ACの6タイプの役割と愛着障害・愛着不全は関係するのか?【結論】大いに関係します

【質問】ACのピエロとかヒーローとかは、機能不全家族での「役割」ということで、愛着不全という理解でいいですか? 愛着障害には関係ない概念でしょうか? 愛着障害には「役割」はないのでしょうか?

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

【お返事】これもかなり難しい質問ですね。
このような情報はネット上には見つけられません。ACの役割は非常に一般的ですしググればすぐ見つかりますが、その役割と愛着の関係は見当たりません。
私の持っている愛着の知見から考えてみます。試論のところもありますので、後日変更されることは大いにあります。それを考慮しながら参考にしてください。

まずAC(アダルトチルドレン)の役割を6タイプに分けて解説します。次に、その役割と、愛着障害や愛着不全との関係を考えます。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■ACの役割に関する6タイプ

JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)のアダルトチルドレン6つの役割の記事を参考に、6タイプの概説します。

この6タイプは、クリッツバーグ(Kritsberg,W)のACOA症候群(The Adult Children of Alcoholics Syndrome, 1985)の中で、成人してアダルトチルドレンとなった人が、子ども時代に機能不全家族のなかで、どのような役割を担ってたかについてタイプわけしたものです。

この6タイプに共通しているのは、自分の気持ちは横において、親や兄弟の希望を優先させるように行動することです。これは無意識の行動ですので、本人は不平・不満を持たずに役割を果たしています。

  • ヒーロー(英雄):世間的に評価されている子どもです。家族はこの子に期待します。すると子どもは期待に応え続けようとして頑張ります。そして頑張れなくなったとき挫折し、問題が表面化します。

  • スケープゴート(いけにえ):ヒーローのシャドー(裏返し)です。家族のゴミ箱の役割です。家族の中でダメな子を演じます。家族の暗闇を一身に背負っています。家族は「この子がいなければ家族はうまくいく」と、家族の中で幻想を抱くことで家族が結束します。

  • ロスト・ワン(いない子):静かで、目立たないことで、存在を消しています。ふだんは家族から忘れ去られています。いなくなっても気がつかれない。子どももこの役割を背負うことで、家族関係に巻き込まれないようにしています。

  • プラケーター(なぐさめ役):夫のアルコール問題でため息をついている母親をなぐさめたり、妻の不安定な言動に疲れている父親をなぐさめたりしています。家族の中の小さなカウンセラーです。

  • クラン(ピエロ):なぐさめ役の補助として存在しています。家族に緊張が走ったとき、とんちんかんな質問をして笑わせたりします。家族ではペット的な存在で、本人もその役割を楽しんでいるように見えますが、本心はとてもさびしい感情が吹き荒れています。

  • イネイブラー(ささえ役):他人の世話を焼くことで、自分の問題から逃げている人々です。ニセ親とも言われ、第一子がこの役につくことが多いです。第一子がヒーローやスケープゴートになると、第二子がイネイブラーになることもあります。母親に代わって妹弟の面倒をみたり、ダメ父に代わって母親のケアをさせられたりします。

■ACの6タイプを愛着から眺めると…

これらの6タイプの役割ですが、愛着障害と愛着不全の子どもはどのようにこれらの役割を使い分けているのでしょう。その前に、愛着障害と愛着不全の異同を確認しておきます。

◇愛着障害と愛着不全の違い

愛着障害と愛着不全の共通点は、次の2点です。

  • どちらも愛着に問題がある

  • どちらも養育者(特に母親)との愛着が問題である

愛着障害と愛着不全の違いは、

  • 養育者(特に母親)からの愛着信号がなかった、つまり【情緒的な交流】がなかった場合、愛着障害になります。

  • 養育者との愛着関係はあったが、それが不十分だった場合、主に学童期以降の愛着が不十分だった場合、愛着不全になります。

両者の定義はシンプルですが、実際のケースに当てはめると迷走することも多いです。ここから、ACの6タイプを愛着に照らし合わせながら見て行きましょう。

1. ヒーロー(英雄)

  • 愛着障害は〇

  • 愛着不全は◎

ヒーローの役割は両者ともありえます。「いい子」は愛着不全の代名詞ですから、愛着不全の子により強く出ますが、愛着障害の子もいつか親が変わってくれるというファンタジーによってヒーローを演じようとする場合があります。

2, スケープゴート(いけにえ・ゴミ箱)

  • 愛着障害は×

  • 愛着不全は◎

ゴミ箱の役目は愛着不全の人により強く出ます。愛着障害の子はゴミ箱さえ演じないかもしれません。なぜなら「ゴミ箱」だってりっぱな存在だからです。愛着障害の子はその存在感すらないのです。

3. ロスト・ワン(いない子)

  • 愛着障害は◎

  • 愛着不全は×

静かで、存在を消しているーこれは愛着障害の反応性アタッチメント障害の子といえるでしょう。この無存在は、家族間だけでなく、広く人間関係全般に影響を及ぼします。

4. プラケーター(なぐさめ役)

  • 愛着障害は×

  • 愛着不全は〇

小さなカウンセラーになるには愛着というものを体験していないと難しいです。また、話を聴くことができるということは、両親と話が少しでも通じないと無理です。ということは、両親は少なくとも虐待はしていないということです。
これから考えると、プラケーターは愛着不全の子にはふさわしい役目といえるでしょう。愛着障害の子は、あまり積極的に両親へ関わろうとしないでしょう。なぜなら養育者へ無意識の恐怖を抱いているからです。関わったとしてもクランとして関わる感じです。プラケーターよりは距離が少しある感じですね。

5. クラン(ピエロ)

  • 愛着障害は〇

  • 愛着不全は〇

なぐさめる役割の亜流ですが、サブゆえに、分かりやすくなぐさめ役に徹することはありません。その意味では、愛着障害もこの役割を取ることが可能です。

6. イネイブラー(ささえ役)

  • 愛着障害は〇

  • 愛着不全は〇

これは両者ともとり得る役割ですが、心理的背景が違います。愛着障害の子はイネイブラーになって、本当に育児をします。本当の母親になろうとします。私がいないと弟妹が死んでしまうと、と本気で思って世話を焼きます。自分の問題から逃げているわけではありません。
それとは違って愛着不全の子は「いい子」を演じるためにイネイブラーをします。そうやって親の気をひこうとします。

■まとめ

  • 愛着障害の子は、ヒーロー、ロスト・ワン(◎)、クラン、イネイブラーになりやすい

  • 愛着不全の子は、ヒーロー(◎)、スケープゴート(◎)、プラケーター、クラン、イネイブラーになりやすい

  • ACは機能不全家族のことですので、ACの6タイプは、愛着不全に近い概念といえそう

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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