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祭りの面影

夕方少し時間があったから、読書も終えて少し散歩することにした。

近くに大きなお寺があるから、そこに行きたくなった。休憩所から見える景色が好きだから。

水を持って歩いた。10月だけどまだ暑い。トイレでようを済ませて、休憩所に座って水を飲む。

大きな五重塔を望み、緑を見る。ふと小高いところにあるお堂に行きたくなった。

たまたま東洋思想の本を読んでいたから、仏像を見たくなった。大きな仏像や小さな仏像を見た。

よくわからないけど、これらも自分も一つなのかなぁと思ったりした。

鐘が鳴っていた。手を合わせる人もいた。お堂に手を合わせて、しばらく境内を歩いた。

もう一つお堂を見たあと、広場のような広い境内の一角に来た。

ここはお祭りの太鼓台を置く場所だ。何年もお祭りに参加するときに来てる場所だ。

元気か?と声が聞こえた気がした。それは思い出の中の声だった。祭りでよく会う同級生。中学校から一緒だった。祭りの時一言二言話す。

今年もきっと話すんだろうな。するといろんな思い出が蘇る。

宵宮もある祭りだ。夕方日が暮れてからも太鼓台を担ぐ。その休憩中、夜に浮かぶ赤い提灯の美しさ。

ざわざわと騒ぐたくさんの人だかり。子ども大人、男女、いろんな人が集う。

友だちと話し、親と話し、親戚と話し、近所の人と話す。ときにはずっと年下の子どもとも話し、懐かしさを感じる。

そして子どもの頃の祭りも同時に思い出す。少し小さな提灯台をみんなで引く。

いたずらっ子たちが集まるから、メチャクチャに揺らしたりして遊んだ。

当て物をしたりたこ焼きを食べたり、中物で当たった火薬入りのおもちゃを炸裂させたり。そんな無茶なことをやって喜んで遊んでいた。

みんないる。父も元気、祖母も楽しそう。母もみんなと話している。近所のお母さんもみんな若くて、友だちはみんな幼い。

遊ぼうと言えば一緒になって遊んで、はしゃぎ回る。今の娘を見ると、そういう頃の自分に重なる。楽しかった祭りや子ども時代。色々あったけど、狭いせかいだったけど、めちゃくちゃ楽しく感じていた。

ふと今に戻る。修学旅行か遠足か、小学生が歩いてる。グループもいれば1人で歩く子もいる。

1人の子どもにとってこの世の空を感じるのかなと、先ほど読んだ本で思い返したりする。

今と昔がごちゃごちゃになるけど、境内には昔からの自分の影が顔を見せる。ここにいた確かな記憶。頭の中でまだ駆け回る幼い自分。

またあの子どもの頃のように祭りではしゃぎ回りたいなぁと思う。お酒でも飲んで話したり歩いたりしてみたい。

子どもの遊ぶ様子を見て、楽しみたい。きっと子どもも喜ぶだろう。

いろんな世界がありすぎて、どこに身を置けばいいかわからないけど、それは当日までの楽しみにしよう。

木々が風に揺れてる。からっぽになってる自分が確かに心地良い。

夏のような日差しと空を感じつつ、家路についた。

あの頃も今もそんなに変わってない気がした。

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