「Solaria 3rd Stage 第五話|海と、6人の距離(前編)」
夏休み。
出発の朝。
朝の駅は、いつもより少しだけ浮き足立っていた。
「おはよー!」
ひなたの明るい声が響く。

■改札前
すでに集まっているメンバー。
「あかり、遅い!」
「ギリギリセーフでしょ!」
息を切らしながら駆け込んでくるあかり。
「ほらほら、電車行っちゃうよ」
ゆいが穏やかに声をかける。
あゆみは少し後ろで、その光景を見ている。
(合宿……)
(6人で、旅行みたいなものだよね……)
胸の奥が、少しだけ高鳴る。
「行くぞー!」
ひなたの一声で、6人はホームへ向かった。
初めて乗るリゾート特急。 無意識のうちに気持ちが高まる。
「せっかくだから電車の前で記念写真撮らない?」とゆいが提案。

ちょうど車掌らしき人がいたのでスマホを渡して撮ってもらうことに。
電車をバックにホームに6人ならんで記念撮影!
■車内 ——揺れる期待
座席は窓側を向いた特別仕様。
窓の外、景色が流れていく。
やがて街並みが途切れ ——

「見て!」
あかりが窓を指さした。
窓いっぱいに青い海が広がる。
「海だー!」
思わず身を乗り出す三人。
「ちょっとだけトーン下げない?」
ひなたが苦笑する。
その横で、
ゆいは静かに微笑んでいた。
「ふふ……」
「やっぱり、みんな喜んでくれた。」
しおりが優しく笑う。
「こんな景色、毎日見てたら帰りたくなくなりそうね。」
ふと、あかりがひなたの耳元に小声で「英語、赤点ギリ回避!ありがとね」
「教える先生が優秀だと違うでしょ?」
「2学期もよろしくね、先生」
二人でくすっと笑う。
その様子を見ていたあゆみは
(仲いいな……)
列車はトンネルへ入る。
車内が一瞬暗くなる。
「ところでさ」
あゆみが口を開く。
「ひなた先輩って、怖いもの無いんですか?」
「あるわけないでしょ!」
ひなたは即答する。
「天下無敵のひなた様であるぞ!」
「すご……」
あかりが笑う。
「怖いものが無い自分が怖かったりして?」
「私はあるけどね」
「え、なに?教えて教えて!」
「内緒だもん!」
笑いが広がる。
(すごい人だな……)あゆみは内心そう思う。
(本当に、怖いものなんて無さそう……)
トンネルを抜ける。
光が差し込む。
海が、もう一度広がった。
■到着 ——海の町
終点の駅。
潮の香りが風に乗って届く。
「うわぁ……」
6人は港沿いの道を歩く。
波の音が近い。
「ここだよ。」
ひなたが指をさす。
海沿いの細い道を歩く六人。
建物の間から、青い海がちらりとのぞく。
潮風が髪を揺らし、
どこからか風鈴の涼しい音が聞こえてきた。
あと少し歩けば海。
そんな距離だった。
目の前には、
小さな二階建ての民宿。
木の看板が風に揺れている。

「こんにちはー!」
奥から、ゆっくりと足音が聞こえてきた。
「よく来たねぇ」
優しそうなおばあちゃんが顔を出す。
「さ、上がってくださいな」
■2階の部屋

窓の向こうに広がる海。
「すご……!」
「早く着替えて海行こうよ!」ひなたが声をかけると
一気に動き出すメンバー。
その中でしおりとゆいは、ゆったりしている。

「日焼け止め、ちゃんと塗ってね」
「もちろん。美容は乙女の常識だから」
二人で塗り合いながら笑う。
(なんか……大人……)
あゆみは少しだけ圧倒される。

■ビーチ ——青の中へ
青い空。
青い海。
白い砂浜。
人は少ない。
静かで、広い。
「それにしてもひなた、よくこんな場所知ってたわね」
しおりが言う。
「昔、家族で来たことあってさ」
少しだけ懐かしそうな声。
■波打ち際
あかり、さくら、あゆみ。
「ねぇ」
あゆみが沖を指さす。
「……あそこ」
白い浮島。
波に揺れている。
(あれ……)
(ステージみたい……)
「競争しない?」
「負けないよ?」
さくらが笑う。

「よーい、ドン!」
一斉に飛び出す。
しかし ——
「えっ!?」
あゆみだけ、圧倒的に速い。
水を切るように進む。
気づけば ——

「もう着いてる!?」
あゆみは、浮島の上に立っていた。
「ぷはぁ……!」
遅れて到着するあかりとさくら。
「なんでそんなに速いの……」
「昔、競泳やってて……」
「まるで人魚みたい」
その様子を無言で見つめるしおり。
どこか誇らしげに。

■浮島の上
あゆみが足元を見る。
少し揺れる感覚。
(ここ……)
(ステージみたい……)
「ね、ここで踊ってみない?」
あかりが言う。
■やってみる
……が
「む、無理!」
足元が不安定で立てない。
「ちょ、待って ——」
バランスを崩すひなた。

ドボン!!
「きゃー!」
全員巻き込まれて海へ。
笑い声が広がる。
水面に浮かびながら
(楽しい……)
あゆみは自然に、そう思っていた。
第五話 海と、6人の距離(前編) (終)
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― 海と、6人の距離(中編) ― へ続く
