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40代からのモテる恋愛は、会話の内容より「反応」で9割決まると知った夜のこと

今日もスナックゆきで、一杯だけ頼んだ。

アバフェルディ12年にした。

押しつけがましくない。
蜂蜜のような甘みが、
ただそこにある。

今日の相棒 アバフェルディ12年

パーティーで出会った。

ロングヘアで、
可愛らしい笑顔の人だった。

美容系の仕事をしていると言っていた。

連絡先を交換して、
二人きりでデートすることになった。

雰囲気のいい、
おしゃれなイタリアンにした。


帰り道

「今日は楽しかった。
また食事に行きましょう」

と送った。

既読がついた。

返信は
来なかった。

その夜、
スマホを何度も開いた。

何度開いても
何日待っても
返信は来なかった。


デートの前日

YouTubeで会話術の動画を見た。

盛り上がる話題の選び方。
沈黙の埋め方。
笑わせるタイミング。

メモまで取った。

準備は万端のつもりだった。


デートが始まった。

彼女がメニューを開いた。

指でたどりながら、
少し考えていた。

「これどう?」と聞いた。

彼女が顔を上げて言った。

「私それ好きなんです。」

その表情に
ドキッとした。


でも
次の瞬間には

頭の中で
別のことを考えていた。

次の話題は何にしよう。
このタイミングで笑いを取れるか。
YouTubeで学んだあの話、
どこで使えばいいか。

彼女の「好きなんです」という言葉が
頭の中を素通りしていた。



会話が続くたびに、
グラスに口をつけた。

飲んでいる間

必死にYouTubeの内容を
頭の中で遡っていた。

次に何を聞くんだっけ。
何を言えばよかったっけ。

正直に言うと、

トイレに行って、
もう一度動画を見たいと思った。


気づくと、

彼女の相槌が
少なくなっていた。

最初は笑顔で答えてくれていた。

でも、
いつの間にか

「そうなんですね」

という言葉だけになっていた。


沈黙が来た。

3秒くらいだったと思う。

でも、
その3秒が、
10秒に感じた。

慌てて、
関係ない話を始めた。

職場の話。
最近見た映画の話。

気づいたら、
自分ばかり話していた。

彼女の話は

どこかに消えていた。


別れ際、
少ししてからメッセージを送った。

また会えたら嬉しいと、
本当に思っていた。

でも、
返信は来なかった。


ある夜、ママに話した。

準備していったのに、
うまくいかなかったと。

ママは少し間を置いて、
テンポよく言った。

「ウフフ、、YouTubeの先生と話してたのよ、あなた。目の前の彼女とじゃなくて。」

少し微笑んで、
次の客に目を向けた。


その一言が、刺さった。

そうだった。

「私それ好きなんです」と言った
あの表情。

あそこにいればよかった。


面白いことを言わなくていい。

あの「好きなんです」という表情を
ただ、受け取るだけでよかった。

「それ、どんなところが好きなんですか」

それだけでよかった。

沈黙が来ても
埋めなくていい。

もし言葉が出なかったら、

こう言えばいい。

「あなたが魅力的で、 緊張してるんだと思う。」

テクニックじゃない。
本当のことだから、 言えばいい。

こんな夜、 あなたにもありませんか。

準備していったのに、
相手を見ていなかった夜が。

たぶん、それだけでよかった。
たぶん、だけど。


アバフェルディをもう一口飲んだ。

押しつけがましくない。

蜂蜜のような甘みが
ただ、そこにある。

盛り上げようとしなくていい。

あの「好きなんです」という表情を
ただ、受け取るだけでいい。

グラスが空いた。
今日はここまでにする。


はじめてスナックゆきに 来てくれた方へ。
私がどんな人間で、 なぜこのエッセイを書いているのか。
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