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サンプリングと切り抜き動画の法的境界線

音楽制作において「サンプリング」という手法があります。


★サンプリングと著作権について

音楽制作における「サンプリング」とは、既存の楽曲や音源の一部を自身の楽曲に取り込み、再構築して使用する手法です。ヒップホップをはじめとする多くの音楽ジャンルで一般的なテクニックとして用いられており、楽曲に独特の質感や過去の音楽の要素を取り入れることができます。

しかし、サンプリングは著作権法と深く関わっており、無許可での使用は著作権侵害となる可能性があります。以下に、サンプリングと著作権について詳しく解説します。

著作権の対象となるもの
サンプリングにおいて問題となる著作権は、主に以下の2つです。

1.音楽著作権(楽曲の著作権)

楽曲の作詞、作曲を行った人に発生する権利です。具体的には、楽曲の複製権、演奏権、公衆送信権、編曲権などが含まれます。サンプリングでは、楽曲の一部を複製したり、編曲(アレンジ)して使用したりするため、この著作権が問題となります。

2.著作隣接権(実演家の権利、レコード製作者の権利など)

楽曲を演奏・歌唱した実演家や、その音源を最初に固定したレコード製作者に発生する権利です。サンプリングでは、既存のレコードやCDなどに収録された音源をそのまま、または加工して使用するため、この著作隣接権が問題となります。

サンプリングと著作権侵害

原則として、他者の著作物(楽曲、音源)を無断でサンプリングすることは著作権侵害にあたります。著作権法は、著作権者および著作隣接権者に、自身の著作物や実演・原盤を他者に無断で使用されない権利を認めているためです。

著作権侵害となるかどうかは、サンプリングされた部分の量や質、元の楽曲における重要度などによって判断されます。たとえ短いフレーズであっても、元の楽曲の特徴的な部分や重要な要素をサンプリングした場合、著作権侵害と判断される可能性が高くなります。

音楽制作におけるサンプリングは、創造性を高める魅力的な手法である一方、著作権との関わりを十分に理解しておく必要があります。無用な法的トラブルを避けるためには、サンプリングを行う前に必ず権利関係を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。近年では、サンプリング利用を前提とした音源素材を提供するサービスも登場しており、これらを活用することも有効な手段の一つと言えるでしょう。

動画制作においても「サンプリング」と共通した手法として「切り抜き動画」があります。同様に、著作権に関する法的理解が必要となります。

★切り抜き動画と著作権について

切り抜き動画」とは、既存の動画コンテンツの一部を切り取り、編集して作成された短い動画のことです。多くの場合、元の動画の面白い部分や重要な部分を抽出して、より手軽に視聴できるように作成されます。

著作権との問題

原則として、無許可で切り抜き動画を作成・公開することは著作権侵害にあたります。 その理由は以下の通りです。

1.翻案権の侵害

切り抜き動画は、元の動画を編集・改変して作成されるため、著作権法上の「翻案」に該当する可能性があります。翻案権は著作権者に専有されている権利です。

2.複製権の侵害

切り抜き動画を作成する過程で、元の動画をコピー(複製)する行為が発生します。これも著作権者の許諾がない場合は複製権の侵害となります。

3.公衆送信権の侵害

作成した切り抜き動画をインターネット上にアップロードする行為は、著作権法上の「公衆送信」に該当し、著作権者の許諾が必要です。

ただし、以下のような場合は著作権侵害とならない可能性があります。

著作権者からの許諾がある場合
動画の作成者(著作権者)が切り抜き動画の作成・公開を許可している場合。近年では、クリエイター自身が切り抜き動画の作成を推奨したり、ガイドラインを設けて許可したりするケースも増えています。

著作権法上の「引用」に該当する場合
著作権法では、正当な範囲内で「引用」を行う場合は著作権者の許諾なしに利用できると定められています。しかし、切り抜き動画が「引用」と認められるには、元の動画が「主」、切り抜き動画が「従」の関係にあるなど、いくつかの厳しい条件を満たす必要があります。一般的に、元の動画の面白おかしい部分だけを切り抜いて公開する行為は「引用」とは認められにくいと考えられています。

無許可で切り抜き動画を公開した場合のリスク

著作権侵害に該当する場合、以下のようなリスクがあります。

動画の削除
YouTubeなどのプラットフォームによって動画が削除される可能性があります。

アカウントの停止
悪質な場合には、アカウントが停止されることもあります。

法的措置
著作権者から損害賠償請求や差止請求などの民事訴訟を起こされたり、刑事告訴されたりする可能性もあります。

安全に切り抜き動画を公開するために

安全に切り抜き動画を公開するためには、以下の点に注意する必要があります。

著作権者に許諾を得る
可能であれば、事前に動画の著作権者に連絡を取り、切り抜き動画の作成・公開の許可を得るのが最も安全です。

公式のガイドラインを確認する
YouTuberや企業によっては、切り抜き動画に関する公式なガイドラインを公開している場合があります。これに従って作成・公開するようにしましょう。

「引用」の要件を理解する
著作権法上の「引用」に該当すると主張する場合は、その要件を十分に理解し、慎重に行う必要があります。

切り抜き動画は手軽に楽しめるコンテンツである一方、著作権との問題は避けて通れません。無許可での作成・公開は著作権侵害となる可能性が高いため、著作権者の許諾を得るか、公式ガイドラインに従うなど、適切な対応を心がけるようにしましょう。

【Q】YouTubeでは「切り抜き動画」は禁止なのですか?

「切り抜き」の何が禁止されているか
YouTubeパートナープログラムは、広告収益などの収益化などのYouTubeパートナープログラムへの利用資格をポリシーで定めています。

YouTubeのチャンネル収益化ポリシー
https://support.google.com/youtube/answer/1311392

大量に複製されるコンテンツ、自動的に作成されているコンテンツなどはいくら再生数が多くても、参加は認められません。

動画自体がYouTubeの利用規約やポリシーに反している、公序良俗に反する内容などでなければ、動画自体のアップロードは問題ありません。禁止されるのは、YouTubeパートナープログラムへの参加で「切り抜き動画」は他者のコンテンツのプロモーション、複数のクリップをまとめただけなどとして、YouTubeパートナープログラムが認められず、広告収益を得られないということです。

例えば、内容によりますが元の長編動画の投稿者が、長編動画のプロモーションもかねて自分で切り抜いたショートをアップロードする場合は、自分の長編動画のプロモーションであって、禁止と判断されない可能性もあります。

政治系切り抜き動画 総再生数35億超 誰が何のために?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250222/k10014725691000.html

YouTubeヘルプより

収益目的の「切り抜き動画」に違法性は? 2024年主要選挙とメディア


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