肥大型心筋症(HCM)って?(新人PT・患者向け)
肥大型心筋症(HCM)とは?
「心臓の筋肉が分厚くなる病気」と聞くと、筋トレで強くなった心臓を想像するかもしれません。
しかし**肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy:HCM)**は、心臓にとって“強すぎる壁”ができてしまう病気です。
主に左心室の心筋が異常に肥厚し、血液をうまく送り出したり、受け取ったりすることが難しくなります。
どんな特徴があるの?
① 心筋が厚くなりすぎる
特に心室中隔が厚くなりやすい
左室内腔が狭くなり、拡張障害を起こしやすい
② 左室流出路閉塞(LVOTO)
心収縮時に左室から大動脈への出口が狭くなる
労作時の息切れ・失神の原因になる
③ 不整脈を起こしやすい
心房細動、心室性不整脈が出現しやすい
突然死のリスク
症状は?
無症状の人も多いですが、進行すると以下がみられます。
労作時息切れ
胸痛
動悸
めまい・失神
易疲労感
👉 特に若年者の運動中の失神は要注意です。
原因は?
多くは**遺伝性(常染色体優性遺伝)**です。
サルコメア蛋白(βミオシン重鎖など)の異常
家族歴を持つケースが多い
※ 高血圧や大動脈弁狭窄症による肥大とは区別されます。
検査・診断
心エコー:心筋肥厚、流出路閉塞の評価
心電図:左室肥大、ST-T変化、不整脈
心臓MRI:線維化評価(予後予測に重要)
遺伝子検査(必要に応じて)
治療は?
①薬物療法
β遮断薬
Ca拮抗薬
→ 心拍数を抑え、拡張期を確保
②非薬物療法
中隔心筋切除術
経皮的中隔焼灼術
ICD(植込み型除細動器):突然死予防
リハビリ・運動療法での注意点(PT視点)
強い等尺性運動は避ける
急激な心拍数上昇に注意
自覚症状・血圧・心拍の厳密なモニタリング
「運動=禁止」ではなく安全な範囲での活動維持が重要
まとめ
肥大型心筋症は
「心臓が大きくなる=元気になる」わけではない病気です。
無症状でもリスクがある
突然死予防が重要
運動・リハビリには専門的判断が必要
早期発見と適切な管理で、生活の質は十分に保てる
それがHCMの大切なポイントです。
