【第200話】S企画|至高の法塔 ― 都道府県の誤認、逆転する徴収
⦅無能な責任転嫁、都道府県の誤認⦆
「だから!
ウチの健保組合が払っている『後期高齢者支援金』とやらが
高すぎるんだ!」
S企画本社、技術統括本部長室。
西専務が、
S企画健康保険組合の予算案を
サトシのデスクに叩きつけた。
高齢化の進展に伴い、
現役世代の健保組合が
国(後期高齢者医療制度)に納める支援金の負担が
年々激増している。
その巨額の「上納金」に、
専務は腹を立てていた。
👴西専務
采善君(サトシ)。
この支援金は、
都道府県が徴収しているんだろう?
ならば、
ウチの工場がある県知事に
直接文句を言ってこい!
「医療費の適正化計画」とやらをサボっているから、
老人どもの医療費が膨れ上がり、
S企画の負担が増えるんだ!
都道府県に責任を取らせて、
ウチの負担を減額させろ!
サトシは、
机に叩きつけられた予算案を
冷たく見下ろした。
組織の利益を守ることしか頭になく、
社会保障という国家の巨大な生命維持装置(システム)を
「誰かの怠慢のせい」にして責任転嫁しようとする、
醜悪な経営者。
自分たちが搾取している側の人間であることすら自覚せず、
他者の倫理を問うその浅ましさ。
サトシの瞳の奥で、
氷のような静かなる『軽蔑の刃』が
鋭く閃く。
👔サトシ
……西専務。
貴方の
その「県知事に怒鳴り込めば金が減る」という強面顔負けの発想は、
法治国家の集金システム(アーキテクチャ)を
根本から誤解しています。
貴方が喧嘩を売る相手は、
都道府県ではありませんよ。
👴西専務
なんだと!?
県が金を集めて
老人を管理しているんだろうが!
👔サトシ
……場所を変えましょう。
専務のその「粗雑な組織図」を、
法の冷徹な役割分担で
切り裂いて(オペして)差し上げます。
***
会員制バー「桃源郷」。
ルミが差し出した冷たいおしぼりを、
西専務は苛立たしげにテーブルに放り投げた。
モニターには、
高齢者医療確保法における
「国、都道府県、広域連合、支払基金」の複雑な相関図が、
冷たい光を放っている。
👠ルミ
あら、西専務。
「お年寄りの医療費が高いのは県のせいだ」って?
でもね、
都道府県はお医者さんの数を調整したり、
計画を立てたりする『監督』みたいなものよ。
実際にプレイヤーとしてお金を集めたり、
お葬式代を出したりしてるのは、
別の組織なの。
👴西専務
うるさい!
采善君、
このカルテの「A」を見ろ!
「都道府県は……後期高齢者支援金……を徴収する」!
「C」にも
「都道府県は……広域連合を設ける」!
「E」にも
「都道府県は……葬祭費の支給を行う」!
全部、
都道府県が主語じゃないか!
⦅カルテNo.200:社会保険一般・高齢者医療確保法(組織の役割)⦆
〔問 10〕 高齢者医療確保法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 都道府県は、年度ごとに、保険者から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金を徴収する。
B 都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期として、当該都道府県における医療費適正化を推進するための計画を定めるものとする。
C 都道府県は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(以下本問において「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとする。
D 市町村は、後期高齢者医療に要する費用に充てるため、保険料を徴収し、後期高齢者医療広域連合に対し納付する。市町村による保険料の徴収については、市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者(政令で定める者を除く。)から老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させる普通徴収の方法による場合を除くほか、地方自治法の規定により納入の通知をすることによって保険料を徴収する特別徴収の方法によらなければならない。
E 都道府県は、被保険者の死亡に関しては、高齢者医療確保法の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
👔サトシ
専務。
貴方が「都道府県の責任だ」と信じて
読み上げたA、C、E。
それらは全て、
この問題における「誤り」です。
ここから先は

S企画:至高の法塔 ― 頂点への執刀記録
📅R8.4.10時点 最新法令準拠 👔技術士(総監)の称号を背負い、頂点を目指す孤高の男・サトシ。 👠その野望を影で支え、怜悧な才気で夜…
🌸チップのご支援、本当にありがとうございます👨💼小泉士郎です🌳いただいたご厚意は学びや発信活動の糧として、大切に使わせていただきます。📘noteでは技術士試験対策の情報に加え、セルフケアや心に寄り添う言葉も日々綴っています。🌻温かく見守っていただけたら幸いです🐱✨
