心室頻拍(VT)って?(新人PT・患者向け)
心室頻拍(Ventricular Tachycardia)
―「速い」だけでは済まされない危険な不整脈―
心室頻拍(VT)は、心室から発生する速い不整脈です。
通常、心拍は洞結節から始まり、規則正しく心室へ伝わります。しかしVTでは、心室が勝手に暴走し、1分間に100回以上(多くは150〜200回)で収縮します。
問題は、「速さ」だけではありません。
血圧低下・失神・心停止に直結する可能性があるという点が最大の特徴です。
■ 心室頻拍の定義
心室起源の頻拍
心拍数:100回/分以上
幅広いQRS(0.12秒以上)
3連発以上の心室性期外収縮
心電図では幅広い規則的な頻拍が特徴です。
■ なぜ危険なのか?
心室は全身に血液を送るポンプです。
そのポンプが高速でバラバラに動くと、
1回拍出量が低下
血圧低下
脳血流低下 → 失神
心室細動へ移行 → 心停止
特に基礎心疾患(心筋梗塞後、心筋症、HFrEFなど)がある患者では致死的不整脈になりやすいです。
■ VTの種類
① 持続性VT
30秒以上続く
血行動態が不安定になりやすい
緊急対応が必要
② 非持続性VT(NSVT)
30秒未満で自然停止
無症状のことも多い
しかし基礎疾患があると予後不良因子
■ 症状
動悸
めまい
冷汗
失神
胸部不快感
無症状(特にNSVT)
リハ中に「顔色が急に悪くなる」「血圧が急低下する」場合は要注意。
■ 原因
心筋梗塞後瘢痕
拡張型心筋症
HFrEF
電解質異常(K、Mg)
QT延長
薬剤
特発性(若年者)
瘢痕+リエントリー回路形成が代表的な機序です。
■ 治療
血行動態が不安定
→ 直ちに電気的除細動(DC)
安定している場合
抗不整脈薬(アミオダロンなど)
原因修正
カテーテルアブレーション
再発予防
ICD(植込み型除細動器)
β遮断薬
特にEF低下例ではICD適応を常に意識します。
■ 心リハ・理学療法士が意識すべきこと
あなたの専門領域として特に重要なのはここです。
✔ 運動負荷中のモニタリング
✔ PVCの増加や3連発以上を見逃さない
✔ 血圧低下・自覚症状の変化
✔ ICD患者の管理理解
VTは突然起きる。だからこそ「予兆」に気づけるかが勝負。
■ VTとVFの違い
VT:ある程度規則的
VF:完全に無秩序(心停止)
VTはVFの前段階になることもあります。
まとめ
心室頻拍は、
心室由来の速い不整脈
基礎心疾患があると致死的
持続すれば緊急対応
リハ中の観察力が重要
「速い不整脈」ではなく、
“命に直結するリズム”であることを理解することが大切です。
次回は"心室細動"について解説します。
