「Solaria 3rd Stage 第一話|はじまりの6人 ①」
◆Solaria メンバー紹介


■5月・GW明け
新緑が、風に揺れている。
少し汗ばむような陽気。
春というより、もう“初夏”に近い空気。
■駅からのバス

「あっ、Solariaのメンバー!」
車内が一気にざわつく。
「このたびは準優勝おめでとうございます!」
「写真、一緒にいいですか?」
スマホを向けられる3人——そして1人。

「……えっ、えっ?」(私、まだ何もしてないのに…)
戸惑うあゆみ。
その横で——
「芸能人ってこういう感じ?」
橘あかりが楽しそうに笑う。
「ちょっと恥ずかしいかな……」
さくらは少しだけ俯きながらも、嬉しそうに微笑む。
「堂々といこう!」
ひなたの一言で、空気が締まる。
■坂道(登校)
学校へ続く坂道。
そこでも——
「Solariaだ!」
「すごい、本物だ……」
新入生たちの視線が、一斉に集まる。
(すごい……)
あゆみは、その光景をただ見ていることしかできない。
(この人たちと、同じ場所に……)
■校門
そして——
視界に飛び込んでくる、大きな横断幕。
『祝
第一回 東京スクールアイドルジェネレーション
準優勝
スクールアイドル部 Solaria』
風に揺れる、その文字。
(準優勝……)
誰も口には出さない。
けれど、その言葉は確かに胸に残っている。
悔しさ。
誇り。
届かなかった何か。
でも——

「次は準の文字、白く塗りつぶさないとね。部長!」
あかりが、ひなたの肩を軽く叩く。
「……うん」
ひなたは、まっすぐ前を見る。
「次は、“優勝”だ」
(あのステージで見た“Eternal”の背中は——まだ遠い)
■あゆみ(内面)
(優勝……)
その言葉が、少し遠く感じる。
(私、本当に……ついていけるのかな……)
「……行こう、みんな」
ひなたの一言で、3人が歩き出す。
その後ろに——
少しだけ距離を空けて、ついてくる小さな影。
水瀬あゆみ。
制服の赤いチェックのスカートがまぶしい、
“新メンバー”。
――――――――――――――――――――――――――――
■午前9時前・同じ坂道
喧騒が去った後の、少し静かな時間。
今度は——
落ち着いた足取りの大学生たちが坂道を上っていく。

その中に、二人の姿。
水瀬しおりと、白石ゆい。
大学部メンバーのしおりとゆいは講義開始時間が遅く、朝は別行動だった。
私服姿。
少し大人びた雰囲気。
昨日までの“アイドルとしての空気”は、どこにもない。
■すれ違う会話
「ねえ、あれ見た?」
学生の一人が、校門の方を指さす。
視線の先には——
あの横断幕。
『祝 第一回スクールアイドルジェネレーション
準優勝 スクールアイドル部 Solaria』
「あの東京大会2位ってうちの学校だったんだ。」
「今度見に行ってみようかな」
「どんなメンバーなんだろうね?」
興味はある。
でも——それだけ。
“話題の一つ”として、流れていく。
「……目立つよね」
ゆいが少しだけ苦笑する。
「そうね」
しおりは短く言い切る。一拍おいて、
「でも——」
周囲を見渡す。
誰も、こちらを見ていない。
「まさか私たちが、その“メンバー”だとは思っていないみたい」
「うふふ……」
ゆいは楽しそうに、目を細める。
「ちょっと不思議な気分」
「だからこそ——意味があるのよ」と静かにしおりがつぶやいた。
■しおり(内面ニュアンス)
(これが“現実”――)
舞台を降りれば、ただの学生。
評価も、歓声も、続かない。

二人はそのまま、
自然な足取りで大学棟へと入っていく。
振り返ることもなく。
――――――――――――――――――――――――――――
■昼休み・高校棟カフェテラス
春の光が差し込むカフェテラス。
賑やかなざわめきの中、
ひとつのテーブルだけがやけに明るい。

「いちご、いただき~!」
ひなたが素早くフォークを伸ばす。
「あっ、ちょっと!どろぼうネコ!」
あかりがすかさず反撃。
「ほっぺにクリームつけて、どこ行くのかなぁ?」
「えっ!?ついてる!?」
あたふたと頬を押さえるひなた。
「ふふっ……」
さくらが思わず吹き出す。

「……っ、あははっ!」
あゆみもつられて笑ってしまう。
さっきまでの緊張が、少しだけほどけていく。
■モノローグ(あゆみ)
(……あれ?)
(なんでだろ……さっきまであんなに緊張してたのに)
■ひなた(チラッとあかりを見る)
一瞬だけ目が合う。
あかりが小さくウインク。
——(ここで“仕込み”を匂わせる二人)

そこへ
「あんたたち、相変わらずねぇ……」
少し呆れた声。
振り向くと——
しおりとゆい。
大学の落ち着いた空気をまとった二人。
「おはようございます!」
4人が揃って頭を下げる。
「硬い硬い。同じSolariaでしょ?」
ゆいがくすっと笑う。
■しおり
「……でも、ちょうどいいわね」
テーブルを見て、
「少しは力、抜けたみたいだし」
■あゆみ(小さく)
「……はい」
■さくらが気づく
(あ……)
(もしかしてこれ、ひなた先輩が……?)
■ひなた(何食わぬ顔)
「よし、そろそろ行こうか!」
「……でもさ」
あかりがふっと真面目な顔になる。
「今日、“期待されてるよね”」
一瞬、空気が静まる。
■ひなた
「だからこそ——」
軽く笑って、
「やることは一つでしょ?」
■移動
6人が立ち上がる。
それぞれの表情は——
少しだけ、軽くなっている。

カフェテラスから見えるグラウンド。
設営されたステージ。
揺れる旗。
スプリングフェスティバルの会場がそこに見えていた。
第一話 はじまりの6人 ① (終)
▶ Solaria 3rd Stage 第二話|
― はじまりの6人 ② ― へ続く
