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静かなる戦い

暗闇の中、銃を構え息を殺しジーッと外を見つめていた。
全ては奴を倒すために・・・

私は鍵っ子だった。夜になると両親はいなくなる。それはもう小学生の低学年の頃からだったので慣れたもんである。
高校生のとある夜。自分の部屋の電気を全て消し暗闇でダビスタをプレーしていた午後九時頃のことだった。
家のインターフォンが鳴った。

「ピンポーン、パンポーン、ピンポーン」

こんな時間に誰だろう?と私はそっとカーテンから外を見た。玄関の真横の部屋だったので窓から玄関の外の様子を見る事ができる。
そこには玄関前から去っていく男の後ろ姿があった。

「なるほど。ピンポンダッシュか」

いや、厳密にいうと彼は一切ダッシュしていなかった。つまりそれは・・・

「ピンポンウォーキング」である。

私は頭を働かせた。このピンポンウォーカーは一体なんの為にインターフォンを鳴らしにきているんだろう?幾つかの可能性が頭に浮かぶ。

① 同級生の罰ゲーム説
近所には何人かの同級生の家がある。そのどこかに数名で集まりなんらかの罰ゲームでうちのインターフォンを鳴らしにくるという説。
しかしこの場合だときっと鳴らした後にダッシュするに違いない。
奴は落ち着いて歩いて去っていったのだ。
そんな落ち着きが高校生にあるはずがない。

② 泥棒説
泥棒の手口には一先ずインターフォンを鳴らしてみて、その反応を見て入るか入らないかを決めるという話を聞いた事があった。
しかし奴は反応を伺う前に歩いて去っていった。

③ 大人による嫌がらせ説
あの落ち着きは大人の犯行に違いない。しかし一体何のために?
謎は深まるばかりだ。

そんな考えを巡らせていると再びインターフォンが鳴る。
あれから30分後くらいだったろう。
私はゆっくりとバレないようにカーテンを捲り外を見た。
そこには堂々と歩いて去っていくピンポンウォーカーの姿がある。

奴は何しに来て何のためにインターフォンを鳴らしているのだろう?
正直そんなことはもうどうでも良くなっていた。
やらなければならない。私は使命感に燃えていた。

隣の部屋には4つ下の弟がいる。彼を守らなければならない・・・
なんてことはもはや微塵も思ってはいない。
ただただ迷惑なピンポンウォーカーに制裁を加えなくてはならないのだ。 クローゼットにしまい込んでいたエアガンを2丁取り出しBB弾を詰め込んだ。これだけでは足りないかもしれないとガス銃にガスを充填しBB弾を込めた。
武器の準備は整った。
プレイ途中だったダビスタをセーブしテレビを消しカーテンの向こうに身を潜めた。そして作戦を考え脳内でシュミレーションする。

ピンポンウォーカーが現れたらまずは奴がインターフォンを押すまで待つ。
インターフォンが鳴ったら素早く窓を開けエアガンをぶっ放す。完璧だ。
あとはピンポンウォーカーが現れるのを待つばかりである。
1回目と2回目の間は約30分。次も30分後くらいに現れるの違いない。
ジーッと外を見つめる。まだか。奴はまだ来ないのか・・・

って事が昨日あってさ。
友人は「何だろうね。それ」と言い話が終わった。

ピンポンウォーカーとはその2回以来会っていない。

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