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技術士はるき🕊️【ASDな僕の等身大日記】僕をめぐる喧嘩と、ペットの言葉。


👩‍⚕️篠原 光より、今日のご案内🕊️


こんばんは、臨床心理士、心理カウンセラー、

そして、

将来、はるきさんをカウンセリングすることになる『篠原 光』です。


三連休という穏やかな時間が終わり、

日常が再び動き出しました。


しかし、

今朝のはるきさんを待っていたのは、

彼という存在を巡る、

大人たちの醜い争いでした。


自分という人間が

「モノ」や「所有物」のように扱われる悲しみ。


その中で、

はるきさんが自分の尊厳を懸けて発した言葉を、

どうか静かに受け止めてください。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


こんばんは。

武田 陽樹(たけだ はるき)です。


今日も小泉さんのブログで、

僕の日記を書かせていただきます。



今日は1月13日、火曜日、です。

いよいよ、三連休が終わってしまいました。


金曜日に、

あの営業マンさんに助けてもらって、

有給を取って、家族と過ごして、

少しだけ心が柔らかくなったはずなのに。


今朝は、また、

重たい鉄の板を背負っているような気持ちで、

会社へ向かいました。


今週の、あらたな平日が、

始まってしまいました。



会社に出社して、

自分のデスクに鞄を置いた瞬間。


僕は、耳を疑うような、

妙な光景に出くわしました。



そこには、

僕の上司である部長と、

先週の金曜日に僕の運転手をしてくださった、

あの営業マンさんが立っていました。


二人とも50歳前後の、いい年をしたおじさんです。


なのに、まるで、

二十歳前後のヤンチャなお兄さんたちみたいに、

顔を真っ赤にして、激しく言い争いをしていました。


営業マンさんのほうが、

部長より5歳くらい、年上でしょうか。


その内容は、……

僕のことを、めぐった話でした。



僕は、固まってしまいました。


自分の名前が、

誰かの口から「道具」や「権利」みたいに飛び交っている。


その不気味な感覚に、足が震えました。


聞こえてきたのは、

だいたい、こんな内容でした。


営業マンさんは、声を荒らげて言いました。

「……あなたは、

 武田さんへの扱いが、雑すぎるんだ!


 先週だって、彼は会社に泊まったんだぞ。

 そんなこと、まともな大人がさせることじゃない。


 このままだと、会社にとって一番大事な武田さんを、

 あなたが、あなたのその無神経さが、潰すことになるんだ!


 私は、もう、見ていられない!」


営業マンさんの言葉は、

僕を助けようとしてくれているのが、

痛いほど分かりました。



でも、それに対して、

部長はせせら笑うような、

冷たい声で言い返しました。


「武田君は、私の右腕だ。

 彼をどう育てるかは、上司である私の責任だ。


 それを、部外者のあなたが、

 そんなふうに言うのは心外だ。


 武田君は、

 総監(総合技術監理部門)まで持っている技術士なんだよ。


 それなら、

 もっと仕事ができなきゃいけない。


 私は、彼を成長させるために、

 あえて高いハードル……試練を与えているんだ。


 技術のことも、

 コンサルの現場のことも分からないあなたの『感情論』は、

 武田君を甘やかすだけだ。


 余計な口出しをしないでほしい。」



感情論。

甘やかす。

試練。


部長の口から出る言葉は、

どれも僕を「人間」としてではなく、

「高性能な機械」か何かのように定義しようとしていました。


僕は、

自分の名前が呼ばれるたびに、

心臓がバクバクと脈打ちました。


まるで、

競売にかけられている商品になったような、

そんな惨めな気持ちでした。



社長がまだ出社していなかったので、

誰も、この二人の言い争いを止めることができませんでした。


周りの社員たちは、みんな、

パソコンの画面を凝視して、

キーボードを叩くふりをしていました。


聞こえていないふり、

関わりたくないという、冷たい空気。


その「無関心」という砂漠の真ん中に、

怒鳴り声だけが響いていました。



その時でした。


僕と同世代の、事務の女性社員さんが、

椅子をガタッと引いて、立ち上がりました。


彼女は、凛とした声で、はっきりと言いました。


「……あの、すみません。

 もうちょっと、静かにしてもらえませんか?


 今、外線電話をとっているんですけど、

 お二人の喧嘩の声が大きすぎて、

 相手の声が、全然聞こえないんです。」


その言葉で、

ようやく、うるさい怒鳴り合いが止まりました。


部長も営業マンさんも、

気まずそうに顔を逸らしました。


でも、

部長は納得がいかない様子で、

ひそひそ話のような、粘りつくような声で、

まだ喧嘩を続けていました。



結局、最後は

部長が「論理」という名の言葉の暴力で、

営業マンさんをねじ伏せた感じになりました。


営業マンさんは、悔しそうに

「……もう、どうなっても知らん」

と吐き捨てて、外回りへ出ていきました。


喧嘩が収まったわけではない。

ただ、亀裂が、さらに深くなっただけでした。



問題は、そのあとでした。


営業マンさんがいなくなったあと、

部長が、僕のデスクに歩み寄ってきました。


そして、

僕の顔を覗き込むようにして、こう言ったんです。


「……おい、武田。

 先週、あの営業マンに、何か私の文句を言ったのか?


 ……あなたを、せっかくここまで育ててきたのに。

 これじゃあ、まるで、『飼い犬に手を噛まれた気分』だ。」



飼い犬。

……飼い犬?



その瞬間、

僕の頭の中で、

昨日見た「子供たちの寝顔」や「湯たんぽのような暖かさ」が、

一瞬でかき消されました。


僕の中に、

黒い、熱い、マグマのようなものが、

一気にせり上がってきました。


僕は、ガタッと立ち上がりました。

椅子が床と擦れて、嫌な音が響きました。


僕は、

部長の目を、まっすぐに見つめました。


いつもなら、目を逸らしてしまうけれど、

今日は、逸らせませんでした。



「……部長。

 僕は、部長の飼い犬なんですか?


 ……ペット、なんですか?


 それとも、モノ、なんですか?」


声が、震えていました。


でも、止まりませんでした。


「僕に、人間としての、尊厳は、ないのですか?」


部長は、

僕が言い返してくるとは思っていなかったみたいで、

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしました。


そして、

周りの視線が自分に集まっていることに気づいて、

急に焦ったように言いました。


「……す、すまん。言い過ぎた。

 比喩だよ、比喩。」



比喩。


言葉を定義するのが、

僕たちの仕事のはずなのに。


その言葉で僕を傷つけておいて、

最後は「比喩」で逃げる。



僕は、何も返事をしませんでした。


返事をする価値も、ないと思ったからです。



週の初めから、

会社は、息ができないくらいの、

異様な空気に包まれました。



「喧嘩」という名前の議論なのか、

「議論」という名前の喧嘩なのか。



こんな、大人げない人たちに囲まれて。

僕は、今、自分が身を置いているこの環境に、

心の底から落胆しました。


絶望、という言葉が、しっくりきました。


それでも、

僕は、逃げ出す場所がありません。


僕は、震える手で、

パソコンの電源を入れました。


そして、

業務を、少しずつ再開させました。


目の前の数字や図面だけが、

嘘をつかない、唯一のものだと思いました。



明日からは、また先週急遽決まった、

あの追加の現場調査の準備が始まります。


外注さんへの手配。資料の整理。

僕は、ロボットのように、それらをこなしました。



もう、何も考えたくない。


ただ、それだけを思って、

今日は早めに帰りました。


会社は、本当に、怖い場所です。

(次回へつづく)



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