見出し画像

日本アクセス服部真也社長「卸だからこそ市場創出」

日本アクセスは2025年度から第9次中期経営計画「変革と挑戦×実践2027~ソリューションプロバイダーへの進化~」をスタート、「変革と挑戦」を実践、マーケティング力とデジタル活用、営業軸・ロジ軸でのソリューションを基本方針に将来に向けた積極投資も行う。

「朝食向上委員会(仮)」や「チン!するレストラン」など潜在需要を顕在化させ、市場創出する取り組みの強化、物流投資は3年間で340億円を計画しフローズンマザーセンターの全国展開を完了させる。服部真也社長に26年の展望と課題を聞いた。

「変革と挑戦×実践2027」ソリューションプロバイダーへの進化めざす

 ――25年の食品流通業界を振り返って。
25年10月時点で前年から約59万人の人口が減少、その内日本人は94万人減、一方で外国人は34万人増えています。新生児の出生数は24年の68.6万人から、25年は約65万人前後となる見込みです。人口の数が減る分だけ、食のマーケットは縮小していきます。

実質賃金も10カ月連続マイナス(25年10月時点)。食品主要メーカー195社が25年に値上げしたのは2万609品目に達する見通しで、24年の1万2520品目から約倍増しています。それに昨年は米の高騰が続き、節約志向は強まり買い上げ点数は伸び悩みました。

一方でインバウンド需要は拡大しており、訪日外国人は約4000万人、消費額は約9兆円が見込まれます。外国人の訪日目的の一つは日本の食です。帰国しても自国で同じように日本食を食べてもらえる仕組み作りが我われのやるべきことだと思っています。米国による相互関税の問題は大きいですが、高市新政権による強い経済の実現に期待したい。

それから小売業界では買収や統合など再編、DSの拡大もありました。猛暑日が続き外出を控える一方では涼を求めてコーヒーチェーンが比較的堅調だったと聞いています。

 ――上期(4~9月)の業績はいかがでしたか。
もともと夏季商戦に強い会社ですから、売上高1兆2689億円、前年比3.0%増、営業利益183億円、4.2%増、経常利益191億円、5.0%増、純利益134億円、5.8%増としっかり結果は出すことができました。

商品値上げの効果が大きく、スーパーやドラッグストア、外食など各業態との取引が好調に推移したことが増収の要因です。利益面は人件費や新センター投資を含めた物流費、システム関連などコストアップがありましたが、増収効果と売上総利益の増加、小さな改善を積み上げた生産性の向上により増益を達成できました。

23年度の後半から買い上げ点数のアップに取り組んで、24年度は102%でしたが、25年度上期は若干前年を下回りました。これは前年、南海トラフ関連の特需があった反動減や値上げ、猛暑が影響したと分析しています。下期はしっかりと挽回できる策を打っていき、100%超えを目指します。

 ――25年度から始まった第9次中計の進捗状況について。
第8次中計の「変革と挑戦」というスローガンを継続し、それに「実践」を加えて、副題の「ソリューションプロバイダーへの進化」を目指します。

取引のある小売業様やメーカー様、物流パートナー様などが抱える経営や店舗運営、工場運営、物流などの課題を認識共有し、課題解決提案をすることが重要だと考えています。

当社の強みは営業と物流という二本柱。それに加えて、強みであるマーケティング力とデジタルを活用して需要拡大につなげていきます。

例えば「朝食向上委員会(仮)」では潜在需要を顕在化させ新しい市場を創出する。朝食欠食率は現在13.5%となりその市場は年間で約1.8兆円。欠食している全ての人に朝食を食べてもらうのは難しいが、そのうちの10%の人が朝食を食べると1800億円の新市場が生まれるわけです。メーカー様もそれぞれ朝食向けの商品提案は実施していますが、メーカーの垣根を越えた活動は卸だからできることです。

「チン!するレストラン」や「フローズンアワード」「新商品グランプリ」「The乾麺グランプリ」といったイベントに共通しているのは、食べ方提案や使い方など提案によって新しい市場の創造に取り組んでいることです。当社の展示会フードコンベンションや新商品グランプリなどはテレビ番組に取り上げられる機会が増えて、メーカー様が直接、商品をアピールできる場となっています。これらの企画は実施後、営業と連携し店舗への展開につなげることが重要です。

今の若年世代はテレビをあまり見ないでYouTubeやSNSなどが中心。従来型のテレビCMだけでは商品認知が広がらない傾向となっています。そこでデジタルの力でリテールメディア、ID-POSを活用してOne to Oneマーケティングにより伝えていくことが重要となり、当社が推進する「情報卸」や、AIプラットフォームを活用した店舗ごとのエリア特性に合わせた柔軟な売価設定などにより貢献できると思います。

物流拠点に関しては9月に全国4番目となる中部フローズンマザー物流センター(愛知県小牧市)、11月には低温拠点としては当社最大規模の久喜低温物流センター(埼玉県久喜市)を稼働し自動化・省力化により生産性向上に取り組んでいます。

4月に生鮮事業拡大に向けて、デリカと連携した組織に変更しました。小売業様にとっても差別化と収益拡大に繋がり、当社の得意カテゴリーとして今後も継続してサポートできる体制を強化します。

 ――下期の見通しについては。
消費環境は実質賃金が上がっているわけではないので、低価格志向への対応はしなければなりませんが、一方で卸の立場としては商品の価値をお客様に理解して頂いて適正な価格で購入してもらうことが重要です。これをしっかりと行い、買い上げ点数の増加につなげたい。また、物流センターの新設やシステムなどにも積極投資を行っていきます。これらは将来に向けた大事な布石です。

取引から取組の関係構築、3年間で物流投資340億円

 ――26年の食品業界と日本アクセスとしての展望や課題について。
外部環境は前年から変わらず続き、変化に合わせて自分たちの仕事のやり方を適応させたり、先手を打ったりすることが必要です。変化対応が重要で、今までと同じことをするのではなく、新しいことにチャレンジしていく姿勢が大切でしょう。

ソリューションプロバイダーとして、小売業様やメーカー様、物流パートナー様の課題を聞き取り、先に察知して提案するという仕事のやり方を強化していく考えです。ステークホルダーの皆さんと一緒に課題解決できる会社、単なる取引ではなく取り組みの関係を築きたい。

物流関連では拠点整備室を設け全体像を描き、優先度に基づき段階的に整備していく方針です。第9次中計3カ年で投資額は340億円、第8次中計の2.4倍です。

フローズンマザー物流センターにより一貫パレチゼーションを目指していますが、アイスクリームと比べて冷凍食品は大手を除くとパレット化が進んでいない状況です。パレットには、T-11型とT-12 型がありますが、当社のマザーセンターではどちらでも対応します。まずはマザーセンターを活用していただければと思います。

海外展開はまずアジアを重視。日本や日本食との親和性が高く、人口も多い。タイに駐在員を派遣しましたが、ここを基点にアジア全体をコントロールする方針です。日本の外食チェーンが多く出店しており、食材供給などでも貢献できるはずです。そのためにもサプライチェーン構築をしっかりと行っていきたい。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー