スーパーの商品マスター標準化へ、メーカー・食品卸・小売のトップが意見交換
深刻さを増す人手不足に加え、あらゆるコストが上昇するなか、個々の企業の取り組みによる生産性の向上やコスト削減には限界がある。
こうした現状を打開すべく日本スーパーマーケット協会は「サプライチェーン全体最適による流通生産性改革~人手不足・コスト増時代の持続的成長に向けて」をテーマにパネルディスカッションをこのほど開催。
製配販と行政を代表する7人の登壇者が、商品マスターの標準化などについて意見を交わした。以下その一部を紹介する。
髙宮満・キユーピー社長「大切なのは“本気の連携”」

法整備なども進んでいる今が、取り組みを推進する絶好の機会。その実現に必要なのは“本気の連携”です。本気で連携しながら取り組みをアップデートしていく必要があります。
いろいろなステージがあり、メーカー間での連携、さらに製配販の連携が大切です。そして重要なのが国・行政と産業の連携です。これを上手くやらなければいけない。
マーケットが伸びていた時代は、個々の企業が競い合っても、皆が成長できました。しかし、マーケットが拡大しなくなっても、同じことを続けていて、国際競争力が低下し、取り組みのアップデートも遅れがちになっています。
これを乗り越えるには、目標や価値観の共有が重要です。
「この課題に向き合えない企業は淘汰される」という思いを共有することができれば乗り越えることができると思います。
國分晃・国分グループ本社社長「今こそ全体最適へ」

物流・情報流は食のサプライチェーンの大動脈で、これをいかに効率的でサステナブルなものにするかが、我々の共通の使命だと思います。
その実現には、個別最適ではなく全体最適が求められることを、全てのプレーヤーが認識する必要があります。
特に、欧米に比べて企業数、アイテム数が多い日本の流通構造を考慮すると、この点はさらに重要となります。多様な商品、多様な販売形態が日本の豊かな食を支えているので、全体最適の観点は絶対に外せない考え方だと思います。
一方で、人手不足への対応は大きな課題です。物流・情報流ともに、人によって繋がれているというのが実態で、人手不足の影響で、これが途切れてしまう可能性もあります。
過去の商習慣に囚われて、個別最適を追求している余裕はないと思います。今こそ全体最適を達成し、サプライチェーンをサステナブルにする視点を製配販全体が持つ必要があると強く感じます。
服部真也・日本アクセス社長「商品情報メーカーが登録を」

商社で他の業界を担当してきた私が、食品業界に来て非常に大きな違和感を覚えたのは、卸が商品マスターに商品情報を登録していることでした。
私が育った業界では、メーカーが責任を持って登録するのが当たり前でした。しかし、食品業界では、その作業を卸が代行しています。
それで登録作業に間違いがあった場合の責任は、どこにあるのでしょうか。実際にメーカーからいただいた温度帯や賞味期限の情報に誤りがあって、我々が気付かずに登録してしまうこともあり得ます。やはりメーカーが責任を持って登録すべきだと思います。
また、各社がそれぞれ独自の仕組みを作るのではなく、経産省の指導のもとで一本化していくべきだと考えます。
吉永智征・Mizkan副会長「商品コード統一で大きなメリット」
アメリカでは、商品コードが統一されていて、生産計画から販売データまで、すべての情報がつながっています。EUも国境を越えて商品コードは同じです。
日本でも、ネットスーパーなどが広がりデジタル化が進んでいますし、商品コードなど商品情報が標準化されれば大きなメリットがあります。AIを活用したサプライチェーン最適化も可能になるのではないでしょうか。
また、これまで商品情報の登録作業などを卸やメーカーが無償で担ってきました。標準化に向けて新たな仕組みを導入すると、システム利用料など、新たなコスト負担につながるとの懸念が、小売側にあるのであれば、メーカー・卸・小売の三者でコストを負担し合う、というのも一つの考え方だと思います。
服部哲也・サミット社長「商品マスター標準化へ有志で検証を」

商品コードや商品情報の統一、商品マスターの標準化は、小売のバイヤーやネットスーパーの担当者から「積極的に進めて欲しい」との声が上がっています。
ただ、小売業は、作業を卸に代行していただいていることもあり、実際にどのような手間やコストが、どれだけ発生しているのか把握できていないのが現状です。
そこで有志の小売と卸で検証し、「どこにどれだけのコストがかかり、新しい仕組みでどれだけ削減できるのか」を明確に“見える化”することが重要だと思います。
物流問題への取り組みと同様に、商品マスターについても、やはり小売が働きかければ解決に向かって動き出すと思います。
これまでのような「総論賛成、各論反対」のような状況を繰り返さないためにも、日本スーパーマーケット協会が主導して進めていくべきと考えています。
井上博雄・経産省商務・サービス審議官「AI活用につながる商品情報基盤」

今みなさんと一緒に取り組んでいる商品情報プラットフォーム構想は、将来的には、AIあるいはフィジカルAiなど、大きな施策にもつながっていくものだと考えています。
今後さまざまな取り組みを進めるにあたって、第一に、協調領域を明確に定めること。第二に、効果とコストの見える化と対話の継続を大切にすること。そして第三に、現場で実装できる仕組み作りを重視していくことが大切だと考えています。
岩崎高治・ライフコーポレーション社長「リーダーシップ発揮しトップが決断」

商品情報の共通化は、コストを負担する企業と、メリットを享受する企業が異なることもあり、これまでなかなか進みませんでした。各社の現場で、短期的な損得で判断してしまうと、なかなか進まないと思います。
やはりトップの決断が必要だと思うので、しっかりとリーダーシップを発揮していきたいです。製配販が連携するためには、まずは小売業が一つになり、意見がまとまることが不可欠だと思います。
ライフコーポレーションがリードしていく、という意気込みで、日本スーパーマーケット協会として進めていきたいと考えています。
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