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超富裕層はどんなクレジットカードを使うのか?ビル・ゲイツのグリーンカード伝説と富豪たちのカード事情

「世界的な大富豪であるビル・ゲイツが、実は一番ベーシックな緑色のアメックスを愛用している」──こんな噂を耳にしたことはありませんか?

年会費が数万円クラスの一般カードを、兆単位の資産を持つ人物が使う。もし本当なら、それは“逆説”として非常に魅力的です。けれど、ここで大事なのは「ゴシップの真偽」そのものというより、なぜその噂が“もっともらしく響くのか”、そして超富裕層がクレジットカードを見栄の道具ではなく、どんな思想で使っているのかという点です。

本記事では、この都市伝説を起点に、桁違いの資産家たちが「クレジットカード」というツールをどう捉え、どう使いこなしているのかを紐解きます。そこには単なる「倹約」や「見栄」を超えた、合理的なマネー哲学が見えてきます。


1. ビル・ゲイツと「アメックス・グリーン」伝説の位置づけ

結論から言えば、“ゲイツが緑のカードを使っている”という話は、現時点では決定的な裏づけが見当たらず、確証のない都市伝説である可能性が高いです。つまり、「本人の発言」や「本人と特定できる写真」といった強い根拠が揃っている話ではありません(少なくとも一般に検証可能な形では見えにくい)。

それでもこの噂が広まりやすいのは、たぶん理由が2つあります。

1つ目は、「富豪=最上位カード」という固定観念を気持ちよく裏切るから。
2つ目は、ゲイツにまつわる数々のエピソードが、“ベーシックで十分”という価値観と相性が良いからです。例えば彼は、インタビューで「現金はほとんど持ち歩かない」と公言しており、ある時の財布の中身が100ドル札1枚だけだったことも知られています。

象徴的なのが、親友である ウォーレン・バフェットとの有名な逸話です。ゲイツは2017年にバフェット宛の文章の中で、香港で昼食のためにマクドナルドに入った際、支払いを申し出たバフェットがポケットからおもむろに「クーポン券」を取り出したことを回想しています。

この“笑ってしまうほどの筋金入りの合理性”が、「カードのランクに意味を見出さない富豪像」を強化し、結果として「ゲイツも緑でいいと思っていそうだ」という連想を呼ぶのです。ここに、この都市伝説が長く語り継がれる理由があります。

Bill and Melinda Gates 2017 annual letter. https://www.gatesnotes.com/2017-Annual-Letter. Copyright: The Gates Notes, LLC.

番外編:ゴールドカード(クレカではないほう)

さらにややこしいのが、「ゲイツはゴールドカードを持っている」という別の話です。これはクレジットカードのことではなく、いわゆる マクドナルドのゴールドカード――ウォーレン・バフェットも保有しており、生涯無料でマックを食べられるパスに関するエピソードとして語られることが多いものです。

「なぜ大富豪がフライドポテトの割引など必要なのか?」と突っ込みたくなりますが、こうした話こそが、「いかにも彼らしい」と感じさせる物語性を強く印象づけています。

2. アメリカン・エキスプレスの“緑”を本当に語れるのは、むしろバフェットの方

ゲイツの話が未確認の域を出ない一方で、バフェットについては、本人がCNNのインタビュー等で語った内容として「財布の中身」のエピソードが広く知られています。具体的には、1964年に作ったアメックスのカードを今も持ち続けていること、そして支払いの大半を現金で済ませているという発言です。つまり彼にとってカードは、ステータスを誇示するものではなく、長年使い慣れた“道具”にすぎません。

さらにバフェットにとってアメックスは、かつて株価暴落時に買い支え、巨万の富を築くきっかけとなった思い入れのある投資先でもあります。彼がカードを保有し続けている理由は、「カードの機能」以上に「ブランドへの信頼」に根ざしていると言えるでしょう。

この姿勢こそが、「カードのランクに意味を見出さない富豪像」を強く印象づけています。

3. ブラックカードを「錬金術」に変える人もいる

ここまでの流れが“ミニマリズム(必要十分)”だとすれば、対極にあるのが「制度設計を読み切って最大活用する」タイプです。象徴として語られがちなのが、入会金55万円、年会費55万円、そしてチタン製のアメリカン・エキスプレス・センチュリオンカード(通称:ブラックカード)。

そして、この文脈で必ず登場するのが、リュウ・イーチェンのエピソードです。

200億円の絵画を「カード一括」で買った男

2015年、中国の大富豪リュウ・イーチェン(Liu Yiqian)は、アメデオ・モディリアーニ の代表作の一つ Nu couché(横たわる裸婦) を、オークション大手 クリスティーズ で約1億7,040万ドルという高額で落札し、その全額をセンチュリオンカードで決済した──と報じられています。

オークションハウス側がカード手数料(通常2〜3%)をどのように処理したかは不明ですが、本人と奥さんによれば、この決済で得られたポイント(単純計算で約1億7,000万ポイント)を今後の旅行に充てる予定だそうです。確かにこれは、彼と家族全員が一生ファーストクラスで世界を旅しても使い切れないほどのマイルに相当します。

つまり彼は、カードの仕組み(ポイント・決済枠・決済の流動性)を、資産家として“合理的に最適化”した可能性が高いのです。

浪費ではなく、目的がある。見栄ではなく、設計を読んだ上での“手段の選択”である。この点にこそ、超富裕層のカード観の核心があるのかもしれません。

結論:富豪たちに学ぶ「カードとの付き合い方」は、2つの型に分かれる

超富裕層のクレジットカード事情を覗くと、対照的な2つの哲学が見えてきます。

1つは、「道具」としてのミニマリズム(ゲイツ伝説/バフェット型)。カードの色やランクは本質ではない。必要十分に機能するなら、それでいい。むしろ判断コストを減らし、人生の意思決定をシンプルに保つ。

もう1つは、「レバレッジ」としての最大活用(リュウ・イーチェン型)。制度や特典、決済の仕組みを読み切り、支払いを“単なる支出”で終わらせない。目的に沿うなら、カードは投資ツールにもなる。

そして、両者に共通しているのは、たった一点です:「カードに使われるのではなく、自分の目的のためにカードを使っている」

伝説的な“緑のカード”であれ、重厚な“黒いカード”であれ、結局はただの道具。それをどう握り、何のために使うかに、その人の哲学が出る。カードとは、意外なほど“生き方”を映す鏡なのかもしれません。

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