【読書記録 -69】進化を引き起こす6つの鍵: 1分間メンタリング
自律的成長を加速させる「1分間メンタリング」
マネージャーと呼ばれるポジションにいる人たちは、常に成果を出すことが求められている。
当然、その成果は「チームとしての成果」だ。
そうなると、マネージャーはチームメンバーやステークホルダーの力を借りなければ、求められている(以上の)成果を出すことができない。
そのために不可欠なのが『1分間メンタリング』の思考だ。

なぜ今、メンタリングのマインドセットが重要なのか
現代の複雑なビジネス環境において、上司から部下への一方的な「ティーチング(正解を教えること)」には限界を迎えつつある。これからのビジネスシーンで求められるのは、正解のない問いに対して自ら思考し、人的ネットワークを駆使して解決策を導き出す力だ。
メンタリングとは、経験豊富な先輩(メンター)が若手や後輩(メンティー)に対し、対話を通じて知識、経験、心理面でのサポートを行い、自律的成長とキャリア開発を支援する人材育成手法を指す。
本書において「1分間」という言葉には、単なる時間の短さだけでなく、以下の3つの意味が込められている。
「習慣化」する
こういう「行事」的なものは後回しにされがちだ。
しかし、メンタリングは習慣化しないと効果はない。
「1分間なら時間は作れる」というマインドセットを持つことで、対話の頻度を上げることができ、日常の中でのタイムリーなフィードバックを行うことができる。
「本質」に集中する
1分間という制限を課すことによって、メンターもメンティーも伝えることの取捨選択を強いられることになる。
何が目標なのか
何が良かったのか
何が課題なのか
伝えるべきポイントを絞り込むことで、発せられたメッセージは鮮烈になる。冗長なアドバイスは記憶に残りにくいが、凝縮された1分間の言葉は、相手の行動を即座に変える力を持つ。
「自律」を促す
メンターが長く話しすぎると、往々にしてメンティーは依存するようになる。1分間という制限を課すことによって、メンターは「きっかけ」を与えることに徹するようになる。短い言葉で気づきを与え、メンティー自身に考えさせ、行動させる。それが、メンティーの自律性を引き出し、自ら成長する力を養うことにつながるのだ。
成長を確実にする「メンタリングの6つの鍵」
本書では、メンタリングを成功させ、関係を継続するための指針として「MENTOR」の頭文字を取った6つの鍵を提示している。
1. Mission(ミッションを定める)
まず、基本的なルールの設定をする。
そして、お互いのことを理解するためにビジョンや志を共有する。
さらに、何のためにこの関係を築くのか、大局的で長期的な目的を明確にすることが重要だ。
2. Engagement(絆を深める)
互いに正直であることが何より大切だ。
いつもメンターから話題を振るなどという形式にこだわらず、メンティーが自分なりの分析をするなど、互いの成長に対して真剣にコミットすることが重要だ。
3. Network(人脈を広げる)
メンターは自身の知識だけでなく、自分が持つネットワーク(人脈)をメンティーに開放しよう。メンティーにとって、自分とは異なる視点を持つ層との繋がりは、視座を高める絶好の機会となる。ただし、紹介された相手を利用しようとしたり、失礼な言動があったりしないよう、慎重に行動しなければならない。
4. Trust(信頼を築く)
弱みを見せ合える関係こそが強い。
たとえ何かミスが起きたとしても、至らなかった点を素直に認め、必要があれば謝罪する。事実を誠実に共有することが信頼関係の構築につながるのだ。
5. Opportunity(チャンスをわかち合う)
学んだことを実践する場を設けること。
メンターは可能な限りそういった機会を提供するように努力し、メンティーはその機会を活かすと同時に、自分の周囲にその機会を分配する役割も受け持つべきである。
6. Review&Renewal(振り返り、新たにする)
振り返りはメンタリングの重要なプロセスだ。
定期的に関係性や進捗を確認し、必要に応じて目標を更新することが重要だ。だが、その目標に執着し過ぎることが逆効果になる場合がある。メンティーの成長のフェーズに合わせて関係性を柔軟に変化させるべきだ。
背景と結論
本書の共著者 ケン・ブランチャードは、世界的に著名なアメリカの経営コンサルタント、作家、リーダーシップ論の権威だ。星野リゾートの星野佳路氏も著者の理論の信奉者である。
もう一人の著者クレア・ディアス=オーティスは、Twitter(現X)の初期メンバーとして、企業や個人がソーシャルメディアを社会貢献やポジティブな目的のために効果的に活用する方法を推進した人物だ。
他者の成功を支援し、自らも謙虚に学ぶ姿勢を持つことは、双方向のマインドセットの変革を促進する。
そこで発生するエネルギーこそが、チームが「求められている以上の成果を出す」ための源泉になるだろう。
