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【弁護士解説】利用規約要約サービス「SPダイジェスト」の導入によりクレームが入るおそれがある?


導入検討企業向け/サービスに対して詳しく知りたい人向け
今回ご説明するのは、利用規約等の要約サービス「SPダイジェスト」の設置によって、かえって「要約に記載のない利用規約の条項の存在又は誤った要約により不利益を受けた。返金・交換・謝罪等をしてほしい。」等というクレームを誘発してしまう懸念はないことについてです。
株式会社Social Pentagon取締役である菊池僚太弁護士が解説します。

前提:「SPダイジェスト」とは

「SPダイジェスト」(SPD)とは、企業のECサイト等の会員登録フォーム・利用規約ページ等に「規約の重要ポイントを確認する」というボタンを設置することで、消費者に弁護士監修の利用規約等の要約を確認させて利用規約の理解を促す、株式会社Social Pentagonが提供するサービスです。


SPDのサービス画面

問題:本来は消費者からのクレームを減らす効果がありますが・・・

一般論ですが、企業の利用規約って分かりにくいし、しっかり読ませようとするUIを採用するwebサイトも少ないです。「なるべく動線を減らしてストレスなく同意ボタンを教えもらおう」という発想ですね。
とはいえ、読む気が起きない、読んでも理解できなそうだが、読まずに同意ボタンを押す(未読同意)のは不安という消費者も多いです。
利用規約を理解した上で同意してもらう方が、利用規約に関連するトラブルは減りますし、消費者に不都合な出来事があった場合でも、要約を設置することにより規約を分かりやすくしようという姿勢を見せていることで、怒りの矛先を企業に向けない消費者も増えると考えます。

しかし、SPダイジェストはこれまで前例がないサービスなので、「要約に記載のない利用規約の条項の存在又は誤った要約により不利益を受けた。返金・交換・謝罪等をしてほしい。」というクレームが入るんじゃないか、そしてそのクレームに正当性が認められたら企業の責任になってしまうんじゃないか、不安を持つ企業関係者(特に法務担当者)もいるのではないでしょうか。しかし、そのようなご心配は不要であると当社は考えております。
以下、(1)当該クレームが法的正当性を有しないこと(法的リスク)(2)導入企業がモラル的にも批判を受けるべきではないこと(道義的リスク)をご説明します。

根拠(1):法的リスクが限りなく小さいこと

そもそも、消費者は利用規約を読まなくても「同意」ボタンを押せば、原則として利用規約の内容に拘束されます。
したがって、要約不記載の条項の効力を法的に主張できない(同意が一部又は全部無効となる場合、同意の存在を信義則上主張できない場合等)又は導入企業に不法行為責任が発生するリスクがあるのは、

(あ)導入企業が重要事項を意図的に要約に記載しないことにより規約内容に関して消費者の誤解を招いた場合、
(い)要約が利用規約そのものであると消費者に誤信させた場合、
(う)要約内容に看過できない誤り(意図的でない重要事項の不記載を含む)があった場合

等の極めて例外的な場合に限定されると考えられますが、以下のとおり、これらの事態が実際に生じる可能性はほぼありません

(あ)のリスクについて

  • まず、第三者であるSP社及び弁護士が主体的に要約を作成するため、導入企業の不正な意図が(あったとしても)介入する可能性が低いです。

  • また、第三者による要約である旨が、要約を表示するためのボタン及びSPD自体に複数記載されているため、不正な意図に基づく偏った要約であるという懸念を持たれるというリスクは小さいです。

  • 次に、SP社に偏りのある内容の要約を作成するインセンティブはなく、導入企業が要約内容について意見・要望を出すことも可能なため、重要事項の不記載が発生する可能性は低いです。

  • さらに、何が「重要事項」であるかは一義的な評価が難しいため、訴訟時に裁判所が「重要事項を隠した」と判断する可能性は低いと考えられます。

したがって、(あ)のリスク(導入企業が重要事項を意図的に要約に記載しないことにより規約内容に関して消費者の誤解を招くこと)が発生する可能性はほぼないと考えます。

(い)のリスクについて

  • 規約の重要ポイントを確認する」等の要約を読むためのボタンの記載内容、

  • 要約をご参照の上、原文もご確認ください」とSPDの全ページ下部及び「最後に」のページに記載があること、

  • SPDは要約を経由しないと全文を読めない等の不当な規約への動線を構築しないこと等から、

導入企業のSPDボタン設置箇所が著しく不公正である等の例外的場合を除き、(い)のリスク(要約が利用規約そのものであると消費者に誤信させること)が発生する可能性もほぼないと考えられます。

(う)のリスクについて

  • 要約作成において、「重要と考えられる条項をピックアップする」、「分かりやすい言葉に置き換える」、「文章を短く置き換える」といった作業がメインとなるため、文章の意味合いを大きく変えることは基本的にないこと、

  • 経験を積んだ弁護士による要約作成又は監修→リリース前の導入企業の確認→(必要に応じて)リリース後の要約内容の変更要望も可能という適正なプロセスの存在、

  • 要約後の文章は簡潔となるため要約に漏れや問題がないかの検証も容易であること等から、

(う)のリスク(要約内容に看過できない誤りを含むこと)についても、未然に防ぐことが可能です。

根拠(2):道義的リスク(モラル的リスク、炎上リスク)が限りなく小さいこと

導入企業に法的な責任はなくても、要約の内容・見せ方等により道義(モラル)的な責任を追及される可能性や、クレームが殺到する又はインターネット上で「炎上」するおそれも想定されます。
しかし、上記(1)において法的リスクが限りなく小さいことをご説明した内容が、道義的責任を問われるおそれを極小化する根拠ともなります。

万が一、導入企業にクレームが寄せられた場合は、

  • 読みやすくするために要約を用意してもなお、規約全文を読んでいただけなかった

  • 要約の全ページの下部に原文を読んでくださいと記載がある

  • 要約だけ読めばいいというような誤誘導や、要約だけを表示して原文を隠すようなページ構成は採用していない

  • 要約であるという性質上、全ての潜在トラブルを網羅しているわけではない

等と説明することで、個別の問い合わせに対する回答・プレスリリース等において、十分に説得力のある説明(反論)を展開することが可能です。

上記(1)及び(2)のリスクをさらに小さくする措置として、「規約の重要ポイントを確認する」という要約を読むためのボタンの下部等に、「※同意前に全文もご確認ください」と念押しのための記載を追加することも有効です(文言・記載場所等含め、柔軟に対応可能です)。
なお、2024年12月現在、要約の誤り等に基づくクレームは確認されておりません。

最後に

企業向けかつ法的リスクに関するご説明ということで、長文でネガティブな内容となってしまいました。
ダークパターンに対する社会的関心の高まりとともに利用規約が分かりにくいサービスに対する批判の増加が予想される情況において、
SPダイジェストは、「利用規約をなるべく読ませない構造からの脱却」、「利用規約を分かりやすくすることによる消費者に対する説明責任のまっとう」、「消費者に安心してサービスを利用してもらえるようにする」等のポジティブな価値を提供可能なサービスであることをご理解いただき、安心して導入いただけますと幸いです。



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