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#152 ただ目の前のことをすることがとんでもないところへ続く道ーー武元唯衣が見せた道

武元唯衣さんの卒業セレモニーを見て、キャリアというものについて考えさせられました。

アイドルには、卒業があります。どれだけ素晴らしいメンバーでも、永遠にグループにいるわけではない。いつか、その場所を離れる日が来る。

アイドルやスポーツ選手を見ていると思うことがあります。

卒業後はどうするんだろう。
セカンドキャリアは考えているのだろうか。
今の夢に全振りして大丈夫なのだろうか。

もちろん、本人たちが何も考えていないわけではないと思います。

ただ、アイドルのキャリアは、一般的な会社員のキャリアとは少し時間軸が違うのかもしれません。

未来から逆算して、資格を取り、経験を積み、段階的にキャリアを作っていく。そういう道とは違う。むしろ、今この瞬間の憧れや衝動に突き動かされて、後悔したくないと、まず夢の中に飛び込んでいく。

そこから始まるキャリアがあるのだと思います。



アイドルのキャリアは、衝動から始まる

アイドルのキャリアは、最初から合理的に設計されているものばかりではないと思います。

歌いたい。
踊りたい。
人前に立ちたい。
憧れの人みたいになりたい。
自分もあのステージに立ってみたい。
今しかないと思った。
このオーディションを逃したくなかった。
お姉ちゃんが勝手に申し込んでいた(これもよく聞きますよね)
※山田桃実さんはお姉さんの薦めだったみたいですね。

そういう、理屈だけでは説明できない感情から始まることが多いのではないでしょうか。

冷静に考えれば、アイドルの世界は不確実です。

人気が出るか分からない。
努力が必ず報われるとは限らない。
卒業後の道も、最初から保証されているわけではない。

合理的に考えすぎれば、「やめておいた方がいい」となってもおかしくありません。

でも、それでも飛び込む人がいる。

それは、リスクを分かっていないからではなく、リスクを上回る衝動があるからなのだと思います。

この衝動は、決して浅いものではありません。
それは今までのメンバーの言葉を聞いていたら思います。
そして"衝動"という言葉では片づけられないほど、大きな夢や覚悟を持っているメンバーも多くいたと思います。

夢の入口は、きれいなキャリアプランではなくてもいい。

「やってみたい」
「ここに行きたい」
「あの景色を見たい」

その気持ちが、人を動かす。

武元さんも、最初から卒業後まで含めたキャリアをすべて設計していたわけではないでしょう。憧れの欅坂に入りたかった。目の前の夢の中に飛び込み、その場所で本気になった。

その衝動から始まった時間が、結果として彼女のキャリアを開いていったのではないでしょうか。


武元唯衣は、目の前のことに本気だった

武元さんについては、ここ数日のnoteで何度も書いてきました。

自信がなかったこと。
外番組で悔しい思いをしたこと。
8th BACKS LIVEが転機になったこと。
そして、国立と卒業セレモニーでコレオグラファー武元唯衣として、唯一無二の姿を見せてくれたこと。

ここをもう一度細かく振り返ると、前回までの記事と重なってしまうので、今回は少し視点を変えたいと思います。私が今回考えたいのは、武元さんが何をしてきたかというより、なぜその経験がキャリアになったのかということです。

バラエティも。
BACKS LIVEも。
ダンストラックも。

それぞれは、最初から「将来のキャリアのために計算して積み上げたもの」ではなかったと思います。

少なくとも、加入当初からすべてを逆算して、「私はバラエティで評価され、ダンスでバリバリとグループの中心になって、最終的にダンストラックを作るアイドルになります」

と描いていたわけではないでしょう。

でも、結果としてそのような実績を残した。

なぜか。

それは、目の前のことに本気で向き合っていたからだと思います。

目の前の番組。
目の前のライブ。
目の前の役割。

そこから逃げずに、一つずつ向き合ってきた。その積み重ねが、後から武元唯衣さんのキャリアになっていったのだと思います。


キャリアは、あとから意味がつながることがある

キャリアというと、どうしても未来から逆算して考えがちです。

将来どうなりたいか。
そのために何を学ぶか。
どんな経験を積むか。
どんな肩書きを持つか。

もちろん、それは大切です。

特に社会人になると、目標設定やキャリアプランは必要ですし、何も考えずに流され続けるのは危ういところもあります。ただ、すべてのキャリアが最初から設計通りに進むわけではありません。むしろ、振り返った時に初めて意味がつながる経験も多いのだと思います。

その時は、ただ目の前の仕事だった。
その時は、ただ任された役割だった。
その時は、ただ好きで続けていただけだった。

でも、後から振り返ると、

「あれが今につながっていた」
「あの経験が自分の強みになっていた」

と気づくことがある。

武元さんのキャリアも、まさにそう見えます。

外番組でうまくいかなかった経験。
そこから逃げずに向き合った時間。
BACKSで任された役割。
パフォーマンスへの向き合い方が変わった瞬間。
グループ全体のダンスを考える視点。

その一つ一つは、当時からすべて「未来の肩書き」に直結して見えていたわけではないと思います。でも、本気で向き合っていたから、あとからつながった。ここが大事なのだと思います。


