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【母のこと|ep45】関東へ向かう前夜

職場へ向かい、休みの調整をして、
帰宅する途中。
いとこから連絡が入りました。

火葬場の都合で、通夜と葬儀は
8日後になる、と。

仕事の都合上、8日後に再び休みを
取るのは難しい。
私はそのことを伝え、
せめて今のうちに叔母にご挨拶に
伺いたいと申し出ました。

まず姉に電話をかけます。

事情を伝えると、やはり
「私も行きたい」と言いました。

「行かなくちゃと思う気持ちは、
痛いほどわかる。
でも、今のその状態で無理をして、
周りに心配や迷惑をかけるわけにはいかないよ。
今回は我慢して。
私と妹で、お母さんを連れて行くから」

姉は「わかった。ごめん」と、
静かに電話を切りました。

次に妹へ連絡し、
翌日、日帰りで関東へ向かうことを伝えました。

仕事を終え、その足で、
叔父のもとへ持参する手土産と、
御淋見舞いの品を買いに向かいました。

バタバタしたまま家事をこなし、
ようやく一息ついたところで、

ひとつ問題が浮かびます。

関東の親戚宅へ行くには、
新幹線から電車、そしてバスを
乗り継ぐ必要があります。

何度もルートを確認しても、
頭の中でうまく繋がらない。

母も妹も、こういう場面になると、
自然と私に任せる形になります。

母と妹、さらに甥を連れて、
本当にたどり着けるのか——。


それでも、行かなければならない。


その様子を見かねた娘が、
一緒にルートを調べてくれました。

いっそのこと、車で行こうか。
けれど、文句ばかり言う母を
後部座席に乗せて、
私は平常心で運転できるのだろうか。


(どうしよう……)


そんなことを考えていると、
夫がぽつりと言いました。

「会社に連絡したら、明日休みが
取れたから。車で行こう」


心の底から、ほっとしました。

張り詰めていたものが、
少しだけ緩むのを感じました。

車で行くことになったことを
母と妹に伝え、
私は明日の準備を進めました。

いよいよ、関東へ。

けれど——

その夜、なかなか眠ることができませんでした。


このときの不安が、
ただの思い過ごしではなかった
ことを、
私は翌日、思い知ることになります。





ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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