秋の食養生|ヒルデガルトに学ぶ、体と心を整える季節の食べ方
10月も深まり、寒さを感じることも増えてきました。
空気が澄んで、乾いた秋――
きのこにさつまいも、栗にりんご、さんまと、食卓の色や香りも、そして味も、少しずつ変わってきたのではないでしょうか?
今日は、ヒルデガルトの自然療法の考えをもとに、“秋の食養生”についてお話ししたいと思います。
■ 季節の変化と、体のリズム

古くから人は、季節の移ろいとともに体と心が変化することを知っていました。
ヒルデガルトの時代には、それを「四体液質(血液・黄胆汁・黒胆汁・粘液)」のバランスとして捉え、自然のリズムに合わせて食や暮らしを整えることが、健康の基本とされていました。
秋は、その中でも「冷」と「乾」の性質が高まる季節。
風が冷たく、空気が乾き、木々が葉を落とすように――体の内側の潤いも少しずつ失われていきます。
四体液質では、黒胆汁質(メランコリー)の影響が強まる時期。
体だけでなく心も静けさに向かいやすく、
少し沈んだり、考えすぎてしまうような感覚が訪れることもあります。
けれど、それは決して悪いことではありません。
自然がいったん活動を止め、冬へ向けて力を蓄えるように――
人もまた、内側を整える季節を迎えているのです。
■ ヒルデガルトが教える「旬」と「調和」
ヒルデガルトは、「人は季節の恵みを受け入れることで、体の調和を保つ」と語っています。
神は人のために、季節ごとに必要な食べ物を地上に備えた。
その時に、その地で育つものをいただきなさい。
― Hildegard von Bingen ―
つまり、“旬のものを食べる”ことこそが、自然のリズムと体のリズムを一致させる食養生の基本。
秋であれば、穀物や根菜、果実など――
ゆっくりと育ち、地の力を蓄えた食材が、心と体をやさしく支えてくれます。
■ 秋の「冷」と「乾」を整える、温と湿の食事

ヒルデガルトや四体液質の考え方では、季節の偏り(この場合は「冷」と「乾」)に対して、反対の性質(「温」と「湿」)を少しだけ補うのが調和のコツ。
・冷たいもの、生ものを控えめに
・体を温めるスープや蒸し料理を中心に
・潤いを与える穀物・豆類・オイル・はちみつを適度に
・消化のよいものを、ゆっくり味わう
このように、秋は、胃腸の働きを整え、巡りを良くすることがポイント。
ヒルデガルトも「消化はすべての健康の鍵」と述べており、無理な断食や過食を避け、“腹八分の満足”が健康の基礎と説いています。
これは、「腹八分目」「栄養バランスが良く、消化のよい食事」「無理な断食や食べ過ぎに」など現代の日本でも健康のためによく耳にする内容です。
■ 秋におすすめの「温と湿」をもたらす食材
ヒルデガルトの食養生を基に、秋におすすめの食材を紹介したいと思います。特に、根菜類やきのこなど旬の食材を選んであげてください。
スーパーの旬の食材コーナーや地産コーナーを見てみるのもおすすめです。
・穀物:スペルト小麦、オート麦、玄米
・根菜:にんじん、かぶ、れんこん、さつまいも
・豆類:ひよこ豆、レンズ豆
・果実:いちじく、りんご、洋梨
・その他:はちみつ、オリーブオイル、シナモン、クローブ、ジンジャー
ヒルデガルトは「食は薬」として、スパイスやハーブを調理に活かしていました。
特にシナモン、クローブ、ジンジャーといったスパイスは、体を温め消化を助ける働きがあり、冷えが気になり始める秋の養生にもヒルデガルトが用いていました。
まさに「温と湿」を意識した、秋のための恵みと言えるスパイスです。もちろん、これらのスパイスは冬の養生にも欠かせない食材です。
■ 食べることは、整えること
ヒルデガルトの思想では、食は「癒し」と「祈り」の延長でもありました。
食べるという行為は、ただ体を満たすだけでなく、心を静かに整え、自然とのつながりを思い出す時間。
健康は食卓から始まる。
食卓は人を育む“もうひとつの薬草園”である。
― Hildegard von Bingen ―
そうヒルデガルトが語るように、食べることは“自分を耕す”ような営みだったのかもしれません。
■ おわりに:秋の食卓を整えるということ
秋は、心も体も「土」に近づく季節。
静けさの中で、自分の内側と向き合い、冷えや乾きに寄り添うように、温かい食卓を囲む時間が何よりのケアになります。
明日は、そんな“秋の温の豆”――
ヒルデガルトも健康に良いと記した「ひよこ豆」をテーマに、
簡単に作れるレシピをご紹介します。
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