血液濾過透析(HDF)・持続的血液濾過透析(CHDF)とは?~新人PT・患者さんにもわかりやすく解説~
腎臓の働きが低下すると、体の中に老廃物や余分な水分がたまり、命に関わる状態になることがあります。
そのようなときに腎臓の代わりとなる治療が血液浄化療法です。
前回は「血液透析(HD)」について解説しましたが、今回は
血液濾過透析(HDF)
持続的血液濾過透析(CHDF)
について、違いやリハビリのポイントも含めて解説します。
腎臓の役割をおさらい
腎臓には次のような役割があります。
✅ 老廃物を尿として排泄する
✅ 余分な水分を調整する
✅ 電解質(ナトリウム・カリウムなど)を調整する
✅ 酸とアルカリのバランスを整える
この働きができなくなると、人工的に血液をきれいにする必要があります。
血液浄化療法には種類がある
代表的なのは
血液透析(HD)
血液濾過(HF)
血液濾過透析(HDF)
持続的血液濾過透析(CHDF)
です。
それぞれ血液をきれいにする方法が少し違います。
血液透析(HD)のおさらい
HDは
「拡散」を利用した治療です。
血液と透析液を膜で隔てることで、
濃度の高い老廃物が自然に移動します。
イメージすると
コーヒーに砂糖を入れると自然に広がるような現象です。
小さな老廃物の除去が得意です。
血液濾過(HF)とは?
HFは
「濾過(ろか)」を利用する治療です。
圧力をかけて水分を押し出し、
その水分と一緒に老廃物を取り除きます。
コーヒーフィルターでコーヒーを濾すイメージです。
血液濾過透析(HDF)とは?
HDFは
HD(拡散)とHF(濾過)を組み合わせた治療です。
つまり
拡散
濾過
両方を利用して老廃物を除去します。
現在、日本では維持透析患者さんにも多く使用されています。
HDFのメリット
① 老廃物をより多く除去できる
HDでは除去しにくい
中分子物質
(β2ミクログロブリンなど)
も除去しやすくなります。
② かゆみの改善
透析患者さんでは
皮膚のかゆみが問題になることがあります。
HDFでは改善する患者さんもいます。
③ 足がつる症状の改善
透析中に起こる
足のつり
血圧低下
が軽減する場合があります。
④ 生活の質(QOL)の改善
疲れや倦怠感が軽減し、
日常生活が送りやすくなる方もいます。
HDFにもデメリットはある
もちろん万能ではありません。
専用の装置が必要
コストが高い
実施できる施設が限られることがある
などがあります。
持続的血液濾過透析(CHDF)とは?
CHDFは
24時間前後かけてゆっくり血液をきれいにする治療です。
英語では
Continuous Hemodiafiltration
と呼ばれます。
なぜゆっくり行うの?
重症患者さんでは
急激に水分を抜くと
血圧が大きく下がってしまいます。
そこで
少しずつ、
長時間かけて治療します。
CHDFが使われる患者さん
例えば
敗血症
ショック
重症心不全
ICU・CCU患者
術後管理
急性腎障害(AKI)
などです。
循環が不安定な患者さんに適しています。
CHDFの特徴
一般的な透析は
約4時間で終了します。
一方CHDFは
24時間以上続けることもあります。
そのため
ICUで行われることがほとんどです。
CHDFのメリット
血圧が下がりにくい
心臓への負担が少ない
水分管理がしやすい
重症患者にも使用できる
急性期医療では非常に重要な治療です。
CHDF中のリハビリはできる?
できます。
近年では
ICU早期リハビリテーションが推奨されています。
ただし
安全管理が非常に重要です。
PTが確認するポイント
リハビリ前には
血圧
心拍数
呼吸状態
意識レベル
昇圧薬使用量
CHDF回路
カテーテル固定
出血
アラーム
除水量
などを確認します。
スタッフとの連携も欠かせません。
CHDF中の注意点
CHDFでは
大腿静脈や内頸静脈などに
太いカテーテルが入っています。
そのため
回路を引っ張らない
カテーテルを屈曲させない
ラインを踏まない
フィルターや機械を一緒に移動する
などに注意します。
リハビリの目的
重症患者さんは
数日寝たきりになるだけでも
筋力は急速に低下します。
そのため
廃用症候群予防
呼吸機能維持
関節拘縮予防
ADL維持
早期離床
を目的として介入します。
まとめ
血液濾過透析(HDF)は、血液透析と血液濾過の長所を組み合わせた治療で、中分子物質の除去や透析症状の改善が期待できます。
一方、持続的血液濾過透析(CHDF)は、循環動態が不安定な重症患者さんに対して、24時間程度かけてゆっくり血液を浄化する治療です。
理学療法士は、治療の仕組みだけでなく、回路やカテーテルの管理、安全な離床、循環動態の評価を理解することで、より安全で効果的なリハビリテーションを提供できます。
