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春と秋が消え、小田原に雪が舞い降りた。

真夏の酷暑がしつこく居座り、季節の情緒が壊れたかと思っていたら
一足飛びに冬が来た。 温暖な小田原の地に、雪が舞い降りた。

40代の頃は山中湖で、山梨側から猛々しくそびえる富士を愛でていた。
50代前半は御殿場へ移り、静岡側から優雅に広がる富士を愛でていた。
「一度は海の近くに」と真鶴へ渡り、毎日海を眺める暮らしもした。

そして、60歳を目前にした今。
俺は、子供の頃からずっと見ていたこの曽我の地に戻ってきた。

梅の花に舞い落ちる雪を眺めていると、この角度の富士山が、ようやく俺の視覚に「馴染んで」きたのを感じる。あちこち渡り歩いた末の、帰還だ。

これだけ富士の麓を転々としている俺だが、実は一度も登ったことがない。 登らなくても、
この曽我の山から愛でることで、
俺の心は十分に満たされている。

この景色を、
次の世代へと繋げていきたい。
今、ここにある価値を、古びさせないために。

それが、俺がここで「作業の続き」をやる理由の一つだ。

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