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進路を悩める贅沢さ【創作大賞感想】

 Talesにて「創作大賞2025」に応募しています。

 Talesで投稿を始めてから、幾つか作品を拝読し、勉強させて頂きました。推薦レビューも幾つか書かせて頂きましたが、よく考えてみると、Tales上の推薦レビューは、著者の方の作品に辿り着けないと、読んで頂けないと気付きました。
 そのため、推薦レビューとほぼ同じ簡潔な内容になりますが、note上でも、感想を書かせて頂ければと思います。
 なお、気ままに読ませて頂いているため、非定期・ランダムに作品の感想を綴らせて頂きます。

 今回、野間英子様の「エリザベスの進路指導」を拝読しました。

 ある男子高校生が「夢がない」「進学したい大学が思い浮かばない」と語ります。男子高校生は、母親と揉めた結果、イケメンの店員が揃ったカフェで働き始めます。社会を垣間見たいという願望を叶えます。
 ところが、カフェで男子高校生がアルバイトをし始めてから、風向きが変わり始めます。
 イケメンである男子高校生をストーカーし始める女子高生が出現。ストーカーはエスカレートすると恐ろしい事態になるため「早く警察を呼んで!」と思っていたら……女子高生の隠された秘密が徐々に明らかになっていきます。

 シングルマザーである男子高校生の母親の交際がサブ・ストーリーとして描かれています。
 母親の交際相手は、もう一度夢を目指すために、立ち上がろうとしていました。ところが、トラウマが邪魔をして、心が追い付かない。思っていた筋書き通りに人生は進めない。大人としての進路は決断している。けれど、未来に届かない。手を必死に伸ばしているが、やはり届かない。

 本作では、更に疑問を提示しています。進路について悩んでいる方が多い事象です。
 進路を決める時、親が口出しをして良いか。昔からある問いだと思います。
 男子高校生と母親が進路やアルバイトで揉めている様子を読んでいると、「あらら、マズイ」と思っていました。その後、母親が、悩んだ末に、社会経験として、男子高校生にアルバイトを許可する姿が良いなあ、と思いました。
 進路を選んだ先の人生は、誰のものか? 子供の人生です。親の人生ではありません。

 私見に過ぎませんが、人生の節目で決断を他者に委ねると、大人になってから、苦難が待ち構えていると思います。
 私の勤め先に、所謂お坊ちゃんがいます。彼は、親に勧められて米国公認会計士になり、今、同僚になっています。
 彼の経歴は、世間一般からすると、素晴らしいものかもしれません。高校の頃から、アメリカで生活し、アメリカの一流の高校と大学を卒業し、米国公認会計士の資格を取得。履歴書だけ見ると立派です。
 では、本人自身を見ましょう。彼が努力を重ねたことは事実でしょう。そうでなければ、彼の履歴書は違うものになっているはずです。
 しかし、やたらと偉そうです。自分自身をエリートだと思っています。
 選択を他者に全て委ねてきた影響があるのか、自発性が乏しく、分からないことを聞きに来ません。分からないことがないか、丁寧に逐一上司が聞きに来てくれると思っています。私も上司に含まれますが、残念ながら、上司のほうが忙しいため、逐一「分からないことはあるかい?」と彼に聞く暇はありません。彼は何もせず、デスクに座って伸びをしています。
 はっきり言いましょう。私の勤務先で、彼はエリートではありません。私の勤め先の職員のほとんどは、公認会計士と米国公認会計士です。私自身は日本の公認会計士です。公認会計士や米国公認会計士の資格を持っているのは、入社するうえで「前提条件」です。プラス材料には、なりません。実力主義のため、学歴もどうでも良いです。
 お坊ちゃんは、いまだに気付いていません。扱い方が面倒臭いので、誰も彼に真実を話しません。真実を話して理解させるために要する時間が勿体ないからです。やたらと偉そうな態度が鼻に付き、OJTも匙を投げられています。その結果、どうなるでしょう? 勤務先から居場所がなくなりかけています。
 進路の決断を全て親に委ねた彼の未来は、いまや危ない状況です。しかし、彼は自分自身の未来に暗雲が立ち込めている事実に気付いていません。親は勤務先にいないため、彼に教えられません。
 繰り返しますが、あくまで私見です。お坊ちゃんほど、親に決断を委ねている人物を他に知らないため、サンプル1名です。もっと多くのサンプルとなる人物の観察が必要でしょうが、私の周囲に似たような人物が他にいない結果、辿り着いた結論に過ぎません。
「偉そうにほざくお前自身はどうなんだよ⁈」と疑問に思われた方は、過去に記事で書きましたので、ご興味のある方はお読み頂けますと、幸甚です。なんというか、我が家の両親は変わっていました。私自身は両親に感謝しています。

 進路を選べる。進路で悩める。
 当たり前のように進路を考えられることが、未来を考えられることが、あらゆる意味で贅沢なことであると考えさせられた作品です。

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#ファンタジー小説部門
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