誰が「物流」を殺すのか - ⑩ネット通販物流(複雑化する現代のネット通販)
さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「フルフィルメントセンターの実務」というテーマの記事を書いた。
今日は「複雑化する現代のネット通販」について書いていこうと思う。
購入者の行動の変化
少し「物流」からお話が逸れるが…
ネット通販の拡大に呼応して、実際に商品を見て購入できないという不満が大きくなってきた。そのため、購入者は店舗で商品を確かめて、その場で商品を買わず、その後にネット通販で買うという行動に出るようになった。
逆の行動もある。
それは、ネットショップで価格帯やレビューを調べ、その情報を持って実店舗で商品を買うという行動だ。前者を「ショールーミング」と呼び、後者を「ウェブルーミング」と呼ぶが、ショールーミングをしたことがある人は70%以上、ウェブルーミングをしたことがある人は80%以上と言われていて、いずれも小売業者としては非常に気になる消費行動だ。
ネット通販とリアル販売の連携
そういった顧客の行動に対応するため、O2O(Online to Offline)と呼ばれるネットとリアルの連携、その中でも特にネット(Online)からリアル店舗(Offline)に購買層を誘引する手法の研究がされている。
もともとはシングルチャネルだ。
顧客は実店舗に直接行って商品を買っていた。ひとつの店舗の商圏は狭く、立地と広告、そして価格戦略とリピーターの囲い込み戦略で多店舗との差別化を図っていた。そこにカタログ通販事業者が現れ、ネット通販事業者が現れたことによって、顧客はそれぞれのチャネルをバラバラに利用するようになった。その顧客を囲い込むために、リアル店舗はネット通販を始めるようになり、ネット通販事業者はリアル店舗を持つようになった(後者の方で上手くいった例はあまり聞いたことがないが…)。その考え方を「クロスチャネル」と呼んでいた。
「呼んでいた…」と過去形なのは、現在ではその考えをさらに推し進めて「オムニチャネル」という販売形式に進化しているからだ。オムニチャネルにおいて、小売業者はリアル店舗を持ち、ネット通販(場合によってはカタログ通販)も行う。そして購入者は買った商品を宅配で届けてもらうこともできるし、店舗に受け取りに行く(最近では専用の受け取りロッカーなどを置く事業者も増えてきた)こともできる。それまでバラバラだった販売チャネルをシームレスに統合しようという考えだ。
オムニチャネル戦略の例
このオムニチャネルを日本で最初に実現したのは、ボクの知る限り西友だと思う。西友は2000年に日本で初めてネットスーパーを開始した。言うまでもなく、ネットスーパーはリアル店舗とネット通販を融合させたものだ。その後、西友を追ってイトーヨーカドーやイオンもネットスーパーを開始した。ネットスーパーは、原則的に店舗の店頭に並んでいる商品や、バックヤードで抱えている在庫をネットで販売するという考え方だ。
それに対し、ニトリ、無印良品、ユニクロなどの大規模小売(これらはメーカーでもあるが)などのオンラインストアは若干考え方が異なる。大別するとオムニチャネルであることに違いはないが、こちらはネット通販用の商品の在庫は倉庫で抱えていて、購入者の指定によって届け方が変わるというものになる。
三省堂などの大型書店もオムニチャネル展開を行っているが、こちらもまたちょっと毛色が異なる。三省堂の場合、楽天やYahoo!などのモールに通販用の店舗を置いていて、そのバーチャル店舗で購入された本は、在庫を抱えている店舗から発送され、購入者の手元に届く。
ネット通販事業者の重点を知る
このように、現代のネット通販は形態が細分化され複雑化していて、それぞれの企業が置いている重点が微妙に異なっている。そうなると、当然物流のネット通販への関わり方も細分化されるべきだ。そして、痒いところに手が届くような提案(もちろんその実行を含めて)ができる物流事業者が生き残っていくことになるだろう。
(続きはまた来週)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後まで読んでくださってありがとうございます。
これまで書いた記事をサイトマップに一覧にしています。
ぜひ、ご覧ください。
<<科学的に考える人>>
