第60回理学療法士国家試験 午後21−25の解説
(21) CBRマトリックスに含まれる項目はどれか。2つ選べ。(60回午後21)
1.教育
2.人生の質
3.バリアフリー
4.エンパワメント
5.ユニバーサルデザイン
【答え】5
【解説】
58回午前46の類似問題です。今年は2年前の問題の類似問題が比較的多く出題されました。61回に向けて59回の問題の周辺知識を整理したおいた方がよいかもです。

類似問題の【答え】4
この問題をもとに、CBRマトリックスの主要5領域は覚えておいた方が良いとして、サイトのリハビリ医学2: 05ノーマライゼーションにおいて、以下の説明を行い、覚え方も解説していましたので、真面目に(?)取り組んでいただいた受験生は正解できたと思います。
CBRとはcommunity based rehabilitationの略で地域に根ざしたリハビリテーションを意味します。「保健」「教育」「生形」「社会」「エンパワメント」の5つの主要領域があります。

CBRは日本とは違ってリハビリが未発達な発展途上国において障害のある人や社会的ニーズを抱えた人たちの生活や環境の改善のためどのようなアプローチをすべきかを模索するためのツールです。
アプローチの方法を考えるためにCBRマトリックスというツールが用いられているようです。マトリックスとは行列の事です(映画マトリックスは文字の行列という意味でしょうか?)
一番上に主要な領域が5つ掲げられています。その下にそれぞれ5つの付随する下位領域が示されています。これらすべてを覚える事はほぼ不可能ですが、今回、一番上の5つの主要領域が問われました。
聞き慣れない言葉が一つあります。エンパワメント(enpowerment)です。エンパワメントとは、power(力)という事から「力を与えること」「権限を与えること」「自信を与えること」「力を付けてやること」などの意味を持つ英単語です、組織を構成する一人ひとりが本来持っている力を発揮し、自らの意思決定により自発的に行動できるようにすることを意味します。
一応主要5領域の覚え方を受験生のために考えました。
「CBRマトリックスを保健の先生が教育しようとしましたが、難しくて無理だったので、社会科の先生に交代したんですが、パワハラで有名な先生で、生徒がケガさせられたので、整形(生形)の先生に治療してもらいました」
ちょっと長いですが、一応覚えられるかな?と…。家では却下されるかも?
前述のエンパワメントは勉強していなければわかりにくい言葉なので、今後出題されるとしたら、この領域ではないでしょうか?
その意味で下位領域の中にあるアドボカシーを勉強しておこうと思います。アドボカシー(advocacy)の語源はad-とvacacyからなります。ad-は英語で「〜に向かって」という意味になります。go to schoolの「to」と同じです。あとvocacyはvocalから想像できるように「声を上げる」事です。ですから「advocasy」は「〜にむかって声を上げる」という意味です。これらからCBRマトリックスでは「障害者の権利擁護のために声を上げてたたかうこと」という意味になります。
(22) 要介護者を対象としたケアプラン第1票に記載される項目はどれか。(60回午後22)
1.総合的な援助の方針
2.生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
3.週間サービスの内容
4.サービス担当者会議の要点
5.支援経過
【答え】1
【解説】
ケアプランについては以下のように厚労省が第1票から第7票まで洋式を示しています。
・第1票:施設サービス計画書(1)ご利用者の基本情報、希望や総合的な援助方針
・第2票:施設サービス計画書(2)解決すべき課題(ニーズ)、目標、具体的な援助内容や期間
・第3票:週間サービス計画表
・第4票:日課計画表
・第5票:サービス担当者会議の要点
・第6票:サービス担当者に対する照会(依頼)内容
・第7票:施設介護経過
第1票から第7票まで覚える必要はありません。ケアプランはケアマネージャーが作成するもので、理学療法士の業務ではありません。業務でないものを国家試験に出題するのはどうかと思いますが、今回は内容を知らなくても攻略できます。問題が第2票とか、第3票は何かと問うのはエグい出題ですが、今回は第1票です。
第1票に「3.週間サービスの内容」、「4.サービス担当者会議の要点」「5.支援経過」といった項目が来るわけがありません。細かい内容だからです。したがって「1.総合的な援助の方針」か「2.生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」ですが、より大きな内容といえば、「1.総合的な援助の方針」が適切だと思います。
このようにわけのわからない内容の場合でもあきらめずに推理で突破しましょう。
(23) 国際疾病分類はどれか。(60回午後23)
1.ICD
2.ICF
3.ICF-CY
4.ICHI
5.ICIDH
【答え】1
【解説】
1.ICD:○
→International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsの略で「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(国際疾病分類)」の事です。WHOが作製した分類で定期的に改訂され、最新のものはICD-10 (2013年版)が使われています。
2.ICF:×
→ICFはInternational Classification of Functioning, Disability and Healthの略で国際生活機能分類と呼ばれるADLに関する分類です。ICIDHではモデルが一方通行で、機能障害が改善されなければ、他は改善されないという点、住環境やサービス環境は無視されていたことが問題になり2001年5月にWHOが採択したICIDHに代わる分類法です。

