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「ログブックって、何を書けばいいの?」|数字より海の色を書くようになった話 #ScubaDiving #DiveLog #DivingAfter50

潜り終わったあと、ログブックを前にペンが止まることはありませんか?

「深度と時間は書いたけど…」
「あとは何を書けばいいんだろう?」
「そもそも、続ける意味あるのかな?」

そんなふうに感じて、そっとログブックを閉じてしまうあの時間

今日は数字よりその日の海の色や気持ちを書くようになって、ログブックが少しずつ日記みたいになってきた、というお話です


数字を埋めるだけの記録は、どこか他人事だった

私が初めてライセンスを取ったのは20代の頃でした

当時のログブックには深度と潜水時間、残圧の数字だけが並んでいました
正直それは記録というより、埋めないといけない宿題のようなものだったんです

「早く書き終えて、次の話がしたいな…」
と思いながら、慌ただしくペンを走らせていました

一緒に潜った仲間とサインを交換するのは楽しかったけれど、ページの中身を読み返した記憶はほとんどありません

その後は結婚して子育てが始まって、だんだん海から足が遠のいていきました
押し入れにしまった器材と一緒に、ログブックもいつのまにか見えない場所へいってしまったんですよね

去年、50代になってから
「もう一度海の中で魚を見てみたい」
と思って再開したとき、PADIのログブック(https://learning.padi.com/logbook)を使い始めました

けれど最初の数本は、やっぱり数字だけを書いていました
書き終えたページを見ても、その日の海がまったく思い出せない
数字は正確なのに、記憶にはつながらない

そこに並んでいるのは確かに私の潜水記録なのに、どこか他人事のように見えた気がします

「今日の海は、何色でしたか?」

転機はガイドさんの何気ない一言でした

あれは再開して何本目かの、夕方の帰り道でした
波の音と、潮の匂いがまだ体に残っていて
私は、いつものように数字だけを書き込んでいました

そんな私に
ガイドさんが
「今日の海は、何色でしたか?」
と聞いてくれたんです

「え、青…ですよね?」
と答えたら、ガイドさんは笑って続けました

「私には今日の海、少し緑がかったやわらかい青に見えましたよ」

「同じ場所でも、色は毎日違うんです」

その言葉を聞いたとき
「あ、そういうことか」
と、心がふっと軽くなったような感覚がありました

私は海の中で確かに何かを感じていたのに、それを一度も書き残してこなかったんです
深度の数字は残っているのに、いちばん覚えていたいものが残っていなかった

海の色は、その日一度きりの色をしている

思い返してみると、あの日の海は確かにただの青ではありませんでした

浅場では光がゆらゆら差し込む、白っぽい水色
少し深く降りると、吸い込まれそうな群青
砂地の上では、ミルクを一滴たらしたような淡い色

同じ青でも、深さと光でぜんぶ違うんですよね

そしてその色は明日にはもうない色なんです

だから、書き残したくなる
だから、数字だけではもったいない
だから、ログが日記に近づいていく

青い光
ゆっくり横切っていく魚たち
水面を見上げたときの、まぶしさのかたち

思い出そうとすると、数字ではなくこういう景色のほうが先に浮かんでくることってありますよね

そう気づいてから、私のログブックは少しずつ変わっていきました

書くことで、もう一度同じ海に潜れる

いまの私のログには数字の横に、こんな一言が増えました

「今日の海は緑がかった青、うねりの音が心臓の音みたいだった」
「クマノミの子どもが、ずっとこっちを見ていた気がする」
「浮上前の安全停止、光のカーテンがきれいで時間を忘れた」

うまい文章である必要はまったくないんです

子どもたちが独立して、夜の時間が前より静かになりました
その静かな時間にログを読み返すと、不思議とその日の水の冷たさや光まで一緒に思い出せるんですよね
リビングにいながら、耳の奥で自分の呼吸の音が聞こえてくるような感覚です

私はダイビング機材はすべてレンタルにしているけれど、水中カメラだけは自前で持っています
だから写真を見ながら、ログを書くこともあります
写真には写らなかった気持ちを、言葉のほうに残しておく感じです

最近はこうして書きためた言葉が、SNSで発信する話のたねになることもあります
一年前に書いた一言を読み返して、また同じ海に行きたくなったこともありました

書いている時間はもう一度あの海に潜っている時間なのかもしれません

今日から試したい小さな3つの工夫

ログ付けを続けるか迷っている方に、私が試してよかったことを3つだけ

1つ目は、数字の欄のすみに「今日の海の色」を一言だけ書くこと

たった一言で大丈夫です
「緑っぽい青」
「牛乳みたいな白」
そのくらいの言葉で、記憶の引き出しがちゃんと開きます
私の場合は色を書き始めてから、ログを開くのが楽しみになりました

2つ目は、いちばん心が動いた瞬間をひとつだけ選ぶこと

あれもこれもと書こうとすると、途中で疲れてしまうんですよね
「今日はこれ」
と決めてひとつに絞ると、短くても濃い記録になります
選ぶ時間そのものが、その日のダイビングの振り返りになっている気がします

3つ目は、レンタル器材のメモを残しておくこと

私は昔の器材を手放していて、いまは全部レンタルなんです
だからウェイトの量やスーツの厚さを書いておくと、次に潜るとき自分がすごく助かります
数字のログにもちゃんと役割があるんだと、思えるようになりました

白紙のページがあっても大丈夫

とはいえ、正直に言うと書けない日もあります

かっこよく続けているように聞こえたかもしれないけれど、実際はそんなことないんです

疲れて寝てしまった日
何を感じたのか、うまく言葉にならなかった日
帰ってから開こうと思って、そのまま忘れてしまった日

それでも大丈夫です
無理に毎回書かなくても大丈夫です
書きたくなった日に、書きたいことだけ書けば大丈夫です

白紙のページもその日の私の正直な記録なのかもしれません
あとから振り返れば
「この日は書く元気もないくらい、たくさん潜ったんだな」
と笑える気がします

ログブックは誰かに提出するものではなく、未来の自分にそっと渡す手紙のようなものだと思っています

だから今日も一言だけ
海の色を書いて、静かに閉じます

おわりに

数字の隣にその日の海の色をひとことだけ
それだけでログブックは海ともう一度つながるための記録になります

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海はきっと、今日もやさしく受け止めてくれます


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