AI個人開発、この3週間で作ったもの
こんにちは、NEO です。
今日から、個人開発でAIをどう使っているかを定期的に書いていくことにしました。今回はその第1回です。
いきなり大きな話をしても伝わらない気がするので、まずは直近3週間で実際に作ったものと、その過程で分かったことをそのまま並べます。派手な結論はないですが、数字はできるだけ出します。
AIを「1人」で使うのをやめました
よくあるAI活用って、エディタで補完してもらうとか、チャットでコードを書いてもらうとか、1対1の使い方だと思うんですよね。
僕も最初はそうでした。実装もレビューもテストの相談も、全部同じセッションに投げていたんです。
これ、動くんですけど詰まります。理由は単純で、自分で書いたコードを自分でレビューするからです。人間と同じで、書いた本人はバグに気づけないんですよ。
しかも複数のアプリを同時に触っていると、1つのAIに文脈が全部乗ってきます。「あれ、いま話してるのはどのアプリだっけ?」みたいなことが普通に起きました。
そこで役割を3つに分けました。統括役・実装役・レビュー役です。統括役に要件を渡すと、実装役がコードを書いて、別系統のAIがレビューする、という流れが回るようにしています。
ここでの学び:AIは「1人」より「チーム」で使うと化ける
👉1対1のチャットではなく役割分担にすると、待ち時間が並列化されて、人間は判断だけに集中できます。
▶役割分担のポイント:
統括役には「目的」を渡して、手順は任せる
実装役には範囲を狭く切って1タスクずつ渡す
調査系は並列に走らせて、人間は結論の比較だけやる
レビューだけは「別のAI」に頼みます
ここが一番効きました。
実装したAI自身にレビューさせても、自分のコードには甘いんですよね。これも人間と同じです。
なので僕は、実装が終わるたびに別系統のAIへレビューを依頼する運用にしています。同じ系統のモデルだと思考のクセが似ていて、指摘の観点が被りやすいんですよ。違う文化圏の目を入れると、コーナーケースを拾ってくれる確率が上がります。
実際、あるアプリのUI改修では、レビューを2周回して重要度「高」「中」の指摘をゼロにしてからマージできました。1周目で拾われたのは正規表現の境界条件で、正直あれは自分では絶対に見落としていたやつです。
AIツール全体のコストは、僕の環境では月1.6万円くらいです。開発用AIエージェントのサブスクと、レビュー用に併用しているもう1社のAIの合算で、直近の請求ベースのざっくりした数字です。レビュアーを外注することを考えたら、かなり安いと思うんですよね。
ここでの学び:セルフレビューは人間もAIも甘い
👉書いた本人と別の目を通す、という古典的なコードレビューの原則は、AI開発でもそのまま有効でした。
▶AIレビューの型:
実装役とレビュー役は必ず別系統のAIにする
「高・中の指摘ゼロ」を機械的な合格ラインにする
指摘の修正 → 再レビューを最低2周する
動画を作る「工場」を作りました
3週間のうち、いちばん時間を使ったのがこれです。
AIで動画を作ったことがある人なら分かると思うんですが、1本作るのって工程が多いんですよね。キャラ設定を考えて、企画を立てて、台本を書いて、画像を生成して、その画像から動画にする。毎回手作業でやると、2本目も同じだけ手間がかかります。
そこで、この工程を丸ごとローカルのWebアプリにしました。企画から動画生成までをボタンで進められる仕組みです。着手からひととおり動くまでは、セッションログを見返すと実質数日でした。テストコードのファイルを数えたら、自動テストは最終的に146本まで積み上がっていました。
作ってすぐ事件が起きました。日本人キャラのはずが、生成された動画の中で別の言語を喋っていたんです。
調べたら原因はプロンプトの組み立て方でした。喋らせる前提の指示になっていたので、モデルが勝手にセリフを補完していたわけです。「発話はさせず、口パクと表情だけ」という方針にテンプレートを変えたら解決しました。
もうひとつ大きかったのがコストです。動画生成はクレジット制で、1本生成するたびに残高が減ります。僕の場合、残り641クレジットの状態で検証していたので、毎回生成する前提だと財布が持たないんですよ。
なので、生成した5秒クリップをタグ付きで貯める素材ライブラリを足しました。新しい企画では「まず既存素材を検索 → 足りないカットだけ新規生成」という順にしています。これで2本目以降のコストが体感でガクッと下がりました。
ここでの学び:生成コストは「再利用の設計」で下げる
👉生成AI時代の節約は、生成回数そのものを減らす仕組みをアプリ側に持つことだと思うんですよ。
▶素材を資産化するポイント:
生成物には必ずタグとメタ情報を付けて保存する
「企画 → 検索 → 不足分だけ生成」の順に固定する
何を生成したかの履歴自体が、次の企画のネタになる
保存した瞬間にビルドを回すようにしました
地味ですが、これが効きました。
AIがコードを編集するたびに裏でビルドが走って、失敗したらエラー行付きでAIに差し戻される仕組みです。設定自体は半日くらいでできました。
これを入れてから、少なくともこの3週間は「大量に書かせた後にビルドしたら全部壊れていた」に当たっていません。新規アプリを作った日は、ビルドログを数えたら1日で20回以上エラーを検知していて、そのたびAIが自分で直していました。僕はログを眺めているだけでした。
ここでの学び:AIには「即時のフィードバックループ」を与える
👉AIの出力品質は、モデルの賢さより「間違いにすぐ気づける環境かどうか」で決まる気がしています。
▶仕組み化のポイント:
保存 → ビルド → エラー差し戻しを自動化する
エラーは人間ではなくAIに直接返す
シミュレータでの起動確認まで自動でやらせる
危ない操作だけ、人間が承認します
とはいえ全部をAI任せにはしていません。
ストアへの申請、外部への発信、削除系の操作みたいな「取り返しのつかないこと」だけは、承認カードがスマホに飛んできて、僕がスタンプを押すまで実行されない設計にしています。
逆に言うと、承認以外の僕の仕事は「指示」と「判断」だけになりました。厳密に計測しているわけではないですが、体感では指示のほとんどを移動中や隙間時間にスマホから出しています。
ここでの学び:自動化の境界線は「不可逆かどうか」
👉何でも自動化するのではなく、元に戻せない操作にだけ関所を置くと、安心して任せられる範囲が一気に広がります。
▶境界線の引き方:
可逆な作業(実装・調査・下書き)は全部AIへ
不可逆な操作(公開・課金・削除)は承認制にする
承認はスマホで完結する場所に置く
3週間を数字にすると
まとめとして、直近1週間ぶんのログを集計してみました。
開発ツールに残るセッションログを集計したら、この1週間でAIとの開発セッションが33回、僕からの指示が366回でした。1日あたり50回くらい指示を出している計算です。同時進行で触ったアプリは5本。AIコストは前述のとおり僕の環境で月1.6万円です。
根性で回しているわけではなくて、仕組みでそうなっている、というのが正直なところです。ふりかえると、アプリそのものより「アプリを作る仕組み」を作っていた時間の方が長かった気がします。
次回からは、この中の1つをもう少し深く掘って書いていきます。
という感じです。似たことを考えてる人の手がかりになれば嬉しいです。
もう少し踏み込んだ話は
この記事では、実際にやったことの流れを書きました。
メンバーシップ「AIを用いた個人開発解説」では、ここに書ききれなかった具体的なプロンプト、実際のコード、うまくいかなかったときのログ、かかった時間とコストまで置いています。
👉 https://note.com/smy/membership/join
同じように個人開発をAIで回してみたい人の役に立てば嬉しいです。
---
