【家電恋愛小説】花を届けたその玄関に、母の安心と私の恋が咲いていた

防犯のために選んだはずのドアホンが、
知らない誰かとつながる“合図”になるなんて、
あのときの私は、まだ知らなかった。
怪しいチャイムと、母のことチャイム

「また来てたらしいよ、あの人。チャイム鳴らして…」
ニュース番組で流れたのは、怪しい訪問者の映像。
最近は、テレビドアホンが捉えた記録が証拠になるケースも増えているらしい。
その言葉に、真っ先に思い浮かんだのは、母の顔だった。
一戸建てで独り暮らし。
少し頑固で、機械も苦手で、「私は大丈夫よ」と言いながらも、
年々、小さくなっていく背中が、どうしても気になっていた。
敬老の日も近い。
何か“安心”を贈りたいなと思っていた、その矢先だった。
見慣れないドアホンと、やさしい声

「カオルさん、花の配達お願いできる?」
翌日、花屋のパート先で店長に頼まれたのは、
お店から徒歩5分ほどの、三階建てのスリムな一軒家。
モノトーンの外壁に、きれいに並べられた植木鉢。
さりげない美意識がうかがえる、センスのいい家。
玄関のチャイムを押すと、すぐに応答があった。
「はい、どちらさまですか?」
スピーカー越しに響いたのは、静かで落ち着いた男性の声。
──テレビドアホン? でも、見たことないタイプかも。
数秒後、彼が玄関を開けた。
そこには、きれいに整えられた玄関と、
その奥に、黒縁メガネをかけた男性の姿が。
「こんにちは。SwitchBotのテレビドアホンなんです。
最近つけたばかりで、ちょっと緊張しますね」
白いシャツにカメラバッグ。
穏やかな雰囲気と、控えめな笑顔。
「すみません、お花のお届けです。今日がお誕生日かと…」
どきどきしながら手渡すと、彼はうれしそうに受け取ってくれた。
玄関前の、ちょっといい会話

「このドアホン、賃貸でも使えるんですよ。
貼るだけでOKだから、工事もいらなくて」
「えっ、そんな簡単に?」

「はい。しかもバッテリーがすごく長持ちで。
一度充電すれば、2年8か月も使えるらしくて。
スマホで確認もできるし、夜間でも明るく映るナイトビジョンも搭載されてます」

「……それ、うちの母にぴったりかも。
一人暮らしで、最近ちょっと心配で」
そう口にした私に、彼はふっと表情を和らげた。
「もしよければ、購入の相談、僕でよければお手伝いしますよ。
機械の話、つい熱が入っちゃうので」
「……えっと、じゃあ、お願いしてもいいですか?」
思わず目をそらしてしまった私に、
彼はすこしだけ声を柔らかくしてこう言った。
「その花、届けてくれたのがあなたで、よかったです」
LINEで、少しずつ

その日の夜、私は思い切って彼にLINEを送った。
「さっきのドアホン、やっぱり気になっていて…
母にプレゼントしたくて、いろいろ教えてもらえたら嬉しいです」
するとすぐに、
「もちろん。仕様のリンク、送りますね」と返信が届いた。
カタログや動画のURLに加えて、
「設置は一人でも大丈夫ですよ」といった優しいアドバイスまで。
彼の言葉はどれも丁寧で、
“詳しい”というより“思いやりがある”という印象だった。
やりとりを重ねるうちに、気づいてしまった。
──ああ、私、もう一つ欲しくなってる。
母のためのドアホンと、
誰かとつながる、あたたかい時間。
母の家で、カチッと安心を

翌週届いたSwitchBotのテレビドアホンを持って、
私は母の家を訪れた。
「まぁ、すごいわね。これが最近のインターホン?」
貼りつけて、コードをつなげて、
スマホと連携して……作業は本当に簡単だった。
「ナイトビジョンもあるし、ピンポンの履歴も残るし、
なにより声も映像もクリア。すごいね、最近のは」

母もすっかり気に入ってくれたようで、
玄関先でぴょこんと手を振ってくれた。
私はその姿をスマホでパシャリ。
ピンポン越しの恋、ちょっとだけ前へ

夜、自宅に戻った私は、
母の笑顔が映った写真を添えて、彼にメッセージを送った。
「無事つけられました!母もすごく喜んでます☺️
あの、ちょっとだけ本音を言うと…
設置を通して、あなたと繋がれたのがいちばん嬉しかったです」
ドキドキしながらスマホを見つめていたら、数分後。
「写真、すごくいいですね。
カメラのせいかもしれませんけど……
撮った人の優しさまで映ってる気がします」
画面の文字が、静かに心を揺らした。
そして、続けてこう書いてあった。
「今度お時間あれば、スマホ連携の設定もお手伝いしますよ。
お礼に、またお花をいただけたら嬉しいです」
思わず、息をのんだ。
「……またお花、届けに行ってもいいですか?」
私のその問いに、彼から届いた最後の一文。
「もちろん。
でも次は、チャイムを鳴らす前に教えてください。
僕が、玄関で待ってますから」
そのとき、心の中で、
「ピンポーン」と可愛い音が鳴った気がした。
恋のセキュリティ、万全です

玄関を守るドアホンのように、
この人が、そっと私の心も守ってくれる気がした。
ひとりの生活に、もうひとつ“安心”が増えたこと。
そして、もうひとつ、“予感”が芽生えたこと。
それが、今年いちばんの贈り物だったかもしれない。
読んでいただき、ありがとうございました。また次回もお会いしましょう!
配線いらずで、すぐに使えるのが嬉しいです。
2年以上も充電が持つなんて、正直びっくりしました。
取り付けも簡単そうなので、機械が苦手な母親にも勧めやすいです。
これなら、何かあった時もすぐに確認できて安心ですね。
◇ 家電恋愛小説 ◇
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