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「今日は外れの海だな…」|透明度が悪い日にしか出会えない楽しさがあった話 #ScubaDiving #UnderwaterPhotography #MacroDiving #OceanLovers #MarineLife #NeverTooLate

ボートの上から海をのぞきこんで、がっかりしたことはありませんか?

「今日は濁ってるな…」
「せっかく休みを取って来たのに」
「写真もきれいに撮れないかも」

そんなふうに感じて、エントリー前から気持ちが沈んでしまうあの時間

今日は透明度が悪い日の海にも、ちゃんと良さがあったと教わった話です


青い海だけがダイビングだと思っていた

ダイビングを再開して、少し経ったころのことでした

50代でもう一度海に戻ってきた私は正直なところ、青くて遠くまで見渡せる海ばかりを期待していたんですよね

雑誌やSNSで見るような、光が差し込む透明な海
あれこそがダイビングだと、どこかで思い込んでいた気がします

その日の海は前日の雨と風の影響で、透明度が5メートルあるかないか

エントリーした瞬間、目の前は緑がかった白い霧のようでした

「これは外れの日だな…」
という気持ちが、正直ありました

「せっかくの休みだったのに」
「魚どころか、隣の人の姿も見えにくいじゃないか」

水中でそんなことばかり考えていたんです

呼吸の音だけがやけに大きく聞こえて、気持ちはどんどん沈んでいきました

ガイドさんが指さした小さな世界

浅い岩場のあたりで、ガイドさんがふと止まりました

そして岩の隙間をゆっくり指さしたんです

最初は何がいるのか、まったく分かりませんでした

近づいてよく見ると、そこにいたのは1センチほどのウミウシでした

白い体に黄色い縁取りがあって、まるで小さなお菓子みたいな姿

その隣の岩には透き通ったエビがいて、細いハサミをちょこちょこ動かしていました

「こんな小さな命が、濁った海の中でちゃんと生きているのか」
と、素直に驚いたのを覚えています

視界の悪さなんて、まったく関係のない距離でした

目の前30センチの世界は驚くほど鮮やかだったんです

私はダイビングの器材はレンタル派だけれど、水中カメラだけは自前で持っています

そのカメラを構えて、夢中でシャッターを切りました

泡で驚かせないようにゆっくり吐きながら、そっと距離を詰めました

砂を巻き上げないようにフィンの先まで気を配ったのも、久しぶりの感覚でした

ファインダーの中で小さな体がゆっくり動いていて、時間を忘れて見入っていたんですよね

エキジットしてからガイドさんに言われた言葉が今も忘れられません

「透明度が悪い日はマクロ日和なんですよ」

「遠くが見えない日ほど、みんな足元の小さな生き物に気づけるんです」

その言葉を聞いたとき、ずっと引っかかっていたものがふっと取れた気がしました

濁っていたのは海じゃなく、私の期待だったのかもしれない

考えてみれば、私は海に青さだけを求めていました

でも海は天気や潮の流れで、毎日表情を変えています

あとから知ったんですが、海が濁る理由のひとつはプランクトンなんだそうです

プランクトンが多いということは、それを食べる小さな生き物たちが集まるということ

つまり濁った海は生き物たちにとって、ごちそうの海でもあるんですよね

外れの海だと決めつけていたのは、人間の勝手な都合でした

海はいつもどおりそこにあっただけなんです

勝手に期待して、勝手にがっかりしていたのは私の方でした

だから、がっかりしなくてよかった
だから、よその海と比べなくてよかった
だから、その日の海をそのまま見ればよかった

そう思えるようになるまで少し時間がかかったけれど、この気づきは私のダイビングを変えてくれた気がします

透明度が悪い日ほど海との距離が近くなる

不思議なもので、遠くが見えないと人は自然と近くを見るようになります

岩の隙間
海藻の陰
砂地の小さなくぼみ

普段なら泳ぎながら通り過ぎてしまう場所を、じっくりのぞきこむようになるんです

視界がいい日は大物や群れを追いかけて、つい移動が多くなりがちでした

でも濁った日はひとつの岩の前で、5分でも10分でも過ごせます

もちろん流れや周りの状況を確かめて、ガイドさんやバディさんと近くにいることが前提です

そのうえでゆっくり吐いて
自然に吸って
じっと待つ

すると隠れていたエビやカニが少しずつ顔を出してくれることがあるんです

まるで海と一対一で向き合っているような、静かな時間でした

透明度が悪い日は海が足元の世界を見せてくれる日なのかもしれません

今日からできる小さな3つの工夫

がっかりした気持ちのまま潜っても、楽しさは半分になってしまいます

私が試してみてよかったことを3つお話しします

1つ目は、エントリー前にガイドさんへその日の見どころを聞いてみること

「今日は何が見られそうですか?」

この一言だけで、その日の楽しみ方がずいぶん変わります

ガイドさんはその日の海に合わせた見どころをちゃんと用意してくれています

透明度が悪い日は小さな生き物、流れが穏やかな日は地形といった具合に、引き出しがたくさんあるんですよね

2つ目は、視線を遠くではなく1メートル先に置いてみること

私の場合はこれがいちばん効きました

遠くを見ると濁りばかりが気になるけれど、近くを見れば視界は十分クリアなんです

岩をひとつ決めて、そこにいる生き物を探すだけでも、あっという間に時間が過ぎていきます

3つ目は、その日いちばん小さな出会いをひとつ心に残して帰ること

大きな魚や群れに会えなくても、1センチのウミウシが1匹いれば、その日は会えた日になります

ログブックをつけるとき、私は写真と一緒にその日の小さな主役を記録するようにしています

あとで見返すと、濁った日の記録ほどじっくり観察していて面白いんですよね

「当たりの海」だけが海じゃない

ゆらめく光
自分の呼吸の音
目の前を通り過ぎていく小さな魚の影

浮いているだけで心がほどけていくような時間は、透明度に関係なくそこにありました

もちろん今でも透明度がいい日はうれしいです

青い光の中をゆっくり泳ぐ気持ちよさは何にも代えがたいものがあります

でも、濁った日にがっかりしすぎることはなくなりました

透明度が悪い日もあります
波で少し揺れる日もあります
お目当ての生き物に会えない日もあります

それでも大丈夫です
その日の海にはその日の海の顔があります

海は当たり外れを引きに行く場所ではなく、その日の表情と付き合う場所なんだと、今は思っています

コンディションに一喜一憂してしまう気持ちは私も痛いほど分かります

期待していた海と違うと、肩を落としたくなることってありますよね

けれど、期待どおりじゃない日の海にこそ、思いがけない出会いが隠れていることがあるんです

次に濁った海に当たったら、足元の小さな世界をのぞいてみるのもいいかもしれません

おわりに

透明度が悪い日の海は外れではなく、小さな生き物たちとじっくり向き合える海です

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