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絶滅危惧姓 ①/全5話【創作台本・世にもになるまで書いてみた・119作目】

これまでの話はこちら!

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○ 総合体育館・館内

 とても広い総合体育館にて。壁時計が示す時刻は夕方18時を過ぎている。ワクチン集団接種会場のような列があちこちで発生している。

○ 簡易ブース・室内

 健康診断のような仕切りで囲われた簡易的なブース。
 職員(男性)と男性Aのやり取り。

職 はーい、では「あなたの本名」がわかるものをご提示ください。

 テーブルに置かれた身分証明書の一例ボードのカット。マイナンバーカードなどの公的なものから、クリーニング店のポイントカードなど私的なものまで様々。プリント下部には太字で「あなたの本名を証明できるものなら、何でもOK!」と書かれてある。
 男性 提示を躊躇している。

職 ん? どうかされましたか? ご提示をお願いします・・・
男 (諦めたように)・・・・・・どうぞ。

 男性 マイナンバーカードを提示する。

職 お預かり致します。

 職員 読み取り用の機械にカードをかざす。その瞬間、けたたましい音量でサイレンが鳴る。赤いパトランプも点灯。さらに男性の頭上から捕獲用の網が落下。あえなく捕まる。

職 絶滅危惧姓「増宮」が出現! 至急「保護」を求める!

○ 総合体育館・館内

 別の職員(4人ほど・全て屈強な男性) 男性を檻に入れ、どこかへ連れ去っていく。
 その様子を主人公(男性・20代後半) 冷ややかな目で見ていた。

職 次の方どうぞー
主 ・・・はい。

 主人公 ブース内に入っていく。

○ 簡易ブース・室内

 主人公の手元カット。主人公が提示したのは、裏面に自分で記名するタイプのポイントカード。記名欄には「ヤマモトショウタ」と書かれている。
 職員 主人公を疑っているのか、苦々しい表情。

職 えっと、これは・・・
主 (強めに・ボードを指で叩きながら)
  本名を証明できるものなら、なんでも良いんですよね? 
  そう書いてありますもんね??
職 ・・・・・・お預かり致します。

 職員 読み取り用の機械にカードをかざす。ピンポン♪と正解の時に鳴りがちなSE。パトランプも緑色に点灯する。

職 ご協力ありがとうございました。
主 ・・・どうも。

 主人公 返却されたポイントカードを受け取り、ブースを出る。

職 次の方どうぞー

 ブースの外。
 主人公 安心したのか、ほっと一息ついて、総合体育館の出入り口に向かう。

○ 主人公宅・玄関

 主人公 クタクタで家に帰宅。すでにネクタイを緩めている。

主 ただいま~ ・・・あれ? 誰もいないのか? おーい。

 ドアを開けると、家の中が真っ暗。返答も無し。

主 ・・・まさか!

 主人公 血相を変え、慌ててリビングに向かう。

○ 主人公宅・リビング

 主人公がリビングに入った瞬間、明かりが点き、同時にクラッカーが鳴る。目の前にパーティー帽を被った彼女(主人公より年下)が嬉しそうな表情をしながら現れる。

女 ショウタくん! お誕生日おめでと~!!

 主人公 突然の出来事に戸惑い、呆気にとられた表情。

女 あれ? 喜んでくれないの・・・?
主 い、いや! めっちゃ嬉しいよ! 
  けどさ、家が真っ暗だったからさ何かあったのかと・・・
女 ごめんごめんw サプライズしちゃえと思って!
主 そっか・・・ (安心して)あ~ びっくりした~
女 じゃ、早速始めよっか! バースデーパーティー!
主 うん! ありがとうね!

 カレンダーのカット 3月1日の所に「ショウタ・バースデーパーティー」と書き込まれてある。

 主人公と彼女 向き合って座っている。テーブルの上にはたくさんの料理が。

女 改めて、ショウタ君誕生日おめでと~
主 ありがとう。これ、全部作ってくれたの?
女 うん! 頑張ったんだ~
主 すごい! おいしそ~ いっただき・・・
女 待って! バースデーケーキ忘れてた!
主 いや、食後でいいじゃない。
女 ダメ! ろうそくの火を消さないとパーティーが始まらないでしょ!
主 はいはい・・・

 彼女 キッチンに向かいバースデーケーキを取ってくる。
 主人公 乾杯前なのにシャンパンを一口飲む。

女 おまたせ~ 
  じゃーん! ショウタ君が好きなチーズケーキにしてみました!
主 お、いいねぇ!
女 待ってね。今、ロウソクに火点けるから!

 主人公 ケーキの上に飾られたチョコプレートに目が行く。チョコには「HAPPYBIRTHDAY ヤマモトショウタ♡」と書かれている。(英字部分が印刷・名前部分がチョコペン)。

 テレビの音のSE。ニュース番組が流れている。女性アナウンサーが原稿を読んでいる。

女 続いて、本日「保護」された「絶滅危惧姓」の一覧です。

 画面が切り替わり、「保護」された「絶滅危惧姓」が表示される。どれもこれも珍しい名字ばかり。

 主人公の表情カット。どこか複雑な表情。

女 ねぇ見てみて! 「白米」さんだって! 
  この名字でパン好きだったら面白くない?w
主 そ、そうだなw っておい! 火! クリームに当たってる!
女 あ! 教えてくれてありがと!
主 ったくも~

 主人公 なぜか苦笑い。

主 (ナレーション)
  彼女にはまだ言えない。俺の本名がヤマモトではないことを。

 チョコプレートのカット。
 タイトルテロップ『絶滅危惧姓』


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