【architect】何かが出来ないから諦めるということは諦める言い訳に過ぎない
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私が主戦場としているのは主に建築の中でも住宅が多い
近年のトレンドとして『間違いない家づくり』というワードがあちこちの住宅会社のコンセプトに謳われている
この『間違いない家づくり』という謳い文句は確かに分かる
数千万円の借金をして、人生で一番大きな買い物とも言われる自分の家を『間違いなくつくる』。これを目指すことは文字通り間違いではない
では逆に100%間違いのない回答があるかというと、それを見つけることはほぼほぼ不可能である。
VUCAと呼ばれる予測不能な世の中で数年後の未来すら分からない時代において『間違いない』答えを出すことは繰り返すが不可能と言っても過言ではない
はじめに断っておくが、この『間違いない家づくり』という点に関して、建築として構造や性能が一定水準を上回っていることは前提である。この条件については間違いない家づくりをしなくてはならない
『間違いない家づくり』というワードが広まっているせいなのか、住宅の技術の進歩を過信しているのかは分からないが、最近の家づくりの流れの中で、実際に出来上がる家のデザインをよりリアルな形で見てからではないと決められないという現象が起きているように感じる。
つまりVRのようなゴーグルをつけて実際に出来上がる家を歩き回って、床や壁の素材、設備の色や光の入り方などを、既に出来上がったものとして確認してからでないと『間違いない家』として認められない人が増えているのだ
確かに技術の進歩でそのようなことは可能になっているだろう。
ほんの数年前には外壁の色を決める際にはA4サイズくらいの見本を元にイメージを膨らませながら決めていたものであるが、今はよりリアルなCGであったり、バーチャル映像がないと決められない人が圧倒的に増えている
これに対応するために大手メーカーなどは気軽に3Dがつくれるソフトを導入してパソコンで実際に移動しながら細かな部分を確認していくことをしているが、まだまだリアルな質感や周辺環境を含めた表現には至っていない(費用をかければいくらでも可能かもしれないが…)のが現実である
要はナンチャッテCGであることが多い
それに建築は実際に出来上がってみて、そこで暮らしてみないと本当の建築は分からない。これはどんなに技術が進歩しても変えられない事実だ。
話しは変わるが、私が20年前に建築大学生だった頃。建築設計の授業ではパソコン技術を駆使して迫力のあるCGをつくれる学生が周りにたくさんいた。
CGをつくるには平面図をおこして、それを立体化するソフトに入れて、更にレンダリング(色や影を加える作業)を行う。
私はパソコン技術に疎いところがあってなかなかこの傾向についていけなかった。でも手書きでササっとパースを書いたりして、色鉛筆やコピックで色付けをするのが得意で、どちらかというとアナログ傾向にあった。むしろ建築家はそうあるべきであると思っていたが、どうやら違ったようだと建築家への夢が冷めてしまった
廻りの学生のプレゼンを見ていると凄いと思う反面どこか現実とはかけ離れた世界がパソコンを使って華美に描かれているようで、どこか納得がいかない感情があった。またそれが建築家に求められている能力だとしたらこれから建築で食べていくことは出来ないだろうと建築家への道を一度諦めた経験がある。
その後大卒で就職したのは建築の営業の仕事である。
このクソ猛暑の中自転車で街中の地主さんへ飛び込み営業をしては断られ、怒られしながら、仕事の種をとってくる営業をせっせとしていた。
事務所には営業成績が担当ごとにグラフ化された掲示がされ、ご丁寧にランキングまでされていた。
これはこれで自分の人生の中でとても大きな糧になっている。
しかしやはり建築家への道が諦めきれなかった
私が建築に惹かれたのは、数々の建築家がえがくスケッチやドローイングであった。高校生の頃、丸善でなけなしの金で買った建築雑誌『a+u』を見たときの感動は忘れられない。

濃密なスタディ(建築をつくるときに行なうスケッチや模型による検証)や出来上がった建築の力強さに魅了されたのだ。
はじめて買った建築雑誌であったが、錚々たる建築家の代表作がまとめられていたことは何か運命的なものがあったのかもしれない。
大学生の頃はバイトをしては高価な建築雑誌を古本屋で買い漁り、スケッチや図面をトレース(自ら書き起こすこと)することで建築の世界にのめり込んでいった。
営業の仕事をはじめて5年くらいが経ったころ、本棚から見つけた埃を被った建築雑誌『a+u』を久しぶりに手に取ったとき、若い頃に夢に見た感情が蘇ってきた。
『やっぱり建築家になりたい』
そう強く思った。
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