HIIT(高強度インターバルトレーニング)とは?
心臓リハビリで安全に取り入れるために知っておきたいこと
「HIITは心臓病でもやっていいの?」
「普通のウォーキングより効果があるの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
近年、HIIT(High-Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)は、心臓リハビリの分野でも注目されています。しかし、すべての患者さんに適しているわけではありません。
この記事では、新人理学療法士や患者さん向けに、HIITの基本から適応・方法・注意点までわかりやすく解説します。
HIITとは?
HIITとは、
「きつい運動」と「軽い運動(または休息)」を繰り返す運動方法
のことです。
例えば、
4分間しっかり運動する
3分間ゆっくり運動する
これを数回繰り返します。
心拍数を一時的に高め、その後回復させることを繰り返すことで、効率よく運動能力を向上させることが期待されています。
なぜHIITが注目されているの?
従来の心臓リハビリでは、
中等度の有酸素運動(MICT:Moderate-Intensity Continuous Training)
が基本でした。
例えば、
ウォーキング
エルゴメーター
トレッドミル
を20〜40分ほど続ける方法です。
一方HIITでは、短時間でより高い運動刺激を与えられるため、
最大酸素摂取量(Peak VO₂)の改善
運動耐容能の向上
心肺機能の改善
などが期待されています。
HIITが向いている人
HIITは誰でも行える運動ではありません。
一般的には以下のような患者さんが対象になります。
安定した心疾患患者
慢性心不全
心筋梗塞後
PCI後
CABG後
弁膜症術後
などで病状が安定している方です。
心臓リハビリを継続している人
いきなりHIITを始めるのではなく、
まずは通常の有酸素運動に慣れていることが重要です。
運動耐容能がある程度保たれている人
自転車運動が可能
歩行が安定している
CPXで運動処方が決定されている
などが目安になります。
HIITが向かない人
以下のような患者さんでは慎重な判断が必要です。
不安定狭心症
急性心筋梗塞直後
急性心不全
重度の不整脈
コントロール不良の高血圧
重症弁膜症
安静時症状がある
医師から運動制限がある
このような場合は通常の心臓リハビリを優先します。
HIITの代表的な方法
もっとも有名なのが
4×4プロトコル
です。
内容は
10分ウォーミングアップ
4分間 高強度運動
3分間 軽い運動
これを4セット行います。
最後にクールダウンを行い、
全体で約40分程度になります。
運動強度の目安
高強度運動では
最大心拍数の85〜95%
Peak HRの85〜95%
Borg指数15〜17(きつい)
程度が目安になります。
回復時間は
最大心拍数60〜70%
Borg指数11〜13
程度で行います。
※β遮断薬を服用している患者さんでは心拍数が上がりにくいため、Borg指数やCPX結果を参考に運動強度を設定します。
HIITのメリット
① 最大酸素摂取量が改善しやすい
運動能力の指標であるPeak VO₂が改善しやすいことが報告されています。
これは日常生活動作や予後にも関係する重要な指標です。
② 運動耐容能が向上する
階段や坂道など、
日常生活で「疲れにくくなる」ことが期待できます。
③ 短時間でも効率が良い
高い運動刺激を与えられるため、
時間効率が良いトレーニング方法としても注目されています。
HIITの注意点
HIITは効果が高い一方で、
安全管理が最も重要です。
運動中は
血圧
心拍数
心電図
SpO₂
自覚症状
Borg指数
を確認します。
特に
胸痛
強い息切れ
めまい
冷汗
不整脈
が出現した場合は運動を中止し、医師へ報告します。
新人PTが知っておきたいポイント
HIITは
「高強度だから良い」運動ではありません。
患者さんに合わせた運動処方が最も重要です。
そのためには
CPX結果
運動耐容能
心機能
不整脈
血圧反応
内服薬(特にβ遮断薬)
を総合的に評価する必要があります。
「この患者さんに本当にHIITが適しているのか?」
を常に考えながら運動を実施しましょう。
まとめ
HIITは、高強度運動と軽い運動を繰り返すトレーニング方法で、運動耐容能やPeak VO₂の改善が期待できる運動療法です。
一方で、すべての患者さんに適応できるわけではなく、安全性を十分に確認したうえで実施する必要があります。
心臓リハビリでは、「高強度だから効果が高い」のではなく、「患者さんに合った適切な運動強度」が最も重要です。
適切な評価・運動処方・モニタリングを行いながら、安全で効果的な心臓リハビリを提供していきましょう。
