【読書記録 -144】「夜ふかし」の脳科学
世界一眠らない国、日本
「日本は世界一眠らない国」なんだそうだ。
そう聞くと、ボクたちは反射的に「働きすぎだから仕方ない」と思うかもしれない。
しかし、神山潤著『「夜ふかし」の脳科学』によると、問題なのは大人だけじゃないようだ。睡眠時間が短いのは成長期にある子どもたちも同様なのだ。

本書は、夜ふかしを単なる生活習慣の乱れではなく、脳の発達や学力、精神面、さらには将来の健康にまで影響を及ぼす「脳科学」の問題として解説した一冊だ。
人間は「毎日少しずつ狂う時計」を持っている
ボクが最も興味深いと感じたのは「生体時計」の話だ。
人間の体内時計は24時間ぴったりではなく、およそ24.2時間の周期で動いているという。つまり、人は毎日少しずつ地球時間と乖離しながら生きているのだ。
その乖離を修正するのが、朝の光だ。
さらに、朝食や運動、人との関わりといった生活習慣も、生体時計を地球時間へ同期させる役割を担っている。
考えてみれば、地球には4年に一度の「うるう年」がある。人間にも、毎日少しずつ時間が狂う時計が備わっていて、それを毎朝合わせ直しているようなものなのかもしれない。
昔から言われる「早寝・早起き・朝ごはん」は、精神論ではなく、生物学的な意味を持っていたのである。
睡眠不足は脳の性能を下げる
睡眠中、脳では記憶の整理や定着が行われ、神経回路が再編成される。ところが睡眠不足になると、その働きが十分に行われない。
実際に、睡眠時間が短い子どもほど学力テストの成績が低く、図形を模写する能力にも差が見られたという。さらに、睡眠不足は肥満や高血圧、糖代謝の異常とも関係し、将来の生活習慣病のリスクを高めることも示されている。
夜ふかしは「眠い」で終わる話ではない。
脳の働きに直接影響する問題なのだ。
睡眠は「脳の準備時間」
前述の「生体時計」に話しを戻そう。
集中できない。
イライラする。
なんとなく頭が働かない。
そんな風に感じながら日々を送っている人も多いことだろう。それはひょっとすると、生体時間と地球時間のズレが体感でわかるほど大きくなったものかもしれないな。
不規則な生活が常態化している人 ―ボクも時々「どうすれば早起きできますか?」なんて相談をされることがあるが― そういう人は自分の体内時計のズレを修正する方法を知らないまま大人になった人なのかもしれない。
ボクが考えたこと
なんてことを考えていたら、今年3月に書いた「忙しすぎて滅!」という記事を思い出した。
当時、ボクは仕事やメンタリング、執筆などが重なっていた時期だったが、生活サイクルは崩さないよう気を付けていた。それでも崩れていく生活サイクルは素直に眠ることで調整したのだ。
その時は自分の体に正直だっただけだ。
だが本書を読むと、その判断は脳科学的な裏付けがあったことがわかる。
睡眠は、単に疲れを取る時間ではない。
翌日の脳が十分に働けるよう準備する時間でもあったのである。
参考リンク
・Amazon『「夜ふかし」の脳科学』
・神山 潤:公式サイト
