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紙は神

 「シガレット」
パッと目を引くデザインの包装を開けると
白い巻紙に包まれ、きれいに並んだたばこ達。
クリミア戦争以降にアメリカで発明されたと言われ、
現代を代表する「たばこ」の代名詞にもなっています。
喫煙の世界に革命をもたらしたと言っても過言ではないかもしれません。

 かつてはたばこと言えばシガー、パイプが主だったようですが
煙を口にするまでに時間がかかってしまいます。
シガーの場合はカット、フットを炭化して着火。
パイプに至ってはたばこをほぐしてボウルに詰めて炭化のための着火、
燃えて盛り上がるたばこを均して再度着火。
現代ではこのひと手間が楽しいと言われるようになりましたが、
クリミア戦争当時の戦場ではたばこを詰めたり
炭化させたりなんてしてる場合では無かったでしょう。
弾が飛んでこなくなったほんのわずかな間に一服したい。
戦場という極限の状態にあって唯一の救いだったであろうたばこは
兵士たちにとって無くてはならないものだったわけです。


 とある戦場での事です。
塹壕の中でどうしても一服したい兵士がいました。
最前線ですから弾はバンバン飛んでくる、寒いわ足は冷たいわ怖いわ。

明日をもしれぬ我が命、弾の止む間にせめて一服。

パイプもたばこも持っている、だが時間がない。
どうしたものかと思案しているうち、弾丸を包んである防水紙が下にたくさん落ちているのを見て閃きます。

あ!これでたばこ包めるかも!

その紙にパイプたばこを乗せて筒状に巻いて先端に火をつけて喫ってみた。

んーーーーー!
実に美味い。


シガレットがこの世に誕生した瞬間です。

 これ以降兵士たちの間でお手軽な喫煙方法として流行します。
後に戦地以外でもこの方法で喫煙する人が現れ、これを市中で見かけたある欧米人がここから着想を得て現代のシガレットとして完成させるに至ります。
そして工業製品化され大量生産できるようになり、シガレットの需要は増え、新しい喫煙方法として人間に人々に愛されていくようになります。

第二次世界大戦付近の年代の各国軍隊支給品の糧食、補給物資にはシガレットが入っていたのを見るとその重要性は軍も認めていたと言えます、何より有名なエピソードとして米軍支給品のラッキーストライクが縁起でもない名前ではあるが兵士には大人気だったそうです。

封を切ったら即喫煙ができるシガレットは爆発的に広まって行くのと同時に、たばこの製造が一大産業として成長します、のちに各国を代表するメーカー達がこぞってF1やロードレースのスポンサーにまでなっていきますからその勢いは凄まじいものだったと想像できます。
我が国においても最盛期の喫煙人口は男女混みで83%程であったと言いますから、国内だけでも相当な愛され様だったはずです。

たばこの製造と販売は国内の重要な産業となり、国家に莫大な税収をもたらし、
その影響は農産業、物流、製造、雇用、輸出入にまで及んで行きます。

あの時にたばこが欲しくて欲しくて仕方がなかった兵隊さんは
防湿紙を見つけてこう思ったでしょう。

「おぉ!紙よ!」



といった妄想。




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