心室細動(VF)って?(新人PT・患者向け) ― モニターで見たら“すぐ気づきたい”不整脈 ―
心室細動(VF)とは
心室細動(VF)は、
心室がバラバラに細かく動いてしまう不整脈です。
心臓は本来、一定のリズムで収縮して血液を送り出しますが、
VFではそのリズムが完全に崩れ、
拍動としての役割を果たせなくなります。
病態生理
心臓は本来、
洞結節 → 心房 → 房室結節 → 心室
という電気の流れで“同期収縮”しています。
心室細動では👇
心室内で異常興奮が多発
興奮がランダムに旋回
心室筋が同期せずバラバラに収縮
=有効な拍出ゼロ
👉 血圧は測定不能
👉 脳血流は即遮断
👉 4〜6分で不可逆的脳障害リスク
心リハ・病棟でのハイリスク患者
VFを起こしやすいのは、
「心機能が落ちている+電気的に不安定」な患者。
特に要注意👇
急性心筋梗塞(発症24〜72時間)
LVEF低下(35%未満)
既往:心室頻拍・心室細動
電解質異常(K↓、Mg↓)
利尿薬・抗不整脈薬使用中
心リハ開始直後(deconditioning+循環不安定)
👉 心リハ導入初期は
「循環動態+モニター+自覚症状」をセットで見る癖が超重要。
VF発症の“直前”に出やすいサイン
いきなりVFもあるけど、
実際の臨床では“前兆”を拾えることも多いです。
自覚症状
胸部圧迫感・胸痛
強い動悸
息切れの急激な悪化
めまい・眼前暗黒感
冷汗・悪心
バイタル・モニター
突然の血圧低下
頻発するPVC
non-sustained VT
ST変化
👉 PTの役割は「異変に一番早く気づく人」になれること
(リハ中は医師・看護師より患者のそばにいる)
リハ中にVFが起きた時の行動
発見~30秒
大声で応援要請
コードブルー発動
反応・呼吸・脈の確認
ベッド or 床に安全確保
30秒~2分
CPR開始(質が最重要)
100〜120回/分
5〜6cm
しっかり戻す
AED/除細動器を要請
除細動器到着後
パッド装着
解析 → ショック指示
全員離れてショック
すぐCPR再開
👉 VFは“除細動が早いほど生存率が上がる”
心リハ場面でのリスク管理
VFは“ゼロにする”のは無理ですが、
リスクを下げる動きはできます。
リハ前
バイタル+自覚症状チェック
モニター波形のざっくり確認
「今日は調子どうですか?」の一言
リハ中
息切れ・顔色・発汗を見る
会話レベルの変化
心拍数の急変
違和感を感じたら
即中止でOK
無理に“もう1セット”しない
早めに医師・看護師へ共有
👉 心リハは
「安全にやめる判断」も専門性のひとつ。
VT → VFへの移行は“あるある”
心リハ中によくある流れ👇
PVC増加
non-sustained VT
sustained VT
血圧低下
VFへ移行
👉 VTの段階で
「危険ゾーンに入った」認識が持てると強い。
まとめ
VFは“実質心停止”
心リハ・急性期は高リスク
前兆を拾えることも多い
見たら即:応援要請+CPR+除細動
PTは「異変の最前線」にいる職種
安全に“中止する判断”はプロの仕事
心リハに関わるなら、
“起こりにくいけど、起きたら別次元の対応が必要”なリズム
として理解しておきたいところです。
次回は"房室ブロック"について解説していきます。
