心房細動(Af)って?(新人PT・患者向け)
心房細動(Af)とは?
〜最も多い不整脈、その本当の怖さ〜
心房細動(しんぼうさいどう:Atrial Fibrillation)は、
最も頻度の高い不整脈です。
高齢化とともに患者数は年々増えており、
心不全・脳梗塞と深く関係する重要な疾患でもあります。
「脈がバラバラになる不整脈」
それが心房細動です。
心房細動で心臓はどうなっている?
本来、心臓は
洞結節 → 房室結節 → ヒス束 → 右脚・左脚 → プルキンエ繊維
という一定の電気の流れで動いています。
しかし心房細動では、
・心房内で無数の電気刺激が発生
・心房が細かく震えるだけ
・規則正しく収縮できない
という状態になります。
その結果、
**脈が不規則でバラバラになる(絶対性不整)**のが最大の特徴です。
心電図の特徴
不整脈には、それぞれ心電図の特徴があり
心房細動は、
・P波が不明瞭
・f波の出現
・R-R間隔が不規則
が特徴的です。

心房細動の主な症状
・動悸
・脈の不規則感
・息切れ
・疲れやすさ
・めまい
ただし重要なのは、
👉 無症候性心房細動が非常に多い
という点です。
自覚症状がないまま進行し、
脳梗塞を起こして初めて見つかることも少なくありません。
なぜ心房細動は怖いのか?
最大の問題は、血栓形成です。
心房がうまく収縮しないため、
・左心房(特に左心耳)に血液がよどむ
・血栓ができやすくなる
・血栓が脳へ飛ぶ
これにより
心原性脳塞栓症を引き起こします。
心房細動による脳梗塞は、
・突然発症
・重症化しやすい
・再発しやすい
という特徴があります。
心房細動と心不全の関係
心房細動と心不全は、
👉 お互いを悪化させ合う関係
にあります。
心房細動があると
・心拍出量低下
・心房収縮(atrial kick)の消失
・頻脈による心筋疲労
が起こり、心不全が悪化します。
一方で心不全が進行すると
心房が拡大し、心房細動が起こりやすくなります。
まさに悪循環です。
心房細動の分類
● 発作性心房細動
・7日以内に自然停止
・繰り返すことが多い
● 持続性心房細動
・7日以上持続
・治療介入が必要
● 永続性心房細動
・洞調律への復帰を目指さない状態
病期が進むほど、治療は難しくなります。
心房細動の原因
心房細動の原因として一番大きいのは
加齢です。
その他の基礎疾患は
・高血圧
・弁膜症
・心筋梗塞
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
があります。
また、喫煙やアルコール過剰摂取、過労やストレスも原因となります。
治療の3本柱
心房細動治療の目的は「脈を整えること」だけではありません。
① 脳梗塞予防(最重要)
・抗凝固薬(DOAC、ワルファリン)
👉 症状がなくても継続が非常に重要です。
② 心拍数のコントロール
・β遮断薬
・Ca拮抗薬
・ジギタリス
頻脈を抑え、心不全悪化を防ぎます。
③ リズムコントロール
・抗不整脈薬
・カテーテルアブレーション
近年はアブレーション治療の成績も向上しています。
リハビリで特に注意するポイント(PT視点)
心房細動患者では、
・脈拍が不規則
・心拍数だけでは運動強度を判断しにくい
という特徴があります。
そのため、
✔ 自覚症状(息切れ・動悸)
✔ Borgスケール
✔ 血圧反応
✔ 運動中の症状変化
を重視することが大切です。
また、抗凝固薬内服中のため
転倒=出血リスクにも常に注意が必要です。
まとめ
心房細動は
✔ 最も多い不整脈
✔ 症状がなくても危険
✔ 脳梗塞と強く関係する
✔ 心不全と悪循環を形成する
という特徴を持ちます。
「ただの脈の乱れ」ではなく、
全身の予後に関わる重要な不整脈です。
正しく知ることが、
患者さんの未来を守る第一歩になります🫀
次回は、心房粗動について詳しく解説していきます。
