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なぜBtoB企業に導入事例が欠かせないのか? 日本企業特有の“商習慣”を攻略せよ

こんにちは。株式会社マイノリティの代表の柳澤(@socialselling84)です。

当社はBtoB企業の営業・マーケティング戦略を構築・支援し、PMFとグロースの達成まで伴走しています。

支援先の企業でよく聞かれるのが導入事例。「導入事例をつくりたいが…」「どんなコンテンツを作ればいいのか」「事例に出てくれるお客さんが見つからない」など、さまざまな悩みを耳にします。

今回はBtoB企業における導入事例の重要性から、効果的な活用法、取材を断られない依頼の仕方、制作の流れまでまとめて解説してみたいと思います。

導入事例が重宝される背景

BtoBマーケティングにおいて、Webサイトに載せる「導入事例」は非常に重要です。これはトラフィック分析などからも明らかになっている事実です。特に日本の企業は、「実績はあるのか」「他社事例を見せてほしい」と必ず聞いてきます。

高単価商材であればあるほど、導入事例は必要不可欠です。導入事例はプロダクトの信頼性そのものと言えるでしょう。

出典:購買者から見たWebサイトに関するアンケート調査【2022年12月実施】

サイトエンジン社の過去の調査では、企業Webサイトのページのうち、最も購入につながっているのは「導入事例」(65.7%)であることがわかりました。これはトラフィック分析とも相関があります。

他社のWebサイトを分析すると、SEO目的のコラムが数十本、あるいは数百本と大量に作成されていることがありますが、SEOコンテンツからなかなかコンバージョンにつながらない、PVは獲得できているものの問い合わせにつながっていないという相談を受けることも多いです。

これまで数百社のWEBサイトをGoogle Analyticsやahrefsを使って分析してきましたが、導入事例のようなコンテンツが直接的な問い合わせにつながりやすい傾向にあります。

また信頼性の観点からも、自社サービスの良さを自ら語るよりも、第三者に語ってもらったほうが説得力が増します。

一定の顧客満足度がなければ、事例記事にも協力してもらえないため、事例記事の存在自体が信頼性の証明にもなります。導入事例は、Amazonのレビューのようなものです。レビューのない商品は購入しづらいですよね。

導入事例の効能はさまざま

導入事例には、商品やサービスへの理解を促進するという効果もあります。実際の使用例やビフォー・アフターの話を通して、サービス資料だけでは伝わりにくい具体的なイメージを持ってもらうことができるからです。

また、選定者にとっても、決裁者を説得する材料になります。複数人で比較検討する際に、「同業他社のA社が使っているから、うちも導入すべき」といった議論がなされやすくなります。

特に、自社が意識している競合他社が使用しているという事実は、非常に強力な説得材料となります。

僕も昔、経験があります。例えば、センサーメーカーに営業する際、同カテゴリにキーエンス、オムロン、三菱電機などの企業がいたとします。この場合、オムロンの契約を取るために、三菱電機の導入事例を出すといった手法は効果的です。

無料トライアルであっても、事例に出てもらう代わりに半年間提供するなどの交渉をする。そうすることで、オムロンやキーエンスも興味を持ってくれます。導入事例は、これほどまでに強力なコンテンツなんです。

事例の使い方をハックする

導入事例の使い方がうまい企業の1つに、ベルフェイスがあります。ベルフェイスは、ほとんどすべての顧客導入事例をプレスリリースに載せています。

同社はもともとホリゾンタルSaaSの会社として、あらゆる業界をターゲットにしていました。しかし、ZoomやGoogleがコロナ禍で躍進したことで、危機に直面しました。

そこで、金融業界に特化する形でピボットした際に、導入実績をすべてプレスリリースに載せるようにしたのです。

プレスリリースを見ると面白い事実がわかります。

例えば、松本信用金庫の導入事例をリリースしたあとに、八十二銀行も導入したことがわかります。

松本信用金庫と八十二銀行はともに長野県の金融機関です。これはつまり、三井住友銀行が導入すれば、三菱UFJ銀行からも問い合わせが来るかもしれないということです。

ベルフェイスはプレスリリースを駆使しています。2020年以降、銀行の導入が急速に進み、事例のプレスリリースが非常に多くなっているはずです。

プレスリリースの履歴をみると、ある大手企業の導入が他社の導入につながっている様子がはっきりと表れています。

例えば、SMBC日興証券が2021年3月に導入すると、7ヶ月後の10月に日興証券会社が導入し、さらにその後に千葉証券が導入しています。大手証券会社の導入が、他の証券会社の導入を引き寄せているわけですね。

導入の段階でコメントをもらう

単純に事例を作るだけでなく、導入が決まった段階でプレスリリースに載せてもらうのも効果的です。プレスリリースに顧客のコメントを入れるのも良いでしょう。

金融業界のような保守的な業界では、「A社がやったからうちもやる」という企業が多いため、この戦略が有効です。

ベルフェイスはプレスリリースに載せた事例を、少し遅れてWebサイトにも掲載しています。導入時のリリースを出してもらう方が、あらためて事例インタビューをお願いするよりも頼みやすいという側面もありそうです。

使い始めの段階でリリースを出せるのは大きなアドバンテージです。

本来であれば、導入してから十分に使用してもらい、ユーザー満足度が高い段階で事例を公開し、プレスリリースを出すのが理想的です。ベルフェイスの場合は、ピボットによる売上の低迷という危機的状況から、早急に立て直しが必要だったのでしょう。

このようなプレスリリースを活用した事例の使い方は、新しい手法だと言えます。最近、ナレッジワークなどの企業でも同様の方法が見られるようになってきました。導入したばかりの段階でプレスリリースを出し、事例はその後に作成するというパターンです。

ベルフェイス式の手法が1つの勝ちパターンになりつつあるのかもしれません。

事例は資料にまとめて営業活動に使う

ある会社では、外部に公開できない事例も含めて、導入前の課題や導入後の成果をまとめ、営業が客先で語れるようにしています。

実際の商談では、事例記事をそのまま使うのではなく、要点をスライド1~2枚にまとめた営業資料を作成します。事例記事は5000文字程度になることが多く、これを見せながら内容を端的に伝えるのはかなり難しいからです。

例えばうちの会社の場合なら、「支援前は製造業向けのニッチな商品でリードがほとんどなかったが、支援後はCPA3000円を切ってリード獲得できた」「展示会で4000件のリードを獲得できた」といった具合に、顧客にメリットが端的に伝わるように資料に落とし込みます。

事例を作成した後は、導入のビフォー・アフターやキャッチコピーを業界別や従業員数別に複数パターン用意しておくと良いでしょう。ロゴや支援実績も随時更新し、営業資料に組み込んでおきます。

Webサイトに載せておくだけでなく、営業資料としても再編集して活用するのがポイントです。「御社と近い業界ではこのような課題がある」「導入前と後でこのように変わった」といったイメージを強く持たせられるので、一般的に難しいとされる「ビジョンセリング」という売り方に応用できますね。

事例記事にできない案件でも、要点をスプレッドシートなどにまとめて、営業が参考事例として話せるようにしておくのも効果的でしょう。


次回は多くの会社が悩むポイントである、「お客さんに導入事例に出てもらうにはどうすればいいか?」について書いていきます。

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