METs(メッツ)とは?運動の強さを数字でわかりやすく表した指標
心臓リハビリや運動療法を行うときによく出てくる言葉が**「METs(メッツ)」**です。
「〇METsで運動しましょう」
「この人は5METs程度の運動能力があります」
と言われても、最初は何を意味しているのか分かりにくいですよね。
この記事では、新人理学療法士や患者さんにも分かるように、METsの基本から臨床での使い方まで解説します。
METsとは?
METs(Metabolic Equivalents)は、
「安静時を1としたとき、どれくらいエネルギーを使っているか」を表す単位
です。
つまり、
安静に座っている状態=1MET
安静時の2倍のエネルギーを使えば=2METs
5倍なら=5METs
という考え方になります。
イメージすると…
もし安静時に100のエネルギーを使っているなら、
2METs=200
3METs=300
5METs=500
というように、何倍の負荷なのかを表しています。
なぜMETsが重要なの?
心臓病の患者さんでは、
「どのくらい運動しても安全なのか」
を判断する必要があります。
その時に役立つのがMETsです。
例えば、
「4METs程度までなら問題ありません」
と言われれば、
4METs以下の日常生活や運動なら比較的安全という目安になります。
つまりMETsは、
運動処方の共通言語
として世界中で使われています。
1METはどのくらい?
1METは、
静かに椅子へ座っている状態
です。
酸素摂取量では
約3.5mL/kg/分
と定義されています。
新人PTは、
「METs=酸素消費量の何倍」
というイメージも持っておくとCPXの理解につながります。
日常生活のMETs一覧
日常生活にもMETsが設定されています。
1〜2METs
横になる
テレビを見る
読書
デスクワーク
食事
ほとんど負荷はありません。
2〜3METs
ゆっくり歩く
洗濯物をたたむ
食器洗い
掃除機を軽くかける
料理
日常生活で最も多い強度です。
3〜4METs
普通の速さで歩く
床掃除
子どもと軽く遊ぶ
自転車をゆっくりこぐ
心臓リハビリでもよく使う強度です。
4〜5METs
階段をゆっくり上る
草むしり
重い買い物袋を持つ
犬の散歩を速歩で行う
息が少し上がる程度になります。
6METs以上
ジョギング
テニス
水泳
サッカー
バスケットボール
スポーツレベルの運動になります。
運動のMETs一覧
心臓リハビリでよく行う運動もMETsで表せます。

心臓リハビリでMETsをどう使う?
例えばCPXで
Peak VO₂=21mL/kg/分
だったとします。
METsへ換算すると、
21 ÷ 3.5=約6METs
つまり、
この患者さんは最大で約6METs程度まで運動できる能力があります。
そのため、
運動療法では
3〜4METs程度
から開始することが多くなります。
もちろん、
症状や血圧、心拍数なども合わせて判断します。
METsだけで判断してはいけない理由
METsは便利ですが、
数字だけでは安全性は判断できません。
例えば、
同じ4METsでも
息切れが強い人
胸痛が出る人
不整脈が出る人
では運動を中止する必要があります。
逆に、
症状がなく余裕があれば、
同じ4METsでも問題なく実施できることもあります。
つまり、
METsはあくまで運動強度の目安です。
心拍数や血圧、SpO₂、自覚症状(Borgスケール)、心電図変化などと合わせて総合的に評価することが重要です。
患者さんへの説明例
患者さんには難しい専門用語ではなく、
「METsは運動の強さを数字で表したものです。座っている状態が1で、普通に歩くと3〜4くらいになります。退院後も、今の体力に合った強さで運動を続けるための目安として使います。」
と説明すると理解してもらいやすくなります。
新人PTが覚えておきたいポイント
METsは「安静時の何倍のエネルギーを使うか」を表す指標
1MET=安静座位(約3.5mL/kg/分)
普通歩行は約3〜4METs
階段昇降は約4〜5METs
ジョギングは約7〜8METs
心臓リハビリでは運動処方や退院指導の基準として活用される
METsだけでなく、自覚症状・心拍数・血圧・心電図なども合わせて評価することが大切
まとめ
METsは、運動の強さを数値化した非常に便利な指標であり、心臓リハビリでは運動処方や日常生活指導に欠かせません。
新人PTは「METs=安静時の何倍のエネルギー消費か」という基本を理解し、日常生活や運動のMETsをイメージできるようになることが大切です。
また、患者さんにとっても「この家事は何METsくらい」「この運動なら安全に続けられる」と理解できることで、退院後の生活に自信を持って取り組みやすくなります。
METsはあくまで一つの目安です。実際の臨床では、自覚症状やバイタルサイン、心電図変化などを総合的に評価しながら、安全で効果的な運動療法につなげていきましょう。
