“無能な上司”を生み出す。〜慢性的な人材不足のブラック企業〜
ブラック企業に勤めて33年。
実在した“困った上司”について綴っています。
今回は、
「方針? そんなもんねーよ!」と笑った無能な部長の話。
「フッ、俺に理想?ないない!」
鼻で笑ってサラリと流すY部長。
飲み会や接待では人気者だけど、いざ仕事となると話しが噛み合わない。
そんなY部長が、ある日なぜか「品質監査の説明役」を買って出た。
会議室には、監査員2名とこちらから7名。
監査が始まると、最初の記録チェックで「うん、問題ないですね」と好反応がもらえた。
その瞬間――
「ふんふんふ〜ん♪」
鼻歌まじりで調子に乗り出す”Y部長”。
(頼むから余計なことは言うなよ…)
と、隣でハラハラする私。
そのとき監査員のひとりが、真顔でこう質問してきた。
「この部の方針は、何ですか?」
監査員の鋭い視線が、Y部長に突き刺さる。
会議室も一気に少し静まる。
(どう答える?)
チラッとY部長の横顔を見ると……
彼は――
「え〜、特にないです!」
……その瞬間、会議室がフリーズした。
(マジか!? 脳天気に答えやがった!)
監査員も「へっ⁉ ない⁉」と目を丸くする。
私は慌てて準備していた方針書を差し出してフォロー。
「こ、こちらです」
監査員も「……あ、ありますね」と納得した様子だったが、もう全身から変な汗が出る。
「ふぅ〜、危ない危ない」
ひとまず休憩時間に入り、とてつもない脱力感の中で、Y部長に聞いてみた。
「この部の方針、考えてないんですか?」
すると、
「なんも考えてねーよ!」
サラッとそう言い放って、また「ふんふんふ〜ん♪」とサザンの鼻歌。
(もう…いい加減にしてくれよ!)
呆れと怒りが入り交じった感情を押し殺し、私は席に戻った。
たしかに、Y部長は“人はいい”だ。
だけど、リーダーとしての資質がまったくなかった。
致命的だったのは、本人がそれに気づいていないこと。
ブラック企業に勤めて33年……
人がいいだけで出世すると、
能力のキャパを超え組織が崩れる。
リーダーの適正を見誤る組織に未来はない。
選ばれた本人も不幸になり、ブラックな組織も変われない。
そしてこの後――
Y部長は、さらなる“大失態”をやらかすことになる。
(それはまた、別の話にて)
