アルマジロとゆかいな仲間たちのお話
「他のブランドでは見たことないようなものが多いですね」
とお客様から言われがちなSO FAR SO GOODの製品の中でもひときわ変わり者?アイテムのArmadillo(アルマジロ)。

イベントや店頭で並べていると、「これ何ですか?」「どうやって使うんですか?」とよく聞かれます。
見た目だけでは用途が伝わりにくいし、スタッフサックとしてはずいぶん風変わりな形をしています。
けれどありがたいことに、今ではWaltz DXと並んで、「一番よく使っているSO FAR SO GOOD製品」と言っていただくことも少なくありません。
そんなArmadilloの原型が生まれたのは、私自身が登山を始めて間もない頃でした。
当時使っていたのは、ウルトラライト系によくある1気室のバックパック。
軽くてシンプルなのはいいのですが、とにかくパッキングが苦手でした。
荷物をどこへ入れるか。
途中で取り出すものはどこへ入れるか。
重いものをどこへ配置するか。
考え始めると意外と奥が深く、出発前からずいぶん時間がかかっていました。
せっかく山へ行くのに、準備の段階で疲れてしまう。
迷いに迷ってパッキングしたら、最終的にどこにしまったんだっけ?とわからなくなったり、詰め替えの際にうっかり置いてきてしまったり。
そんな経験を何度もしていました。そこで思ったのです。
「道具をジャンル分けして入れられる棚のようなスタッフサックを使って吊るしてしまえばいいんじゃないか」と。
バックパック内部のハイドレーションループなどに吊り下げることができれば、自然と荷物は背中側に寄る。
さらに上から順番に重いものを入れていけば、荷重も理想的な位置に配置しやすくなる。
そんな発想から、自分用に縫ったのがArmadilloの原型でした。

アクアガードファスナーをつけたけど、そもそもバックパックの中で使うんだからオーバースペックだよね、と製品版では普通のナイロンコイルファスナーに。
Waltz DXの開発中にハイカーズデポの土屋さんに見ていただくと、「ああ、なるほどね!」と一瞬で用途を理解してくださいました。
そして、背面はX-Pacとか丈夫なやつが良いんじゃない?と貴重なアドバイスをいただく。
当時は商品化するつもりなどなく、ただ自分がラクをしたかっただけ。
でも使い続けるうちに、「これ、いいかもしれない」と思うようになりました。
荷物の定位置が決まる。
どこに何があるか把握しやすい。
途中で取り出したものを元に戻しやすい。
そして何より、パッキングで悩む時間が減る。
バックパック内の荷物が少量でも、底にゴロゴロたまらず定位置に固定されることで、走っても荷物が振り子のようにゆさゆさ揺られにくく、快適に歩ける。
山へ行く準備が少し楽しくなりました。


トレイルランニングなどで走ると尚更その差がはっきりわかります。
そうして後年、山道具のブランドを立ち上げることになったのですが、その経緯は過去のnoteをお読みいただけると嬉しいです。
Armadilloを愛用してくださり、YouTubeでも紹介してくださっている低山小道具研究家のモリカツさんとは、少し不思議なご縁があります。
私が山を始めて間もない頃、誘われて参加したキャンプイベントがありました。
そのとき持って行ったのは知人から借りたテント。
ところが、恥ずかしながらうまく設営できません。
途方に暮れていた私を助けてくださったのが、そのイベントのゲストとして来られていたモリカツさんでした。
サクサクとテントを設営してくださる姿にかっこいいなあ!と見惚れていた思い出。
まだ登山もキャンプも初心者で右も左もわからなかった頃の話です。
あれから年月が経ち、自分で山道具を作るようになり、その中のひとつであるArmadilloをモリカツさんが実際に使い、紹介してくださっている。
そんなことを思うと、なんだか感慨深いものがあります。
山の世界は広いようでいて、案外こうしたご縁でつながっているのかもしれません。
思い返せば、山を始めたばかりの頃にいただいた言葉の中には、今のものづくりの支えになっているものがいくつかあります。
まだ馬革のサコッシュなどを作っていた頃、Sanpo's Fun Lite Gear のサンポさんにお誘いいただいて、MYOGerが集まるイベントへ参加したことがありました。

肩こり症なので、ウェストバッグとして使うことが多かったけれど。
開口部もファスナーとマグネットホックの2way仕様。
そこで自作の道具を見てコメントをくださったのが、ハイカーズデポの土屋さんです。
革のサコッシュを山で使うことに、どこか後ろめたさのようなものを感じていた私に、土屋さんはこう言ってくださいました。
「革が好きなら革で山へ行ったっていい。自由で良いんです」
その言葉は今でも忘れられません。
軽さを追求することも素晴らしい。
合理性を突き詰めることも素晴らしい。
でも、自分が好きなものまで手放さなくていい。
山の楽しみ方も、道具のあり方も、本当はもっと自由でいい。
SO FAR SO GOODのものづくりの根底には、その考え方がずっと流れています。
Armadilloもまた、その延長線上にあります。
スタッフサックはこうあるべき。
パッキングはこうするべき。
そんな既成概念よりも、自分が本当に使いやすいと思える方法を形にしたかった。
そして、自分が困っていたことを解決するために作ったものが、同じような悩みを持つ誰かの役に立つ。
そして気づけば、多くの方に長く愛用していただける道具になっていた。
作り手として、これ以上うれしいことはありません。

「これ、私が作ってるんですよ〜!」そして実は昔、、、とキャンプイベントのお話に。
私の山道具作りにおいて特別な存在のお二人と嬉しい3ショット。
(真ん中のミラーに土屋さん笑)
ところで、なぜArmadilloという名前なのか。
丈夫なX-Pacの面を外側にして丸めた姿が、硬い甲羅を持つアルマジロのように見えたからです。
立ち上がったり、丸まったり、寝そべったり。
ただのスタッフサックなのに、なんだか生き物のような愛嬌がある。
そんなところも、この道具の好きなところです。
道具というのは不思議なもので、長く使っているとただのモノではなくなっていきます。
旅の記憶と重なり、相棒のような、仲間のような存在になっていく。
Armadilloも、そんな存在になれたらうれしく思います。
SO FAR SO GOODの道具には、Butterfly(蝶々)やTortoise(リクガメ)など、生き物の名前が冠された製品がいくつもありますが、それも、道具をモノというよりも自分の旅の仲間のように考えている部分が大きいから。
私は幼少期から昆虫や動物が大好きで、観察したりスケッチをするのが趣味という子どもでした。
今でも山歩きやランニング中にリスやシカ、鳥、トカゲ、カエルやカニなんかが目に入るとつい追いかけてしまうくらい。
SO FAR SO GOODは、楽しく心地よい旅をするための道具を作りたい。
Armadilloは、その想いから生まれた道具のひとつです。
明日6/21(日)21時から、お久しぶりの受注となります。
お届けは8月上旬より順次発送予定。
もしパッキングが少し苦手だったり、バックパックの中をもっと快適にしたいと思っていたりするなら、一度試してみてください。
山へ行く準備が、今より少し楽しくなるかもしれません。
