血液濾過(HF)とは?血液透析との違いをわかりやすく解説|新人PT・患者さん向け
腎臓の治療には「血液透析(HD)」だけではなく、「血液濾過(HF:Hemofiltration)」という治療法があります。
病院で働き始めると、「今日はHDではなくHFです」「CHDFを行っています」と言われることがありますが、違いが分かりにくい方も多いでしょう。
この記事では、血液濾過の仕組みや血液透析との違い、リハビリで知っておきたいポイントまで、わかりやすく解説します。
腎臓の役割をおさらい
腎臓は毎日約150Lもの血液をろ過し、
老廃物を排泄する
余分な水分を調整する
電解質(ナトリウム・カリウムなど)を調整する
酸とアルカリのバランスを保つ
という重要な働きをしています。
腎臓の機能が低下すると、これらを人工的に補う必要があります。
血液濾過(HF)とは?
血液濾過とは、
圧力を利用して血液中の水分と一緒に老廃物を取り除く治療です。
血液をフィルターへ通し、
水分を押し出す力(限外濾過)を利用して、
老廃物
余分な水分
を一緒に除去します。
失われた水分は「補液(置換液)」を体内へ戻して調整します。
つまり、
「一度たくさん濾過して、その分きれいな液を戻す治療」
と考えると理解しやすいでしょう。
血液透析(HD)との違い
血液透析は、
濃度差を利用して老廃物を取り除く治療です。
一方、血液濾過は
圧力を利用して老廃物を押し出す治療
になります。
つまり、
血液透析=「拡散」
血液濾過=「濾過(対流)」
という違いがあります。
イメージすると…
血液透析は
コーヒーに砂糖を入れると自然に広がるようなイメージです。
濃いところから薄いところへ物質が移動します。
一方、
血液濾過は
スポンジを押して水を絞るイメージです。
水分ごと老廃物を押し出して除去します。
血液濾過が得意なもの
血液濾過は、
比較的大きな分子を除去しやすい特徴があります。
例えば
β2ミクログロブリン
炎症性サイトカイン
中分子物質
などです。
一方、
尿素窒素(BUN)やクレアチニンなどの小さな老廃物は、
血液透析の方が効率良く除去できます。
血液透析が得意なもの
血液透析では
尿素
クレアチニン
カリウム
など、
小さい分子の除去が得意です。
そのため、
慢性腎不全患者さんの維持透析では、
現在でも血液透析が最も多く行われています。
血液濾過はどんな患者さんに使われる?
血液濾過は、
主に急性期医療で使用されます。
例えば
重症感染症(敗血症)
ICU患者
多臓器不全
急性腎障害(AKI)
などです。
血圧が低い患者さんでも、
比較的循環動態が安定しやすいという特徴があります。
血液透析との違いまとめ
$$
\begin{array}
{clr}
\hline
項目 & 血液透析(HD) & 血液濾過(HF) \\
\hline
原理 & 拡散 & 濾過(対流) \\
老廃物除去 & 小分子が得意 & 中分子が得意 \\
水分除去 & 可能 & 可能 \\
補液 & 基本不要 & 必要(置換液) \\
主な対象 & 慢性腎不全 & ICU・急性腎障害・重症患者 \\
\hline
\end{array}
$$まとめ
血液濾過は、圧力を利用して水分とともに老廃物を除去する治療です。
血液透析とは老廃物を取り除く仕組みが異なり、中分子物質の除去や循環動態が不安定な患者さんへの対応に優れています。
新人PTは、「HD=拡散」「HF=濾過(対流)」という違いをまず理解することが大切です。
ICUではCHDFを目にする機会も多いため、治療の特徴やリハビリ時の注意点を理解して、安全に介入できるようになりましょう。
次回は、血液濾過透析+持続的血液濾過透析について解説していきます。