目の前の上達が、未来の資産になる

アイドルの世界は、外から見ると成果の世界です。もちろん成果は大切です。成果が出なければ続けることが難しい世界でもあります。

売上、人気、外番組、
中々シビアな世界です。

でも、実際に本人たちが日々向き合っているのは、もっと地味な上達なのではないでしょうか。

昨日より少し上手く踊れるようになる。
ライブ中の表情の表現が上手くなる。
ライブでの煽りやMCが緊張しなくなる。
バラエティで流れに沿った面白いことが言えるようになる。

こういう、本当に地味な積み重ねです。そしてキャリアを開くのは、案外この地味な上達なのだと思います。

成果だけを追うと、結果が出なかった時に自分の価値が揺らぎます。

選ばれなかった。
呼ばれなかった。
評価されなかった。

そうなると、キャリアが止まったように感じてしまう。

でも、上達は自分の中に残ります。

昨日よりできることが増えた。
前より緊張しなくなった。
自分の強みが分かってきた。

これは、すぐに結果にならなくても消えません。そして、その蓄積がいつか別の場面で効いてくる。

武元さんが外番組で身につけた対応力は、バラエティだけに閉じたものではなかったと思います。

人前で話す力。
場の空気を読む力。
自分の言葉で返す力。

これは、どの仕事でも強い力です。

BACKS LIVEで培ったパフォーマンスの見せ方や作品作りへの意識も、ステージ上だけに閉じていません。

全体を見る力。
構成を考える力。
人の魅力を引き出す力。
どうすれば伝わるかを考える力。

これも、キャリアの資産です。
正直なところ、アイドルや芸能界だけでなく、企業の中で、社会の中で働くにおいてとても重要なヒューマンスキルであり、コミュニケーションスキルです。

つまり、目の前の上達は、その場だけのものではない。後から別の形で使える力になる。だから、本気で目の前のことをすることは、未来を犠牲にしているのではなく、未来の材料を増やしていることなのだと思います。


本気でやっている人は、周りが見つけてくれる

もう一つ大事なのは、本気でやっている人は、周りが見つけてくれるということです。

人は、自分の強みを自分では見つけにくいものです。

自分にとっては当たり前にやっていること。
ただ必死にやっているだけのこと。

それが、周りから見ると魅力や才能に見えることがあります。

「あの子、話せるよね」
「あの子のダンス、目を引くよね」
「あの子なら任せられるよね」

そうやって周りが見つけてくれる。

武元さんも、自分一人で自分のキャリアを設計し切ったというより、周りから見つけられ、任され、その役割に応えていく中で道が開いていった人なのだと思います。

もちろん、見つけられるためには実力が必要です。

ただ目立てばいいわけではない。
ただ好きなことをやっていればいいわけでもない。

でも、本気で向き合っている人には、積み重ねたものがにじみ出ます。そのにじみ出たものを、周りの誰かが見つける。そして次の役割が来る。

任されたら、また本気で向き合う。すると、また少し見え方が変わる。また次の道が開く。

キャリアは、一人で作るもののようでいて、実は周りとの関係性の中で開いていくものでもあるのだと思います。


後輩たちに残したキャリアの考え方

武元さんが後輩たちに残したものは、パフォーマンス技術やバラエティの立ち回りだけではないと思います。もっと大きく言えば、キャリアの作り方を残してくれたのではないでしょうか。

最初から道が見えていなくてもいい。
自分の強みが分からなくてもいい。
与えられた場所が、望んだ場所でなくてもいい。
自信がなくてもいい。

でも、目の前のことに本気で向き合う。そうすれば、その場所がいつか自分の道になることがある。これは、三期生や四期生にとっても大きなメッセージだと思います。

ダンスが強い子。
歌が強い子。
言葉が強い子。
演技が強い子。
バラエティで光る子。
まだ自分の強みに気づいていない子。

それぞれが、今すぐ将来のキャリアを完璧に描けていなくても、目の前のことに本気で向き合った先に、本人もまだ知らない道が開くかもしれない。
武元唯衣さんは、そのことを背中で見せてくれた人でした。


本気でやったことだけが、次の役割を連れてくる

本気で目の前のことをすると、キャリアが開く。これは、すぐに夢が叶うという意味ではありません。努力が必ず報われるという、きれいな話でもない。でも、本気でやったことだけが、次の役割を連れてくることがある。

中途半端にやったことは、なかなか次につながらないし、本人の中にも周りの記憶にも残りにくい。

でも、本気で向き合ったことは、たとえその時に結果が出なくても、本人の中に経験として残り、周りの中に信頼として残り、そしてある日思わぬ形で道になることがあるかもしれません。

武元さんのキャリアは、そのことを教えてくれているように感じます。

卒業は、アイドルとしての物語の一区切りではあります。でも、本気で走った時間は消えないのだと思います。

最初は目の前のことに夢中で走った日々が、知らぬうちに次の人生の土台になっていて、上達し続けた時間が、次の役割を連れてきてくれる。そして、今の夢を本気で生きた人ほど、次の夢に出会える可能性が広がっていくのだなと彼女を見て思いました。

武元さんが櫻坂で見せてくれたキャリアは、まさにそういうものだったのだと思います。櫻坂に、そして我々に「目の前のことに本気で向き合えば、自分の道は開ける」と背中で見せてくれて、本当にありがとうございました。

改めて卒業おめでとうございます。

※写真出典
Seed & Flowerが所有しており、様々なメディアに提供し使われている写真を使用させていただいております。

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