管を伝う、命のミルクに願いを込める(3/7)
(第2話のあらすじ:隣り合う保育器で、窓からそっと手を入れながら双子を見守る夫婦。体に繋がれた管を自分で外してしまうお姉ちゃんのたくましい姿に驚かされながら、私たちは交互に声をかけ続けました。)
💡 細い管を通っていく、命のミルク
面会を続けていると、やがてミルクの時間になりました。
生まれたばかりの最初の頃は、自力で哺乳瓶から飲む力がまだ弱かったため、ミルクも体に繋がれた細い管を通して胃へと送る形でした。
看護師さんが器具をセットすると、真っ白なミルクが、少しずつ、少しずつ、細くて長い管の中を伝っていきます。それがゆっくりと双子の口、そしてお腹の中へと入っていく様子を、私はただただ祈るような気持ちでじっと見つめていました。「たくさん飲んで、大きくなってね」と、心の中で何度も語りかけました。
また、おむつを替える時間になると、看護師さんはいつも「パパ、おむつ替えますか?」と優しく声をかけてくれました。
もちろん、2人の排泄のタイミングはほとんど一緒です。そのため、面会に行っている時間だけは、私はできる限り自分で2人分のおむつを交換するようにしていました。
💡 頑張る妻を、少しでも支えたいから
なぜ、私がおむつを替えようとしたのか。それには理由がありました。
私は仕事の合間を縫っての週に数回の面会でしたが、妻は違います。彼女は自身の入院期間中、痛む体に鞭を打ちながら、毎日何度も何度もこのNICUへと足を運んでいました。そのたびにおむつを替え、まだうまく吸えない我が子にお乳を飲ませる練習をしたりと、つきっきりで頑張り続けてくれていたのです。
その妻の姿を見ていたからこそ、「自分が病院にいられる時間くらいは、妻を少しでも休ませてあげたい」「自分が代わりにできることは全部やろう」という思いがありました。
小さな保育器の窓に手を入れてのおむつ交換は、最初は緊張しましたが、少しでも父親らしいことができている気がして、私にとっても大切な時間でした。
しかし、週に数回しか来られない私と、毎日ここで戦っている妻との間には、すでに目に見えない「格差」が生まれ始めていたのです。
(第4話へ続く)
