競争戦略論[Ⅰ]を読む - ⑥業務効率化を戦略と勘違いすること
さあ、水曜日だ。
毎週水曜日はマイケル・ポーター著「競争戦略論」をベースに、ボクの気づきや思考をアウトプットするシリーズを展開している。
先週は「優れた戦略にInsightとExecutionは不可欠」という記事を書いたが、今週は「業務効率化を戦略と勘違いすること」ということについて書いていこうと思う。
ベストプラクティスとプロシージャ
さて、Execution(実行性)というワードが出ると、ボクらはどうしても「効率化」というワードを結び付けたくなる。それは悪くないことだ。
多くの企業は、生産性やスピードや品質を追求する。いや、追求しなければならない。なぜならば、他社と競争して勝たなければならないからだ。業界の中で自社のポジションを引き上げていかなければならないからだ。
多くの企業は、生産性やスピードや品質を追求するために、いろいろな手法を導入する。例えば、TQM(Total Quality Management)、PM(Program Management)、HRM(Human Resource Management)、SCM(Supply Chain Management)、ベンチマーキング、シックスシグマ、タイムベース競争…などなど様々な手法がある。企業は試行錯誤を繰り返し、様々な手法の中で自社に(言い換えると「自業界」に)最適なものを発見しようとする。
企業が何をやっているかというと、社内にナレッジを蓄積し、ベストプラクティス(最適な手順)を発見し、プロシージャ(手順書)を作ろうとしているわけで、それは粘り強く実行しさえすればそれなりに成功するものだ。しかし、そこに達するまでに相当な時間と労力を費やすことが多く、それは往々にしてコストに跳ね返る。
今の時代パクるのがセオリーだろ?
しかし、このベストプラクティスの発見、およびプロシージャの策定を、もっと短時間で、且つ低コストで行える方法がある。それは同業他社が成功した方法をパクることだ。その会社でマネジメントに携わっていた人材を引き抜くとか、その会社から独立した人が興したコンサル会社にアウトソーシングするとかすればいい。ひょっとすると、そういった人が書いたビジネス書を買って読むくらいでマネできてしまうものかもしれない。
なにが言いたいかと言うと…
ベストプラクティスは自社の機密事項にすることができず、あっという間に業界の中でマネされていく。つまり、ベストプラクティスの実現、つまり「業務の効率化」で他社との競争を制することはできないということだ。
業務効率化によって生産性は間違いなく向上する。
しかし、業務効率化によって、どの企業も似たり寄ったりになる。そうなると勝者は生まれない。業務効率化だけを武器にして戦う世界線では、誰もがチキンレースを行うだけとなり、我慢できなくなった者が脱落し、ギリギリで耐え忍んだ企業だけが、満身創痍で長生きし続けるという状態になる。
重要なのは「戦略」だ
「業務効率化」を「戦略」と勘違いしてしまうことが問題なのだ。
ここを勘違いしてしまうと、その企業は競争力を失う。
業務効率化とは、同業であればどこの会社でもやっている(やってなければならない)活動を他社より上手に行うことだ。その「効率化」は、業務オペレーションだけでなく、自社が持っている資源をいかに有効に活用するかというところも含まれる。
一方で、戦略とは、同業であればどこの会社でもやっている(やってなければならない)活動を他社と異なる方法で行うことだ。もしくは(グッとハードルは高くなるが…)まだどこの会社もやってない活動を行うことなのだ。
(続きはまた来週)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後まで読んでくださってありがとうございます。
これまで書いた記事をサイトマップに一覧にしています。
ぜひ、ご覧ください。
<<科学的に考える人>>
