になります。
5.視力低下:×
→交感神経や副交感神経は瞳孔の大きさの調節には関与しますが、視力には影響しません。
(48) 小脳梗塞でみられるのはどれか。2つ選べ。(60回午前48)
1.眼振
2.球麻痺
3.運動失調
4.同名半盲
5.遂行機能障害
【答え】1と3
【解説】
小脳梗塞では小脳失調症状が出ます。運動をするときの調節ができなくなります。

1.眼振:○
→目の動きの調節ができなくなって眼振を起こすことを企図眼振と呼びます。
2.球麻痺:×
→球麻痺とは、延髄にある脳神経核(9〜12脳神経)が障害され、口・舌・喉の運動障害によって起こる症状で、構音障害、嚥下障害などの障害が生じます。延髄を外側から見るとボールのように丸い形をしているので 球に例えて球麻痺と呼ばれます。舌下神経の麻痺により舌の萎縮が起こります。
また仮性球麻痺とは大脳の障害によって、球麻痺と同じような症状を起こすことを呼びます。舌下神経については上位運動ニューロン障害となるため、舌の萎縮はおこりません。
************国試過去問33-91(来年でるかも?)******
仮性球麻痺の症状で正しいのはどれか.2つ選べ.
1.構音障害
2.眼球運動障害
3.難聴
4.舌の萎縮
5.嚥下障害
答え:1と5
2は中脳(動眼神経・滑車神経)、橋(外転神経)の障害
3は橋(聴神経)
4は舌の萎縮はおこらない
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3.運動失調:○
→いわゆる小脳失調です。
4.同名半盲:×
→同名半盲は視索・外側膝状体・視放線・視覚野の障害で見られます。

5.遂行機能障害:×
→遂行機能障害は前頭葉が障害されたときに見られます。
(49) 無作為化比較試験で正しいのはどれか。(60回午前49)
1.観察研究である
2.交絡因子の影響を小さくできる
3.インフォームドコンセントは不要である
4.因子間の相互関係を調べることが目的である
5.診療録に記載してある過去の記録で調査できる
【答え】2
【解説】
無作為化比較試験は、患者をある治療をする群と治療をしない群の2つに振り分けて、その後の効果(死亡率など)に差があったかを調べる方法で、患者に治療をするかしないかという介入を行うため、介入研究といいます。

無作為化比較試験の最大の特徴は、患者を治療を受ける群と、治療を受けない群に割り付ける場合に、無作為化するという点です。たとえば、上図のように、患者を二つの群に割り付ける際にサイコロを振って、奇数なら治療なしの群に、偶数なら治療を受ける群に割り付けます。こうする(ランダム化する)事で、治療を受ける・受けないという事以外は2つの群の背景因子をほぼ同じにする事ができるのです。
1.観察研究である:×
→介入研究です。
2.交絡因子の影響を小さくできる:○
→結果に影響をおよぼす可能性のある因子を交絡因子と呼びます。無作為化比較試験では、治療を受ける・受けないという条件以外は2つの群の背景因子をほぼ同じにする事ができるので、交絡因子の影響を小さくできます。
3.インフォームドコンセントは不要である:×
→ある治療をするか、しないかを患者の意志に関係なく割り付けるので、事前にどちらの群になっても良いという同意を得なければなりません。その意味でインフォームドコンセントが必要です。
4.因子間の相互関係を調べることが目的である:×
→因子間の相互関係を調べるのではなくて、因子の有無による影響をしらべる事が目的です。
5.診療録に記載してある過去の記録で調査できる:×
→無作為化比較試験は前向き研究です(ある時点から将来の事を調べる)。過去の記録で調査する後ろ向き研究ではありません。
研究デザインについては以下を参照してください。
(50) 三次予防にあたるのはどれか。(60回午前50)
1.高血圧患者の薬物療法
2.高齢者の骨折予防指導
3.乳癌のマンモグラフィ検診
4.脳卒中患者の職場復帰支援
5.インフルエンザワクチンの接種
【答え】4
【解説】
・一次予防とは生活習慣の改善、健康教育、予防接種などの病気にかからないように事前に施す処置や指導のこと(いわゆる予防)
・二次予防は病気の早期発見・早期治療
・三次予防は再発予防やリハビリテーション
二次予防を早期発見・早期治療とだけ覚えれば、一次予防・三次予防もわかると思います。
1.高血圧患者の薬物療法:×→早期治療=二次予防
2.高齢者の骨折予防指導:×→予防=一次予防
3.乳癌のマンモグラフィ検診:×早期発見→二次予防
4.脳卒中患者の職場復帰支援:○リハビリみたいなもの
5.インフルエンザワクチンの接種:×予防=一次予防
Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。
