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1. 連絡が取れないので、彼の部屋に行きました。

彼とは別々に住んでいましたが、
毎日連絡をとっていました。
電話は毎晩。
残業や飲み会などで電話できない時はLINE。
休みの日に会えない時は何度も電話していました。

ある日、彼からの連絡がありませんでした。
うっかり寝落ちしてしまって
連絡がないことは今までもあったので
そんなに気にしていませんでした。
そういう時には、必ずLINEを次の朝に入れてくれていたし。

次の日。あれ?LINEがきていない。どうしたんだろう。
「どうしたの?心配です」とLINEを入れたのに既読がつきません。

その次の日も既読がつかないので
嫌な予感がして、
居ても立っても居られず、
彼の部屋へ向かいました。

スマホが壊れて連絡が取れない?
会社で倒れて緊急入院?
えーと、他の可能性はなんだろう。
道中心臓がうるさい。
手が冷たい。

もう、こんなの身がもたないから、
一緒に住もうよ。結婚しよう。
彼に会ったらプロポーズしよう。

ドキドキしながら、彼の住んでいる建物に辿り着きました。
ポストは空になっています。
ということは、家には帰っているはず。

ちょっと安心して部屋まで行くと部屋の表札がありません。
どういうこと?
心臓はますますうるさいのに体温が下がっていきます。

緊張しながらドアを開けると、
見事に全部がひっくり返されていて、
棚という棚から物が落とされて床に散らかっています。
空き巣が入ったのか?

よく見ると、衣類がつっこんである大きいゴミ袋が
たくさん転がっているので
これは泥棒ではない。
ということは…。

思わず「何が起きたの?なにごと?どういうこと?」と
大きな声が出てしまいます。
手がぶるぶる震えて止まらない。
血の気がどんどん引いていって
体がぎゅっと固まっていくのがわかります。

わたしたちが大事にしていたぬいぐるみが見当たらない。
きっとゴミ袋に入っているんだろうな。
探して助け出したかった。
一緒に遊んでいたSwitchがない。
まだエンディングを見ていないゲームがあるのに。
だけど怖くて物にさわれません。
下手に触ったら、問題になるかもしれない。
いや、現実に触れたくない。

部屋に入って事態を把握し始めたら、
耳鳴りがものすごいボリュームで周りの音がよく聞こえません。
口の中がものすごく苦くなりました。

しばらく部屋の中をうろうろ歩き回ったけれど
部屋にいることが怖くなってきました。
部屋がだんだん廃墟のように見えてきます。

彼の身内の誰かがまた来るかもと判断して
持ってきたメモ用紙に
震える手をおさえながら連絡が欲しいことを書いて、
玄関ドアの内側にマグネットで留めて部屋を出ました。
たぶん、部屋に入ってから5分ぐらいしか経っていません。

体の右半分が撃ち抜かれたみたいです。
胸の辺りにぽっかり穴が空いたみたいです。
あの比喩はそのまんまの表現なんですね。
ほんとに穴が空いてる感覚。

帰りの電車でも手の震えが止まりません。
こんなに震えるものなのでしょうか。
耳鳴りもひどいし、口が苦い。体が重い。手が冷たい。
歯を食いしばりすぎて顎が痛い。

何かの間違いだと思いたくて
彼にLINEを送るけど、既読はつきません。



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