お姉さんとシガレット
あるお姉さんがシガレットを吸っていて
それが甘くて甘くて
ぼくはジールズさんに頼んで一本の棒を貰い
月夜に
お姉さんの吐く煙を
棒に幾つも幾つも巻き上げて
わたあめを作ったのです
お姉さんの赤い口紅は
「ばかね」と言いましたが
橋桁に寄りかかるお姉さんは
月が代わる代わる
お世辞を言っていきます
川面に映る月と
天上に輝く月そして
猫の眼に宿る月と
わたしが見る月と
お姉さんはシガレットを吸っては吐きしています
わたあめをなめると
恋の味がしました
お姉さんにはすでにもう恋人がいるそうです
やがて二人は
月だらけの世界へ歩いて消えて行きました