3.ICF-CY:×
→ICF-CY(Children and Youth Version、同児童版)は、2007年、WHOから公表されたICFの派生分類です。出生から18歳までを対象としています。ICFと同様に生活機能の状況を記述するものとして、関係者間等での共通言語としての役割が期待されるものです。また、ICFと同じ基本設計のもと、200余の新たな分類項目の拡充や修正等が行われ、ICFの既存の分類項目と合わせて1600余の項目を有する、より厚い冊子として刊行されました。
うーん、61回で出題される匂いがプンプンします。とりあえず、CYがChildrenとYouth(Youngの事)と覚えましょう。
4.ICHI:×
→International Classification of Health Interventionsの略で、医療行為の国際分類です。WHO は国際統計分類の中心分類として、国際疾病分類(ICD)と国際生活機能分類(ICF)、保健・医療関連行為に関する国際分類(ICHI)を設けています。国際統計分類の中心分類3つがICD・ICF・ICHIである事は要暗記です。
5.ICIDH:×
→ICIDHはInternational Classification of Impairments, Disabilities and Handicapsの略で、国際障害分類と呼ばれるADLに関する分類です。機能障害 (impairment)が原因で能力障害 (Disability)となり、それが最終的に社会的不利 (handicap)につながるという考え方です。

(24) 診療報酬は通常何年ごとに改訂されるか。(60回午後24)
1.2年ごと
2.3年ごと
3.4年ごと
4.5年ごと
5.6年ごと
【答え】1
【解説】
分類不能の問題ですね…。こんな問題、何の意味があるのでしょうか?理学療法士の国家資格を取るのに、必要ですか?
このようにわけのわからない内容の場合でもあきらめずに推理で突破しましょう。
診療報酬は医療行為に対する報酬です。リハビリテーションについては時間換算で診療報酬が決められています。1単位あたり20分を原則とし、20分リハビリテーションの施行(施術といいます)に対して報酬が支払われます。
診療報酬はその時代のニーズに合わせて定期的に改訂されます。たとえば、国は今マイナンバーカードを普及させようとしていますね。そのままでは普及しないので、マイナンバーカードで受け付けした場合、診療報酬をすこしアップして普及を促進しようとしています。しかしマイナンバーカードを読み取る機器を用意するのも大変です。また、その運用の準備も大変です。このような改訂が毎年の様に色々な分野でされると、病院も患者さんもみんな混乱します。したがって、改訂は1年ごとでは無理があります。とはいっても、あまり改訂間隔が長くなると、時代のニーズに対応できません。新型コロナが流行しましたが、それに応じて、コロナにしっかり対応してもらうように診療報酬を改定しようとしても、改定が3年後・4年後では時代遅れになりますよね。このようないくつかの要因を考えると、改定の間隔は2年が適切ではないかと思います(実際も2年ごとの改定になっています)。
(25) 短下肢装具で自立歩行が可能な二分脊椎児。該当する機能残存レベルの上限はどれか。(60回午後25)
1.L2
2.L3
3.L4
4.L5
5.S1
【答え】3
【解説】
下肢のKey Muscleは下図右下のように、長座位で2・3・4・5と覚えます


Sharrardの分類方法の原文ですが、以下の論文のようです。
Sharrard WJ: Posterior iliopsoas transplantation in the treatment of paralytic dislocation of the hip. J Bone Joint Surg Br 46: 426-444, 1964
ただし、とても古い論文なので、ネット等で直接読む事はできません。
日本語論文で内容を解説していましたので、それを表にまとめました。

簡単にまとめたのが以下の表です。

芳賀先生の内容をまとめた表を見るとわかるように、残存レベルはMMT段階3以上のレベルを指すので、そのレベルでは筋活動はまだ弱いと考えてください。
例えば、L3では大腿四頭筋がMMT3以上となりますが、大腿四頭筋が正常となる(しっかりと働く)のはL4残存が必要となります。
これらを踏まえて装具の適用と併せたものが以下の表となります。

以下に装具適応の考え方を書きますが、このような考え方はどこにも書いていません。装具適応を理解するために考えました。考え方は他のネット情報なども参考にしてください。
1群:股関節屈曲ができないため、歩行不可(車椅子移動が実用的)ですが、RGOなど骨盤帯付き長下肢装具を用いると、身体を前傾するだけで片方の股関節屈曲(足を前に出す)事が可能となります。
2群:腸腰筋が作用するので、RGOなど骨盤帯付き長下肢装具ではなく、普通の長下肢装具+松葉杖で歩行が可能となります。
3群:L3残存では四頭筋が (MMTは3以上ですが)まだ弱いので、膝伸展が不十分であり、まだ長下肢装具が必要です。L4残存では四頭筋が強いため、膝関節伸展は十分可能となるため、短下肢装具で可能となります。
なお実用歩行とは、日常生活においてすべて歩行で移動している事を指し、非実用歩行とは日常生活において、車椅子などで移動している、または移動することのある事を指します。
4群:前脛骨筋が強く、足関節背屈ができるので、装具は不要となります。
Sharradの分類の麻痺レベルの覚える方を以下に示します。
レベルはT12から始まります(レベルI)。
レベルIIからテニスプレーヤーの錦織にかけて錦織ガッツで覚えるようにしました。

以下選択肢を解説します。
1. L2:× Sharrad II群で股関節屈曲が可能で長下肢装具+杖
2. L3:× Sharrad III群ですが、四頭筋はまだ弱く、短下肢装具は森です。長下肢装具+杖で非実用歩行となります。
3. L4:○ Sharrad III群で四頭筋が正常となるため、膝伸展が十分効くようになり、長下肢装具は不要で短下肢装具になります
4. L5:× Sharrad IV群で装具不要になります
5. S1:× Sharrad V群で装具不要になります
Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。
